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2016年11月7日月曜日

「コンフィデンシャル」



名優ケビン・スペイシー主演の映画に「LAコンフィデンシャル」というのがある。
すべては疑惑の中というアメリカの実態だ。
名優デンゼル・ワシントン主演の映画に「トレーニングデイ」というのがある。
アメリカの警察はヤクザよりヤクザなのだ。
名優アル・パチーノとロバート・デ・ニーロの主演映画に「ゴッドファーザー」がある。
アメリカはマフィア国家なのだ。この映画の主演中の主演はマーロン・ブランド。
名優ジョージ・C・スコット主演映画に「パットン大戦車軍団」というのがある。
アメリカ人は戦争大好き国家なのだ。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」という映画では、アメリカの有力組合の委員長がウインナーソーセージにされてしまう。仲間に追われたギャングのボスは自らゴミ収集車の中に入り、ゴミとして砕かれる。アメリカ人の大好きな言葉は、ジャスティス(正義)だ。正義の大安売り。
が「スミス都へ行く」という映画では、正義心の固まりのような上院議員スミスが法律で定められた方法で24時間ブッ通しで不正の追求をする。トイレ以外座ったら即演説は終わり。
「スミス都へ行く」は議員の教本となった映画だ。

アメリカという合衆国は正義から極悪まで、ユダヤ人とギャング、マフィアがほとんど支配している。
世界ヘビー級チャンピオンと大統領はギャングとマフィアがつくるといわれている。
ボクシング映画の名作は多くある。
その多くは八百長試合を拒否したボクサーがその命である拳を粉々にされる話だ。

さて、いよいよアメリカの大統領選もラストシーンとなった。銭こそ命のトランプと、野心こそ命のヒラリーの泥試合だ。
正直私はトランプは泡沫と思っていたのだがここまで来るとは、アメリカも人材不足なのだ。
目くそ鼻くその戦いだな。ブッシュがゴアをイカサマで負かしたように、今は相方のバックがイカサマを練っているはずだ。どっちにしても習近平やプーチンの相手ではない。
FBIがどうして法を犯してまでトランプ支持に動いたか。
それはトランプ勝ちを読んだからだと思うが、コンフィデンシャルなのだ。

メリカ合衆国は確実に滅びはじめている。「博士の異常な愛情」という映画では、ジョージ・C・スコット将軍が、大統領たちに核をバンバン打ち込めと言い放す。これがアメリカの本音なのだ。
ヒラリーが勝てば、FBIの総取っ替えとなるはずだ。
レームダック(死に体)といわれたバラク・オバマが実は生き体になっていた。
これほど頭脳的な大統領はF・ルーズベルトしかいない。どっちが勝っても影響力を持った。

もしかしてFBIを動かしたのは(?)さぁ~どっちか、丁か半か、銭か野心か。
アメリカ追従、アメリカ一辺倒の日本国はその先が見えていない。
銀座のデパートの館内放送は中国語ばかりなのに。商人は政治家の何歩も先を見ている。
堺や博多の商人が、織田信長を秀吉を使い光秀を焚き付けて殺したように。
かつての商人たちはマフィア以上であった。

2016年11月4日金曜日

「文化の日」



前夜、強く降っていた雨はすっかり上がり、神奈川県大和スタジアムは久々の晴天になっていた。別名ドカベンスタジアムといわれる。
グラウンドの入り口には水島新司氏が生んだ人気漫画の主人公ドカベンのでっかい彫像があった。

午前九時試合開始なので目覚まし時計を六時半にセットした。
早く寝ようと十二時頃にふとんに入ったが結局眠ったのは午前二時を過ぎていた。
やけに腹が減っていたのでトーストを一枚焼いた。
紅茶を少し飲んで再びふとんに入った。睡眠導入剤といつもの酒を追加した。
目覚まし時計が鳴った時テレビは付け放しで、小さな電気スタンドも付け放しであった。枕元に週刊文春が開き放しになっていた。レコード大賞に裏金一億円の記事があった。

辻堂⇔藤沢⇔大和と東海道線と小田急線で行くことができる。
八時半頃スタジアムに着く、素晴らしい球場であった。
ミサワホーム杯親善野球大会、相手は“横浜金沢”であった。
前の週の試合、横須賀スタジアムで愛する孫(中二)は三塁打で二打点、満塁ホームランで四打点、試合は7対0で六回でコールドゲーム勝ちをした。
夜ビデオでそれを見てみんなで大拍手をした。相手は強い“保土ヶ谷シニア”であった。

