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2015年2月4日水曜日

「君の名は」



首切り花とも呼ばれるのは椿の花だ。
精一杯咲いていると思っていると突然ポトンと落ちる。
小さな庭に緋色と、紅色の寒椿が咲いてはポトンと落ちていく。
二つ、三つ続けて落ちると花と花と花が重なり合うことがある。
ポトン、ポトン、パサバサという小さくざわめく音がする。

日本人の人質二人の首が切り落とされた。
無惨残酷なのは、この国の人々はすぐに忘れてしまうことだ

人間にとって一番悲しいのは、愛されないことより、忘れ去られることだという。
先日芥川賞と直木賞が発表になった。さて、名前はというともう忘れている。
その程度の賞になってしまった。
高倉健はいつ死んだか、菅原文太はというと、もう忘れている。
まてよ昨日は何を食べたっけというとすぐには思い出せないことが多い。
一昨日となるとほぼ忘れてしまっている。
記憶は脳の中でポトン、ポトンと消え落ちていく。
テロリストは、この国の人々が忘れた頃に再び日本人を人質にするだろう。

「忘却とは忘れ去ることなり、この忘却を知るこころの悲しさよ」その昔、大ヒットした映画「君の名は」の中にこんな一節があった。
君の名はとたずねし人ありからはじまった。3.11が急速に風化し忘れられている。
ポトン、ポトンというより、ツツツツーツーと忘れられている。
あと十日もすれば、首を落とされた二人の名前も忘れられてしまうだろう。
ならば何もかも全て覚えていろとなると超人以上にならねばならない。
人間が人間らしくあるための条件が思い出せない。

現在二月四日午前三時十四分五十六秒、今日は何を食べたか思い出している。
背中の向こうでパサバサと音がした、椿の花が落ちたのだろう。
そうか、昼にきしめんみたいなパスタと、夜は刺し身と握り寿司を六、七貫食べた、巻物を少し食べた、味噌汁が出たが中に入っていた白い物を思い出せない。
朝といえば紅茶だけだったと思う。東京へ向かう列車の中でピョコンと頭を下げた同年輩の男がいた。君の名は(?)一日中ずーっと思い出せない。

午前四時、日本テレビ「Oha!4」が始まった。
ヨルダンのパイロットが殺害され、サッカー日本代表監督、アギーレの首がドタバタと切られたと伝えている。これもすぐに忘れられるだろう。
きしめんみたいなパスタの名が思い出せない。君の名は(?)。(文中敬称略)

2015年2月3日火曜日

「肉マン」




盗撮、のぞき、性交、性的画像送付。
体に触れるなどは日常茶飯事の場所がある、どこかといえば、小中学校なのだ。
わいせつ教師は増える一方なのだ。

先月末、文科省の発表によると懲戒処分を受けた教師が205人もいたという、これは氷山の一角だと思う。
知人の精神科医の話によると、そもそも幼児性愛者の多くが教員を目指すという。
ある心理学博士によると「教員は欲望を表に出せない、抑圧の高い環境にある人ほど、現実逃避傾向があり、匿名性のSNSにはまりやすい。

普段若い女の子と接した時、“自分も簡単にできるのでは”と身近に感じるのです」という。子どもにとって教員、即ち先生という権威は絶対的なので命じられると従順になってしまう。

私には二人の女の子の孫がいる、この春で6年生となる。
心配だ、実に心配なのだ。今後もさらに増加するというではないか。
いっそ一緒に通学して目を光らせるかと思ったりする。
木刀一本持って校門の前に立っていようかとも思ったりする。

今日は節分だ。
鬼は外、福は内なのだが、学校で豆まきをしてスケベ外、エッチ外、ヘンタイ外とやってほしい。浜の真砂はつきるとも、世に先生の性犯罪はつきまじとなった。

運動会の時に望遠レンズを使っている男は要注意だと、知人の警察関係の人に聞いた。もっとも警察署内もSNSによるとんでもないことが多発している。
もみ消すヒマもないから外部にモレ出してしまうという。
何しろ拳銃を持っているんだから相手も恐怖におののくのだ。

