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2013年11月15日金曜日

「校庭10周だ」




2000メートルを超えるメキシコの高地で生活する民。
移動手段は二本の足しかない。

この地に「ララムリ」というほぼ自給自足の民がいる。
彼等は一日中走る、走る、ひたすら走るのだ。メキシコはかつてスペイン軍によって襲われ支配された。

戦いを嫌った「ララムリ」は逃げて、逃げて、走って、走って高地に安住するようになった。彼等の現金収入はヤギを育てて売る事と、100キロのマラソンに出て6位までに入賞するしかない。断崖絶壁を登り下る。急な坂を転げ落ちる様にひたすら走る。
タイヤのゴムで作った素足同然のサンダルで。

平地を走る速さはオリンピック選手のタイムと同じ位だ。
6位に入れば家族一年分の食料代となる。
一人の伝説のランナーは今年も1位を目指していたのだが彼はその会場までの70キロを歩き、そして走ってきた。その疲れがすでに若くない超人の足を痛めていた。

ランニング写真専門のカメラマンはスタートして直ぐに、そのあまりの速さと凄さについて行けない。レポーターとして来た元K-1チャンピオンの魔娑斗はアスリートであり足自慢だったがやはりスタートして直ぐについて行けなかった。

33歳の伝説のランナーは足の痛みに耐えながらも最後まで走り抜いた。
男として、父として、夫としてのプライドだ。
優勝者のタイムは8時間余、伝説のランナーは10時間余だった。
「ララムリ」は間違いなく世界一走る民だ。

そのルーツは「ララヒッパリ」という足による球技からだ。
松の木をナタで丸く切ったソフトボール大の固い球を、10歳から15歳位の子が、まるまる一晩中素足同然の足先で蹴り上げながら走る。
サッカーの原型かと思ったらそうではない。

丸い玉は彼等が信仰する太陽なのだ、太陽を転がし動かす事によって太陽の永遠の輝きを願うのだ。トウモロコシの豊穣を願って。
ヤワな都会人は固い球に足先が触れただけで悲鳴をあげるだろう。女性たちは赤、青、緑、黄、橙、色鮮やかなスカートを持って集まって来る。勝者にスカートを賭けるのだ。

漆黒の闇の中「ララヒッパリ」のスタートだ。
オールナイト競技なのだ。松明の灯りを持った大人が伴走し、少年たちをファイト、ファイトと応援する。球は崖から転がり落ちたり、イレギュラーな運動をしまくる。
真っ直ぐには行かない。少年たちの足と指は痛むが敗けてなるかとひたすら固い球を蹴り走る。トウモロコシよ沢山なってくれと思いながら。

「ララムリ」の民は急勾配の岩の中に住んでいる。
主食はトウモロコシで作ったナンみたいなものと大きな豆だけ、一日二食だ。
固い球を蹴りながら連帯感を深めて行くのだという。
夜が明け敗けた少年たちは悔し涙をため次にはきっと勝つ事を誓う。

「ララムリ」の民は明るい、仲が良い、人と人が励まし合う。
物質文明にどっぷりとつかった私は強烈な蹴りを入れられた(明け方にドキュメンタリー番組を見た)神も仏も信じない私に、太陽は信じなさいと命じられた。
地球上をたった一つの太陽が守ってくれているのだから。

北京の子どもたちが描く空には真っ赤な太陽は無いという。
福島の子どもたちは青い海を描かないという。

小泉純一郎元総理がこれは俺の感性だと脱原発を声高に叫び出した。
日本はヤバイというのだ。1112日記者クラブには350人近い記者が集まった。
この国は間違いなく、全てにヤバイ方向に向かって、走って、走って、走り進んでいる。
「ララムリ」と違うのは、皆利権に向かっているという事だ。

日本列島を空から見てみると分かる。この国は世界一の山林の国なのだ。
いつの日か中国からの大気汚染や原発の放射能から逃れる国民が山に向かい走りに走るだろう。地上では無実の民が、お前はスパイだろうと疑いを持たれ、それから逃げまくっているだろう。

自分さえ良ければいいんだという自己主義と、権力の暴走に対する無関心がいちばんヤバイ!と思う。コラッ「ララムリ」は凄いが「オラムリ」だと。
そんなことを言う奴は罰として校庭を10周走って来い。

2013年11月14日木曜日

「ビンボーと貧困」


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「よし、朝だ!」というのも、「あーあ朝か」というのも考え方次第だ。
泳ぎもせず、漕ぎもせず一生を終えるな。
こんなはずじゃなかったのに、という考え方は捨てなさい、こんなはずなのだから。
下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら誰も君を下足番にしておかぬ。
直ぐ役立つ人間は、すぐ役立たなくなる。
何かをさせようと思ったら一番忙しいヤツにやらせろ、それが事を的確にすませる方法だ。
過去にこだわる者は、未来を失う。
十年守りの経営をしたら企業はダメになる。
急成長会社では、無能な者が要位にいる。会社の成長についていけなかった人々だ。
優秀な兵学者が師団長として戦って、勝ったためしがない。
有名な経営学者が経営すると、会社はたいてい倒産する。
経営者が忙しいのは自慢にならぬ。
決定の場においては、トップは常に孤独である。
もっとも重要なことは、自分ひとりで決めるべし。
人の悪口はすぐ報告せよ。しかし言った人の名は言うな。
偉くなったら、バカになる修行をせよ。
小才は縁に出会って縁に気づかず。中才は、縁に気付いて縁を生かさず。大才は、袖すり合った縁をも生かす。
百人のうち九十九人に誉められる者は決していい人物ではない。
すぐ、分かりましたという人間に、分かったためしはない。
何を笑うかによって、その人柄はわかる。