体の小さい孫も少しずつ大きくなり練習の成果が出てきたのと、食事の量が増えパワーがついて来ている。このところ当たっていると聞いた。
スタンドのベンチは未だ雨が残っていて、太陽の強い光を浴びて一気に蒸発していった。朝寒かったので厚着をして行ったがすぐに一枚二枚と脱いだ。

息子のお嫁さんが当番で朝五時に起き、一度ホームグラウンドで集合し他のお母さんとお茶やらコーヒーを用意してグラウンドにいた。
この日お嫁さんが家に帰って来たのは夜九時少し前であった。

3対4で残念ながら敗けてしまった。孫は三打数一安打であった。
一番サード第一打席いきなりセンター前ヒット。六回打球が来たが軽快にさばいた。
試合開始直前お嫁さんの携帯に私宛の電話が入り私はそれに出た。
決していい内容の話でなかった。気分はドスンとなったが声援を送り続けた。
第一試合に勝てば午後一時からもう一試合であった。
が、敗けたのでみんな荷物を乗せてそれぞれ寒川神社近くのホームグラウンドに帰り、練習であった。11人の少年たちはクルマに乗って行った。涙と無言であった。
最終回一点を入れて、あと一本ヒットがでれば同点であったが勝負は甘くない。
当番のお母さんたちもヘトヘトになる。
職人の息子は仕事に出ていて試合を見れなかった。

この日船橋の娘の息子(小四)がサッカーの県大会を九十九里の方でやっていた。
第一回戦4対0、第二回戦3対1で勝ってベスト16になったと電話が入った。
孫は一ゴールを決めたと聞いた。私にとってこんなニュースが何よりの話なのだ。

久々に藤沢駅ホームの大船軒で、チャーシューメン(520円)を食べた。
実はこのラーメンが格別に旨いのだ。さっぱりとしたしょう油味で人気なのだ。
小田原行が16分遅れなので食べる事ができた。
列車に乗り座ると一気に眠気が来てしまった。

家に帰り返却日となっていた映画「殿、利息でござる」を観た。
これはいい映画であり勉強になった。大船軒のラーメンに匹敵するいい味であった。
史実に基づいている話で、現代の金儲け第一主義の人たちに是非オススメだ。
監督よし、カメラよし、照明よし、何より一人ひとりの役者よし、歴史家磯田道史氏の原作よし。代官様は悪い人ばかりでなかった。
役人社会の仕組みは現代以上に複雑であった。
戦のない時代、武士が多過ぎるのでいろんな役職をつくり、縦割りの仕組みがあった。
人間ヒマほどの敵はない。週末是非ご覧あれ。


2016年11月2日水曜日

「ブリ大根と官僚」




次に書くことが私の危惧で終わることを願う。
豊洲の盛り土(つち)問題の元凶はこの者たちに有り、と名指しされた東京都の副知事以下の姿をテレビで見ると、何か重大なことを覚悟しているように見える。
キーマンが一人二人と背任を負ったり、負わされたりして姿を消すケースは数多い。
官僚(役人)の掟である。

カメラのレンズを通すと、その人間のその先を見ることができる。写真は正直という。
小説や映画、古典芝居や史劇、テレビドラマなどの主題で多いのが、官僚たちの闇の力である。豊洲の移転問題も、オリンピックの会場移転問題も官僚たちが仕切っている。
“移転”という二文字には必ず利権が絡むからだ。
誰かに責任を追わせなければならない時、トカゲの尻尾は切られる。
が、その尻尾は主を変えて再生する。

この国は何から何まで東京大学法学部卒によって仕切られて来た。
戦前、戦中、戦後と官僚たちは壮大な野心と野望を持ち、またあらゆる情報を握りそれを力の源泉として支配し続けて来た。ある年立花隆氏の巨著「天皇と東大」を読んだ時、そうか、そうだったのかと思ったが、何もかもその通りなのだ。

明治維新を天皇を利用した暴力革命だと言う歴史家は多い。
その立役者の一人、薩摩の大久保利通が生んだ官僚組織は大久保が暗殺された後、長州が受け継いだ。官と軍と警察は、薩、長、土、肥が仕切ることになりそれは今でも脈々と続いている。警察組織に鹿児島出身と土佐出身が多いのはそのためだ。
戦争とは国と国による利権の奪い合いだから官僚がすべてを取り仕切る。
軍はその実行者に過ぎない。知に勝る海軍は陸軍を見下ろしていた。
彼らは天皇も権力者も意のままに動かすことができると自負している。
例え総理大臣の任期を何年延長しようとその時が来れば権力者は交替する。
官僚たちは腰を折り、膝を屈し、頭を下げながら実は政治家を見下ろしている。
まして東大法学部卒でなければ相手と思っていない。
自分たちに不利益と思えば情報をリークして政治生命を奪う。