先週の金曜日、有楽町の映画館で「薄氷の殺人」という中国映画を観た。
評判がいいので仕事を中断し、最終日の最終回に滑り込んだ。
120席位のところに38人位の観客がいた。

中国の寒い寒い所、昭和三十年代の日本のようなスケートリンク、現代社会は都市を繁栄させたが、地方では今も中国は私が中学生だった頃の日本に近い。
ローラースケートや、スケートリンクには不良が多くいるから行っては駄目だというようなことを生活指導の先公(先生)がいった。

私が通った天沼中学の校庭には浅倉養鶏所というのが突き出し校庭の一角を占領していた。住民の反対により埼玉の方に引っ越したのだが、その後はなんとローラースケート場になってしまった。
朝からスケーターワルツのようなのが流れていて妙な風景が2階から見えた。
勿論そこに行くことは禁じられた。

中国映画を観てそれを思い出した。
犯人を追う傷んだ中年の刑事がやたらと肉マンを食べていた。
当分肉マンを食べる気にはならない。
寒い中国の凍結した道に、乾いた拳銃の音が何か暗示的であった。


森昌子の少女時代のヒット曲に「せんせい」というのがあった。
「私がはじめて好きになったのはそれはせんせい」というような歌詞だった。
その息子(父親は森進一)の「ONE OK ROCK」のニューアルバムが2月から売り出すとTSUTAYAに書いてあった。
中野裕之監督の、「FOOL COOL ROCK」がなんと28枚もズラリとTSUTAYA新作の棚に並んでいた。

私のお仲人は中学時代にお世話になった「女性の先生」である。
昭和の先生は真面目で正常であった。先生のご主人は先生だった。

2015年2月2日月曜日

「二月一日に」




一年の12分の1が終わった。
人々はそれぞれ、ラーメンライスを食べながら、かつ丼、天丼、親子丼、牛丼などをどんどん食べながら、チーズと玉子のせハンバーグや天ざる+小カレーライスを食べながら、マルゲリータピザやスパゲッティカルボナーラを食べながら、イスラム国(?)ISILのテロリストによって殺害された残酷な映像を見たのだろうか。

聞けば朝食を食べる頃にはその映像はモザイクがかかったという。
日々様々な映像をユーチューブで見ている人にとって、それはそれほどの衝撃ではないのだろう。食べながら見て気持ち悪くなって吐いちゃったよという人はいないようだ。

昨日駅の側の本屋に寄ったら、やたらと「イスラム国」関係の本が出ていた。
著者は毎日テレビ各局をハシゴしている。
自称スペシャリスト、他称中東問題の第一人者(?)たち、研究員や調査員や元ジャーナリストや大学教授たちだった。彼等にとって今度のテロ問題は格好のプロモーションになったはずだ。イスラム国(?)ISILにとっても数百億円以上のプロモーションになったはずだ。

もし世界各国がテロリストの報道を控えたとしたらどうであっただろうか。
相手のことは相手にせずという兵法がある、「人間は羊の皮を被った狼である」といったのは藝大の生みの親「岡倉天心」だ。あるマタギの名人の言葉を思い出した。何が怖いって動物でいちばん怖いのは「人間」だよといった。
人間と人間がバトルを重ねて滅びるのかもしれない。

元イスラム国(?)戦闘員の言葉がズシンと来た。 
6000年前からこの戦争は始まり続いているんだと。
後藤健二さんが無惨に首を落とされた日、別府ではマラソンマンが42.195kmを走り、プロ野球はキャンプインをし、“笑点”では相変わらず座布団を取り合っていた。

 早朝の首相官邸で官房長官が全力で走っているのをはじめてみた。
ま、まさかだったのだろうか。
名古屋大学の19才の女学生はずっと人を殺したいと思っていたという。
デジタルとアナログは不可解に交差し、無秩序の中で秩序となっている。
正気と狂気が一人ひとりの人間の中に確実に宿っていることがカオスの中で露出して来たのだ。

私はテレビのニュースを、(朝)クリームシチュー、(昼)カレーライス、(夜)牛肉少々、クラムチャウダースープ、焼きそば少々とプラス紅しょうが、野菜サラダ、それとガーリックライスを少々食べながら見た。

気晴らしに、石井裕也監督の「ぼくたちの家族」とデニ・ビルヌーブの「複製された男」を借りて来たのでそれを見た。気分は晴れなかった。
ただ、妻夫木聡という役者は素晴らしいことを改めて知った。

この世には自分とソックリなのが必ず一人いるという。
エドガー・アラン・ポオの小説にそんなのがあった。学校の寄宿舎にいる一人の生徒とソックリな生徒が入って来る。何もかもソックリなのだ。
さて、大文豪の結末は(?)短編の題名は確か、「ウィリアム・ウィルソン」だったと思う。あなたは今、正気、それとも…。

牡丹の木に小さな芽がそっと出て来た。今年は咲いてくれるだろうか。
二つのパンジーはかわいそうに凍死してしまった。
て、アタマの中をクールダウンして戦略と戦術プランを考えるとする。
と言っても戦争ではない、ブランドの認知拡大についてだ。まてよ、ブランドも戦争だ。幼き子を残して無念の最後を遂げた後藤健二さんに合掌。

2015年1月30日金曜日

「一月の終りに」




昨年十月三十日グランドオープンした「キラリトギンザ」、その3階にオルハショップ第一号店がデビューした。
このショップでは睡眠改善インストラクターが一人ひとりに合った枕や敷・掛ふとんを科学的に分析してくれるのが大きなセールスポイントだ、また快眠、美容、健康、女性の命といわれる髪や冷え性対策、妊婦の方への足首をたためる大切さなどいろんなテーマについて店内のセミナーコーナーでトークイベントをする。

オープンから三ヶ月経ってお客様の動向が分かって来た。
一度に20万の羽毛ふとんを二枚購入してくれた、伊豆で旅館を四つ経営するステキな女将さん。枕でこんなに違うんだといって購入してくれたお医者さんの奥さま。
枕と敷ふとんを診断され感激して購入してくれた若いご夫婦、友人のアーティストも同様であった。羽毛のマフラーを購入してくれたあるタレントのマネージャーは、そのあまりの軽さと暖かさにオドロキの声をあげた。

羽毛でできた足首ウォーマーは妊婦さんにとてもいいとお墨付きをもらったと聞いた(妊婦の方は足首を冷やさない方がいい)。
また大人気、大好評なのが、羽毛の中に含まれるケラチンという成分をつかって生まれた画期的な商品(特許取得)ヘアシャンプー、トリートメントなどのヘアケア用品、またお寿司屋さんの奥さんが手荒れがなくなったといって大喜びのハンドクリーム、初めての肌感がするという洗顔石鹸、更に肌合いがサイコーといってくれるローションなど多くのファンが生まれて来た。

一月二十七日、オープン後初のセミナーを開催した(昼と夜の二回)。
ヘアケアについてがテーマ、話に納得し購入してくれた。三人いる睡眠改善インストラクターはすこぶるイケメン、実に知識豊富で話もうまく、面白くて大好評だ。
セミナーには12人が出席できる。銀座のグランドホテルで開催した女子会でのイベントでケラチンのヘアケアは大好評、ホテルの総支配人も購入してくれた。
 
ブランドはお客様が育ててくれる。ある時は厳しく、ある時はやさしく。

二十七日私がお世話になっている広告代理店の社長が、世界スーパーフェザー級チャンピオン「内山高志」選手と一緒に来店してくれた。チャンピオンのオーラが凄かった。
私はチャンピオンに十二月三十一日TKOで防衛した御祝いに心ばかりの羽毛製品をプレゼントした。「ルー大柴」さんもマネージャーと来店してくれた(マネージャーは先日購入してくれていた)。赤坂でサロンを経営する美人ママはショップの大ファンになってくれて何度も来店してくれている。


チャンピオンとルー大柴さん、美人ママには私の拙書、「若者よ、 天下を取れ。」のポスターに出ていただいた。
カメラマンは新良太さん(早い、すごく上手い、自然光しか使わない)、アートディレクターは後輩の三宅宇太郎君にお願いした。