天皇が生前退位をビデオメッセージで国民に訴えた。
再び戦争のために利用されたくないという、天皇家のメッセージでもあった。
今、この国では憲法九条改正反対の天皇家と、アメリカの代理人、利権の代理人である官僚が戦っている。殆どの権力者はその代弁者に過ぎない。
初代総理大臣、長州出身の伊藤博文からその歴史は続いている。

昨夜夕食をゆっくり家で食べた。ブリと大根煮、肉野菜炒め、肉じゃが、油揚げとトーフの味噌汁、知人が送ってくれた大好物の奈良漬けであった。料理を作っていた愚妻がひと言言葉を発した、“おそばいる?魚焼く?”“いらない”会話はこれで終わり。

シャーロット・ランプリング主演の映画「さざなみ」を午前二時~三時四十分まで観た。年をとった名女優は文学的だ。名作「愛の嵐」を思い出した。

2016年11月1日火曜日

「祝福」


久々に結婚式らしい結婚式に出席をした。
大変お世話になっている会社社長のご長男であった。
この頃は家族だけで式を挙げ、後日友人知人たちとパーティーをするのが多い。
これはこれで堅苦しくなくていい。

一方ホテル内で式を挙げ、そのまま披露宴となる形式も適度に堅苦しく、緊張感もあり映画のシーンのようでいいものだ。お仲人さんがいないのが定番化しているようだ。
型通りに進むのがいい。
主賓の方々のご挨拶、どんなに場馴れしている人も、一番バッターは緊張する。

ある結婚式で私の知っている社長は30分位喋ってしまい大変なことになってしまった。文金高島田で立ち尽くした新婦はお色直しの時、控室であ~このままでいたいと言ったとか。
結婚式で新郎新婦のご両親がかしこまっている姿はいいものだ。
やっとここまで来たか、感無量となる。

友人のスピーチ、生い立ちから二人の出会いまでのエピソードをビデオ映像で。
美人ソプラノ歌手の唄に酔い、中国人の変面(一瞬で顔面が変化する)に驚き、美味しい料理を楽しむ。

普段お会い出来ない偉い人と会えるのも結婚式ならではだ。
また久しく会っていなかった人にも会える。いや~どうもどうも、お~元気だった、お久し振りですご無沙汰で申し訳ありませんとかの言葉が行き交う。
両親たちはあの方、あの人に遠くから気をつかい、あいつら余計なことを話してないか、あいつ酔っ払わないかと心をつかう。

結婚しない若者たちが増えている。
自分たちで家庭を築いて行くということは人生の目的でもある。
式を挙げるのもよし、式を挙げずもよし、私は若者たちの結婚を心から祝福したい。
水に常形なし、雲に常形がないように結婚の姿も同じものはない。


♪~しあわせは歩いてこない だから歩いて行くんだね(水前寺清子 365歩のマーチ)。
まだ若輩者です、どうか若い二人に今後共ご指導ご鞭撻をお願いします。
父親の挨拶にホロ酔い加減の出席者は、よし分かったまかせておけと思ってくれたはずだ。

2016年10月31日月曜日

「第九の季節」

祈りの塔と彼岸花※後藤泰彦さん撮影
倍賞千恵子さんが植えた桜※後藤泰彦さん撮影






年末恒例の「第九」のDMが来た。
ベートーヴェンの第九を年末年始に合唱付きで演奏するのは日本だけらしい。

今も昔もクラシックの楽団員の音楽だけで食べて行くのは大変だった。
そこで考えたのが年末にベートーヴェンの第九を演奏する。それに合唱団を加える。
仮にオーケストラ員200人に合唱団員200人だとすると合計400人。
仮に一人ひとりが知人、友人、親類、家族にチケットを一枚ずつ買ってもらうとすると、
一人5枚としても2,000人の人が集まるという計算だ。2回やれば4,000人。
そうして第一回第九合唱付きが日比谷公会堂で行われたという。