チャンピオンが面白い、いい本ですね、買いますよといってくれた。
とても嬉しかった。内山高志選手は本当にクレバーでステキな人である。野菜ソムリエの資格を持っている。広告代理店の社長はいろいろと協力してくれるありがたき人だ。



先日、小学校時代の同級生、全校で一番勉強ができた女性が友人と来てくれた。
今は超有名大学の名誉教授である(専門は英米文学)。
私は当然全校で一番勉強できなかった悪ガキである。


銀座一丁目中央通り、ぜひ一度オルハショップへお越し下さい。
中野裕之監督が制作してくれた美しい映像美を見ることもできますよ。
何度でも来たくなる「上質睡眠専門店」を目指しています。
スタッフは感じのいい人ばかりです。
「よく眠った人には、かなわない」みなさんぜひ本当の快眠を手にして下さい。

テレビでは大嫌いなイチローが相変わらずナルシスト的にインタビューに応えています。私は大嫌いといわれるサブローです。
テロまみれの一月でした。そして早二月、梅の蕾は一日一日と大きくなっています。

2015年1月29日木曜日

「やってみなはれ」




数千万匹のシャケが遡上する感涙的な映像を観た。
カナダにある川だ。
イスラム国による人質問題で正直アタマもココロも疲れていたからだ。

シャケは生まれた川に三年後に帰って来る。
何故帰って来るのかには諸説ある。
川の香りとか匂いとかを記憶しているからというのが有力説だ。

シャケはジャンプを繰り返す、それは太陽の位置を確認しているからという新説もある(船乗りと同じように)。川に帰って来るシャケは「生」を生む卵を残し、そして「死」ぬ。
生と死の輪廻そのものだ。

紅色に変化したシャケはまるで緋鯉のように見えるが表情は夜叉のように険しく上下の歯はトゲトゲしい。何も食べずひたすら長旅の最後の大仕事をする。子を残すのだ。
メスは卵を石の中に放出し、相性の合ったオスが精子を放出する。
メスとオスの神聖な行為だ。それを終えたシャケは川の中に漂う。

多くのシャケが熊に食べられる。その食べ残りを鳥たちが食べる。漂うシャケはやがて溶ける。
その養分が良質なプランクトンを生む、それは川を育てるのだ。川は海へとつながり海を育てる。その海は魚を育てる。海産物を生む。それらをソックリ人間がとって食べ人間は育って来た。
オスとメスはやることはやらなければいけないのだ。まして結婚した者は。

一月二十六日ある新聞記事にこんな調査データが載っていた。
既婚者の44.6%がセックスレスなんだと。1649歳の男女1134人からの回答だった。
前回12年の調査より、12.7ポイント増加だった。
年齢別に見ると、2549歳が39.3%、3034歳が32.0%、353939.3%、404454.9%、454949.0%であった(一か月に一度もセックスをしない夫婦)。

その理由は、男性は「仕事で疲れている」、女性では「面倒くさい」が第一位であった。
日本の男女よ、シャケに学べよだ。シャケのオスは誰も長旅の疲れを口にしない(しゃべれないが)、シャケのメスは誰も面倒臭いなんて態度はとらない。
何んのために結婚したのか、1649歳の人はその原点を思い出してほしいと願う。

「やってみなはれ」というのはサントリーの大切な精神で有名だ。
今日の夜はオスになりメスになり、やってみなはれだ。

2015年1月28日水曜日

「名刺」




“変な女”とあえていう。
東京駅午後十一時〇二分、平塚行に乗って辻堂駅に着いたのがほぼ十二時だった。
昨日はかなり暖かかった。
ホームに降りてマフラーをバッグの中に入れた。

ダンボールに二十五冊の本を入れてヤマト運輸に行ったら七時で終わっていた。
ファミリーマートに行けば送ってくれるというのでダンボールを両手で持って歩いた。
仕事場に帰ってボールペンを持つと手が震えていた。
そんな慣れないことをしたのでホームを歩くスピードはゆっくりだ。

階段を登り改札口を通過して階段を降りた。タクシー乗り場には十人近く並んでいた。
私はゆっくり歩きその列に入ろうとすると、一人の女が走って来て私の前に割り込んで来た。

三十二、三歳だろうか。黒のバックスキンのピンヒールをはいていた。
酒に酔っているようだが酒の臭いはしなかった。
濃い茶色のジャケットに黒いフレアーのスカートを着ていた。
パンパンに膨らんだガマ口を大きくしたような海老茶のショルダーバッグを肩にしていた。「すいません、ルール違反ですよね、今日結構暖かかったので薄着なんです」
長い髪をかき分けながらいった。
いいよ一人二人はどうってことないから、なんて気取ったセリフをいった。

なんとなくバックからマフラーを出して首に回した。
やっぱりいけませんよねみんなちゃんと並んでいるしといった。
うるせいなこの女と思ったがマアマアあと三人だと大人ぶった。
そして変な女はタクシーに乗る時にありがとうございました、私は寒さが苦手だったんですといって茶色の名刺いれからこういう者ですと名刺を渡してタクシーに乗って行った。

名刺を見ると「ソニーライフ・◯◯◯◯生命保険株式会社 経営企画部 役員室秘書 ◯上◯ずみ」と書いてあった。名刺にはEmailとかURLとかが書いてある。
なんだいもし私が悪質なインターネットオタクだったらどうすんのと思った(私は全くネットなどできない)。

名刺は破らずに持っている、デスクの女性に見せてから破る。
やっぱり酔っ払っていたのかもしれない。
気味の悪い話を乗ったタクシーの運転手に話した。よく知っている運転手だった。
名刺を見てへぇー名刺まで渡すなんてといった。

家に着いてNHKを見ると、人質になっている日本人の命があと二十四時間だと臨時ニュースで伝えていた。いつもON AIRしている時論公論は中止しますとテロップが流れていた。

真冬なのに生暖かい夜だった。
それなのに私寒さが苦手なんですといった変な女の顔を思い出した。
私の読みでは酔っ払って乗り越してあわててタクシー乗り場まで走って来た。
酔いが一気に醒め、気が動転した。
私のような人相風体の悪い人間に名刺を出す位だから。

東海道線には毎日ドラマがある。毎日短編映画二、三本のシナリオがかける。

2015年1月27日火曜日

「品川巻」


枯木に一羽、名も知らぬスズメを大きくしたような鳥が止まっている。
ただの枯木がこの一羽のおかげでちょっとした山水画のようになる。

仏前に備えてあったリンゴを新しいリンゴにかえた時、これを小さく切って小さな庭にまいてやったらきっと鳥たちは喜ぶだろうと思った。
包丁でカタコト切っていると、愚妻がリンゴをまくとカラスが集まるからやめてよといった。カラスだって鳥じゃないか、来たきゃ来ればいいんだよといってリンゴを細かく切った。左手の親指も切ってしまった。

眠る前に両手にいっぱいとなったリンゴを花さかじいさんの様にまいてみた。
朝起きて見るとリンゴはすべてなくなっていた。
次の日の朝も、その次の日の朝も、三つあったリンゴを三日かけてまいた。

昨日はリンゴをまかなかった、枯木に二羽、同じ鳥が止まってキョロキョロしていた。
鳥の嗅覚はどれほどなのだろう。リンゴをまくとすぐに飛んで来る。

鳥の名を調べようと鳥類図鑑を広げた。椋鳥(ムクドリ)のようだった。
英語名/ Starling・スターリングとはいい名ではないか。
リンゴは長持ちする果実だから今度まいてやれるのは2週間後位だ。

何故椋鳥がと思った、そうかお隣は大きな家で庭も広く太い木が何本もある、そこに集まって来るのだろう。駅から降りて来るとスーパーの出店があり、リンゴを売っていた。
一袋五個四百五十円也、両手にカバンと袋を持っていたので買わずに帰った。