現在日本各地で市民参加の第九が行われている。
参加費を出して唄う?勿論衣装代一式は個人負担だ。
子どもから大人、おじいちゃんからおばあちゃんまで指揮者の試験に受かれば第九が唄える。歓喜の歌を声高らかに。
オーディションを通った人は日々練習をする。毎年出ている人もいるが、しくじっては一年が台無しになってしまう。
あ〜今年も第九の季節か、ついこの間まで暑い暑いと言い、台風や長雨にうんざりしていたのに。

土曜日深夜から一ヶ月分の新聞の整理をした。
朝方寒くて仕方なかった。いっそ暖房をと思ったが止めて靴下を履いた。
この一ヶ月は東京都と五輪関係の記事が実に多かった。
つまり小池百合子劇場であった。あ〜嫌だ嫌だの記事が多い。
救いといえばボブ・ディランであった。やっと連絡がついたとか。
もういくつ寝るとお正月となる。テレビでは女子駅伝を中継していた。

韓国映画を五本借りて来ていたので合間に見た。
「鬼はさまよう」と「あいつの声」、二作とも韓国映画独特のミステリー映画だ。
何しろクルマのワイパーで人を刺し、でっかいタラバガニで顔面をボロボロにするという代物だ。シナリオはすこぶるいいし、編集がすばらしい。
愚妻が好きそうなので見ればと言ったら、見ると言って持って上がった。
次の日恐ろしかったと言った。

溜まっていた新聞各紙を整理再読するには二日がかりとなる。
大川小学校の裁判記事を読みながら、一度訪ねたときに持ち帰った黒い石を思い出し、それを手にした。

石巻に建立した「祈りの塔」の側に、美しい彼岸花が咲いている写真と、倍賞千恵子さんが植樹してくれた桜の木が大きく成長してる写真を、常堅寺のご住職後藤泰彦さんが送ってくれた。

29日土曜日、友人のご子息の結婚式に出席した後、北参道で打合せ、その後銀座の仕事場に行き祈りの塔の写真を見ながらつくづくこの国の無事を祈った。

2016年10月28日金曜日

「逃げたら負け」




昨日午後六時半からある大手広告代理店にスタッフと共に打合せに行った。
エレベーターの中にポスターが貼ってあった。
相撲の行司さんが持つ軍扇のイラストに、残るな、残るなと大きな文字が書いてあった。残った、残ったというのが行司さんの持ち言葉である。
つまり残業をするな、残業をするなというインナー用ポスターであった。
天下の電通が残業するなと、午後十時に一斉に消灯になる。
ならば下々の代理店もそれに従い消灯となる。

打合せが進んで午後八時半、六人の相手との打合せもソロソロ終わりにとなった。
九時少し前ロビーに出ると真っ暗で誰もいない。
外に出るといつもなら会社員でいっぱいの街に気のせいか人が少ない。
スタッフ二人と腹が減ったから何か食べようとなり、一軒の中華料理店に入った。

エラッシャイマセー、エラッシャイマセーと中国人女性が二人。
かなり広い店内にお客さんは一人もいない。オッ、テレビも日本シリーズをやっているではないか、ラッキーであった。シュウマイ(二個ずつ)、ギョーザ(二個ずつ)、春巻き(二本ずつ、半分に切ってあったので正しくは4つずつ)。
スタッフの一人がキュウリの辛いもの一皿、五目焼きそばを三人で、殆どは私が食べた。午後十二時位にクライアントとお上品な和食を食べただけなので空腹であった。

野球は九回になっていた。一対一延長戦ですねというから、野球はツーアウトからサヨナラもあるよと言うと、フォアボールを出した。
クローザー(控えの投手)が逃げてしまった。第三戦もツーアウトから逃げてフォアボール、そしてサヨナラで日本ハムの勝ち、第四戦も逃げてフォアボールから決勝打。
で、第五戦日本シリーズ史上二度目のサヨナラ満塁ホームラン。
日本ハムは二連敗から三連勝で日本一に王手をかけた。

勝負事も人生も逃げたら負け、弱気になり守りに入り、なんとか人生を逃げ切りたいなどと思うと必ず隙が出て運命のいたずらにイジメられる。
病気になったり、怪我をしたり、身に火の粉がふりかかる。
♪~勝つと思うな 思えば負けよ…。と美空ひばりは唄ったが、負けない努力、勝つための情熱がないと、体中から生気が消えパサパサとなり、目ヂカラは無く背中は丸くなり肩は落ち、マイナスオーラに覆われる。