一月二十三日午後十二時〜午後一時三十分、NHK Eテレ「日本人は何をめざしてきたのか」。「石牟田道子」さんが四十年かけて書き上げた「苦界浄土」を取り上げていた。
近代とは何か、最後に石牟田道子さんはいった。
都会の大地はビル群の下で息もできずにいる。
林立するビルはまるで墓場の卒塔婆のようだ。鳥たちはビルに止まることはできない。
行き場を失った鳥たちが人間への仕返しをする日が来るかもしれない。
ヒッチコックの名作「鳥」のように。
石牟田道子さんは次の世紀は大地に息をさせてあげたいといっていた。


「天に星、地に花、人に愛」武者小路実篤の言葉を3.11を風化させない、二度とあのような地獄絵にならないことを祈る塔のコンセプトにした。

一月二十六日、NHK NEWSWEBのつぶやきビックデータ今日注目の言葉の中に、イスラム国の「イ」の字もなかった。
日本人のいちばんの特長は、何か一つワァーと大騒ぎしてすぐに風化させることだ。

列車の中で缶ビールを飲みながらせんべいをずーっとバリボリバリボリ食べる奴が私の後ろにいた。列車は大船駅を出た。我慢できず振り返ってウルセイ、クセイ、静かに食えといったら、品川巻きの海苔の部分をかじっている途中でキョトンとしていた。
四十前後の男だった。

2015年1月26日月曜日

「夕日新聞 」




一月二十五日(日)
寒さはやわらぎ暖かかった。

ちょいと外にでも出るかと思い玄関で靴をはいていたらピンポーンと呼び音が鳴った。
ドアを開けると、すいません朝日新聞です集金をお願いしますといった。
いくらなのと聞くと4,037円ということであった。
朝日はずい分減ってんじゃないの、と聞くと、そうなんですよ、困ってんですよといった。
朝日この頃全然駄目だよな、記事がへなへなだから、仕方なく読んでいるけど、まあキミにいってもしょうがねえか、ご苦労さんといって払った。

NHKニュース9の大越キャスターが原発再稼働に批判的なことをいったとかで降板させられるらしい。
ミュージシャンが唄う歌詞がチェックされ変えられた。
サザンオールスターズの桑田佳祐が勲章を茶化したとかでサンザンな目に遭っている、ロックンローラーは謝罪したら終り、辞退すべきだったのだろう。
辛口のコメンテーターだった「なかにし礼」氏もいつの間にか画面から消えてしまった。
報道ステーションの古館伊知郎をなんとしても降ろしたいらしい。
古館は一人ステージで"やれるもんならやってみろ”と叫んでいた。
モノいえば口びる寒しとなって来た。

イスラム国は情報という凶器を知りつくしている。
島国日本は他国と国境線を持ったことがない。
それ故タフネゴシエーターを持っていない。金で何事も解決できると思って来た。
ヨルダンで死刑囚となっている自爆テロリストの女の腹に巻いた爆弾の帯を見ると、我々日本人がいかに平和ボケの中にいるかを知る。
オバマ大統領は北朝鮮にもインターネットが広まりそれにより、そう遠くない日に北朝鮮の体制は崩壊するだろうと予言した。
今は静かにコトの推移を見守るべきだ、イスラム国の思うツボだから、と各テレビ局はいいながら、まるで競馬の予想みたいに、あ~だ、こ~だとやっている。
テロリストのナイフは血に飢えている。
テポドンやノドンが飛んでくる日は近いのかも知れない。

日本からジャーナリズムが消されていく。
いつか来た道を確実に歩き出し、走り出している。

斬首された日本人に合掌する。
朝日新聞は夕日新聞となり、NHKはNHKOとなった。

2015年1月23日金曜日

「お骨離婚」




城卓矢という歌手をご存知の方はかなりの歌謡曲通か、現在60代の年代の人だろう。
この歌手には大ヒット曲が一つあった。その題名は「骨まで愛して」だ。
♪〜生きている限りは 今もなお探し続ける恋ねぐら 傷つき敗れた私でもぉ〜骨まで 骨まで愛してほしいのよぉ〜、確かこんな歌詞だった。
女性を骨までしゃぶる悪いヒモのよな男も多いが、骨まで愛する男とはどんな男だろうか、私は今もなお分からずにいる。