“元気ですかぁ~ 元気があれば何でもできる”と叫ぶのはアントニオ猪木さんだが、その通りなのだ。輸入食品の販売かなんかで大借金を抱えたが、元気ですかぁ~と国会議員になっている。糖尿病と戦いながら。
さしずめOK牧場の血糖、血糖高田馬場なのだ。

私といえばある仕事の入稿が終わり、ド、ド、ドッと雪崩のように疲れが音を立てて出ているが、負けてたまるか、逃げてたまるかだ。
頑張っていればきっと運が両手を挙げて近づいて来る。
「やせ蛙まけるな一茶これにあり」私たちやせ蛙にきっと運をくれる人が現れる。
みなさん元気ですかぁ~。

2016年10月27日木曜日

「新刊案内」

10月25日(火)、青山骨董通りにある南イタリアのプーリア料理、リストランテ「コルテージア」で吉村喜彦さんご夫妻と友人5人で食事会をした。

その席で吉村喜彦さんが、11月15日にハルキ文庫から新刊を発売されると聞いた。
その内容を以下に紹介します。

「ビア・ボーイ」「ウィスキー・ボーイ」
サントリー宣伝部にいた頃、名作の数々を手掛けた吉村喜彦氏の味わい深い文章に触れてください。

2016年10月26日水曜日

「狼を放て(?)」




狼は農家の守り神であった。今その狼を野放しにするという構想が練られているという。
全国の農家を悩ましているのが、シカやイノシシによる鳥獣被害。
収穫直前に農産物を根こそぎ食べてしまう。
またクマの出現は、えっクマが出たのから、あっそうみたいとニュース性のないものになってしまった。

で、農家の人は考えた。黒澤明監督の名作「七人の侍」のように凄腕の男を集めるか、それともシカやイノシシの天敵である狼を輸入して山林に放そうかと。
七人の男では手が足らない。かつてニホンオオカミという山の神がいたが、狂犬病対策でしこたま毒を使ってニホンオオカミまで絶滅させてしまった。
現在日本には狼はいない。

狼は自分自身を捕食する敵がいない「頂点種」だ。
狼は人間が挑発しない限り攻撃はしない。全国の鳥獣被害は莫大である。
私が年に二、三度シカやイノシシを食べた位では何の役にも立たない。
米国でも同様にシカの増加で生態系が悪化し深刻な問題となった。
イエローストーン公園では狼を放したところ、シカは減り、枯れていた植物は復活し、ビーバーたちも戻って来たという。

私と仕事をすると相手は私を天敵のように思い、夜な夜なワラ人形に五寸釘を打つ。
死ね、バカ、アホ、ワガママ、キ印(狂っている)と。この頃特に胸が痛い。
プロフェッショナルは、人に好かれ同情されたら終わり、嫌われている内が花と教えられた。

ちなみに三船敏郎さんは酒を飲み、酔っ払うとクロサワのバカヤロー、二度と仕事はシネーと吠えまくったとか。
仲良しクラブからいい作品、いいクリエイティブは絶対生まれない。
人に好かれようとすると作品のアチコチに妥協の産物がでる。

スポーツの格言に「練習で泣いて、試合で笑え」というのがある。
日々研鑽をした者のみ栄光ある作品が生まれる。モンゴル帝国を生んだチンギス・ハーンは、狼の群れの行動から戦術をしっかり学んだという。この話は後日詳しく。
“送り狼”というのがいる、女性はこの狼には十分注意してください。

2016年10月25日火曜日

「柿」



昨日「恋人たち」橋口亮輔監督について書いたところ、映画友だちから電話があった。
いい役者が出ていたんだぞと。

銀座の仕事場には映画のチラシを数十枚無造作に貼ってある。
「恋人たち」も貼ってあったので改めて読む。
私が“リリー・フランキーさんと光石研さん以外はシロウトさん”と書いたが、正しくは役者さんはメインとなる三人を監督自らオーディションで選んだ。
無名の新人俳優であった。

メインを支える役者として、安藤玉恵、木野花、黒田大輔、山中崇、山中聡、内田慈。
私の知らない実力派が出ていた。チラシを読み不勉強さを知った。
大変ご無礼をした。

群像劇を見る楽しみは、まるで隠し絵のように、ワンカット、ワンシーンに監督の思い入れの強い役者さんが配されている。それをウォーリーを探せのように探すのだ。
映画友だちとは、お互いに観た映画を良かったぜとか、つまんなかったよとか、ブラボー!サイコー!などと言い合う仲だ。