日本の古典小説にこんなのがあった(宇治拾遺物物語だったと思う?)。
一人の青年が絶世の美女に恋をする、その想いは淡く、清く、深い。
だが美女は死んでしまう、青年は美しい顔、姿が毎夜頭に浮かぶ、会いたい、もう一度会いたい、そう長い間想い続ける。そしてある年、絶世の美女の墓を掘る。
そして掘って見つけたのは骸骨となった姿であった。
その後青年は僧門に入り終生供養を続ける。

骨まで愛すると言うのはこれ位の思いが必要なのだ。
昨日かねてより進めていた東日本大震災を風化させないという思いを込めて作った「祈りの塔」の打ち合わせに石巻から常堅寺後藤ご住職夫妻が上京された。
清々しく素晴らしい夫婦であった。その打ち合わせの中で樹木葬の話をされた。
人間の魂は山の土の下で安らかに眠り、やがて輪廻する。
つまり一度土に帰り再び生きかえるということだ。

坂口安吾は小説「桜の森満開の下」で桜の木の下には人間の魂というか命がある、というように書いた。後藤ご住職たちはすでに600本近い山桜の木を植えている。
ご住職はいった、この頃はこんなケースが多いんですよ、そのケースとはお骨離婚のような事だ。夫婦だったが死後その骨は別々に埋葬してほしい。
その願いは女性に多いというか女性ばかりだという。
夫は死んだ、散骨とか、土葬、あるいはお骨をそのまま家に置いている。
で、自分が死んだらぜひああしてほしい、こうしてほしいと願う。
要は夫とは別にしてほしいと。

うーむ現代骨事情に聞き入ってしまった。
骨まで愛してくれる女性がどんどん減っているのだろう。
人間一度は必ず骨になると決まっている。

さあ〜どうする、今からでも遅くない、通販で買った安いふとんで寝ているあなたの奥さんに最高級の羽毛ふとんでもプレゼントして、お前には苦労かけたぐっすり眠れよとそっと言葉をかけてはどうだろう。えっ、なんで羽毛ふとんなのかって、それはゆっくり眠って考えます。

2015年1月22日木曜日

「西京焼定食」



イスラム国というテロリストの国(?)との人質問題が出た途端、テレビには中東問題の第一人者という人間が続々と出る。

危機管理問題の第一人者、テロ問題の第一人者、写真合成の第一人者、音声解析の第一人者などなど第一人者だらけだ。ならば日本国政府はというと第一人者はいないようだ。
自民党では幹部たちが勢揃いしているがやはり第一人者はいないようだ。
“ガンクビ”を並べていたがみんな参加することに意義がある、ただそんなかんじだ。

ならばこんな時の為に創設したはずの日本版NSC(国家安全保障会議)はというと中東と交渉チャンネルさえなく情報不足をさらけ出しているようだ。
外務省などはその責任者が不在である。
いっそ第一人者たちを勢揃いさせてはと思うのだが官僚組織は民間人の知恵など借りるのはそのプライドが許さないらしい。

現在売れている本、「21世紀の資本」によると、世界の中の1%の富裕層が手にする富は世界人口の半分近くが手にするものに近いということらしい。
つまり1=50%だ。
金持ちは働かずどんどん金が増え我々は、はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざりぢっと手を見る(石川啄木)ということになる。

昨日夜、富ヶ谷にある教会内で二つのNPOの人たちと打ち合わせをした。
教会の側にやけに警官が多い、なんでと聞いたら安部首相の家を警備しているからだった。その主は公邸に泊まって人質問題に対応するらしい。 

NPOの人たちとの打ち合わせのテーマは、()貧困で教育を受けられない子どもたちを救おう。()障がい手帳を持っている人たちの就労を支援しようであった。
教会の外は寒風と氷雨であった。NPOの人たちと定食屋さんで食事をした。
フェアに割り勘で支払いを終えた。
私は西京焼(銀だら)定食を食べた。実に旨かった。