橋口亮輔監督作品に「ぐるりのこと。」というやはり上映した年のナンバーワンになった映画がある。夫婦関係、親子関係、親族関係、自分の周辺の“ぐるり”のことを鋭く怖ろしく描いている。
西川美和監督の「ゆれる」もいい。
香川照之とオダギリジョーの見せる兄弟関係の感情表現がすばらしい。
人間の心の中にある沈殿した闇を知ることができる。
私たちは生きている限り人間の心という見えない怪物と対峙していかねばならない。
人と人は互いにストレスをぶつけ合い“ぐるりのこと”の中で息絶えるまで息をしていく。
「飲み込めない想いを飲み込みながら生きている人が、この日本にどれだけいるのだろう。今の日本が抱えていること、そして“人間の感情”を、ちゃんと描いてあげたい――橋口亮輔」


辻堂駅改札北口斜め前に、ワゴンに載せた柿が3個300円で売っていた。
それを買って帰り、2個を仏前に、1個は深夜に食べた。まだ固くてマズかった。
サランラップで包んで冷蔵庫に入れた。何故か朝からムカムカしていた。
大人しくなり過ぎた自分にだ。

2016年10月24日月曜日

「846分」




土曜日、体に鍼を打ってもらったあと、達人の車で茅ヶ崎駅まで乗せてもらった。TSUTAYAで映画を借りるためだ。ずい分観たかった映画を見落としていた。
「レヴェナント・蘇りし者」「お盆の兄弟」「恋人たち」「王の運命」「ラブバトル」「神なるオオカミ」「マネーモンスター」の七本を借りて来た。
7泊8日計1500円、なんと安いことか。すでに旧作になっていた。

156分+107分+140分+125分+99分+121分+98分、合計846分であった。
これらを観ながら競馬中継で菊花賞を見た、笑点も見て、BSで真田丸を見た。
その後広島対日本ハムを見た。美の壺「風呂敷」も見た。
東京10区の開票速報を見て元公安検事のバンザイ、バンザイに気分が悪くなった。
で、また映画へとなった。

公開した年のベストワンに選ばれた、橋口亮輔原作・脚本・監督の「恋人たち」が抜群によかった。ワンシーンだけ出たリリー・フランキーと、スナックのお客で“美女水”を売りたいとか養鶏場を一緒に経営したいとか言って、義母と頭の薄くなったしがない夫と暮らす40代の女性を騙しては関係を持つその男役、光石研以外は全員シロウトの人を起用した作品だ。

橋口亮輔監督は人間社会のフツーの部分にある、人間の本性にカメラを向け言葉をつけリアルに描き次々と秀作を生む。特別このシーンが好きだった。
狭い平屋の住居、台所と二部屋しかない、一部屋には義母がいる。
無目的にゴロゴロ寝ている夫に「無いから買って来る」と言いタンスの引き出しから財布を出し、自転車に乗って夜の薬局へ、シャッターは閉まっている。
店の横にある自動販売機“愛のスキン”にワンコイン入れて買って帰り、服は来たまま下着だけを脱ぎ、夫にそれをつけ言葉を出さずに行為する。義母に気づかれないように。
タバコを一服するその姿に女のいとしさを感じる。
不倫する相手に会いに行くとき、くわえタバコの火が黒いパンストを焼いてしまう。

私は「恋人たち」という題名から想像もつかない人間ドラマ140分に引きずり込まれてしまった。演出家の凄さがヒシヒシと伝わって来た。他の6本もそれぞれよかった。
「神なるオオカミ」は圧倒的な狼の世界美だ。
先日熊鍋を食べたせいか、レヴェナントでグリズリー(大熊)に襲われるディカプリオを見て、熊肉は見た目よりやさしく、デリケートで実に旨いぞと声をかけた。

どの映画も人間という生き物が生きて行くのが並大抵でないことを描いていた。
株価、株価に狂っている者たち、自分の離婚届を書きながら、兄の婚姻届の保証人になる弟。朝鮮史上最大の悲劇の話、王様ができの悪い息子(王子)だと思い米びつの中に閉じ込めて殺してしまう。
男と女はどれだけ互いの挑発にのらずにいられるかという、いかにもフランス映画らしいテーマ。

月曜日午前二時十九分三十一秒、7本を観終わる。頭の体操ができた。
これから明日二時からの打合せに使う考えをまとめる。強烈な耳鳴りがBGMだ。
NHKテレビからは美しき日本の山々「大台ケ原」の映像が流れ、テロップでは鳥取県で地震があったことを教えている。