ずっとむかしのある日、図書館の分厚い本の中から気に入った言葉をノートにとっていた。就活をしている人、経営をしている人、会社を辞めようと思っている人、あいつは許せないと思っている人。少しばかり参考になればと記した。

“貧困”のために学校に行きたくても行けない子どもを救いたい、等しく勉強をさせてあげたい。そのために資金を集めたいとNPOの若者は言った。
日本は寄付後進国、先進国の中ではオシリから勘定した方がはやい。
それでも3.11以後寄付ビジネスというのが盛んになって来た。

大手広告代理店の友人はとてもヒューマニスト。
その知人に協力を、何か切り口をと宿題を頼まれて、ずっと箱の下の方にあったノートを引っ張り出して思案の水にさざ波を起こしてみようと思った。

若い人に“貧困”っていうと何を連想すると聞けば、エジプトやシリア、中東の難民とかタイとかバングラディシュとか、中国の奥地などという。
日本に貧困はあるかと聞けば、ビンボーな人はいるけど貧困の人はいないんじゃないと言う。何か分かった様で分からないのだ。

つまるところ貧困と言っても若者たちの心には刺さらないというのが分かった。
それじゃ、30代、40代に聞けばなんと若者たちとほぼ同じ。
それじゃ、50代、60代、70代と聞いて回ると昔はさあとか、あの頃はとか、今思えば本当に何もなかったなあと昔話になってしまった。


大学の入試方法が点数より人間本位で選ぶなんて、入社面接みたいな変てこな話になって来ている。基本は学力だと決まっている。
それに面接する人間がそれに値するかが問題だ。
文教族たちが悪巧みを考えているのが見え見えだ。アレでひと儲け、アレでもひと儲けと。

来週火曜日に宿題を提出しなければと思っている。
先人の言葉はためにはなるが、やはり参考にはならない。

私が大好きな言葉が一つある。「千人殺すも一人殺すも、取られる首は一つ『河竹黙阿弥』」一度しかない人生、どんなに貧しくとも、自分の好きな事をしている人が、楽しそうで美しい。

よし!調子が出て来る午前二時五分と十八秒、一から出直して考えてみよう。
貧困を世に知らすべき策を。そういえば13日の夜、愚妻が作った山梨名物「ほうとう」は米が少ない土地が多かった。そこで武田信玄がそこらにあった野菜を自らの刀でぶった切っては入れたとか(宝刀ともいう)。

台所で包丁を持っている愚妻の姿にドキッとした。
我が家もかなり貧困だからな。

2013年11月13日水曜日

「勉強になる」




感じのいい人はみんなからも感じがいいといわれていて嬉しかった。
その逆に感じが悪いといわれていた人が、やっぱりみんなから感じが悪いといわれていたので人間の見る目は大きくは違わないと思った。

私の家の直ぐ側にサークルK というコンビニがある。
私は新聞やウーロン茶や雑誌を買いによく行く。
そのサークルKに「いとう」さんという252627位の女性の店員さんがいる。
 決して美人ではない。背は155センチ位、髪の毛は長くはなく、少し茶色だ。

 「いとう」さんは私が知る限りコンビニ史上一番感じがよく、とにかくテキパキしている。こんな思いは私だけかと思ったら、息子も嫁さんも、愚妻も孫たちも、ご近所の人々も、みんなみんな「いとう」さんは最高の店員さんだと口を揃えて言う。

いらっしゃいませから始まってレジを打ち、お釣りを出し(お札を出し、大きいの一枚二枚はやらない)、レシートを出す、いらないよと言えばハイと小箱に入れる。
袋はご一緒でいいですか、これとこれは別々の袋にしますねと何から何までキビキビとして一連の動きが実にスムーズであり誠意に満ちている。
作り笑いなどはしない、自然の小さな笑顔が実に気持ちいいのだ。

結婚をしているか、していないかは聞いた事がないので分からない。
もし、していなかったら独身男性におすすめの女性だ。
きっと幸福な家庭を作ってくれるだろう。毎日は出ていない、週に二日位出ている。
夜はいないところを見ると結婚しているのかもしれない。

「いとう」さんのファンは多い。店の斜め前に「アレセイア」という男女共学の私立中・高校がある。土日部活を終えた学生が、サークルKの入り口にある木のベンチに座ってアイスを食べたり、グミを食べたり、キットカットを食べたりしている。

去る九日土曜日の夕方、そのベンチに友人の娘さんが友達二人と座っていた。
娘さんはラムネの白い粒を食べていた。友達の一人はメールを見ていた。
もう一人は何かのパンフレットを見ていた。
その横にバスケット部なのか背の高い男の子が二人立っていた。
一人はカップヌードルをすすり込み、一人はペヤングソースやきそばを食べていた。

私は知り合いの娘さんに部活だったのと聞いたら、そうですと応えた。
そうだ、今日こそ聞いてみようと思い、この店で一番感じのいい人は誰と聞くと、男女五人一斉に「いとう」さんと言った。

やはり、そんじゃ一番感じ悪いのはと聞くと「☓☓」と言った。
 やはり、私も同じであった。今、あるショップの立ち上げに参加している。
ショップの命は接客するスタッフだ。この処アッチコッチの店に行ってはいい感じ、嫌な感じの勉強をしている。

「いとう」さんはいい感じ度ダントツ100%だ。
ちなみに私は不動の嫌な奴NO.1だ。辻堂か茅ケ崎に来たら是非富士見町バス停斜め前にあるサークルKに立ち寄って下さい。「いとう」さんに出会ったら私が嘘つきでない事が分かる筈です。とっても勉強になる女性です。

2013年11月12日火曜日

「ポールはずっと挑戦中」



※楽天ニュースより


みかん箱一個に天津甘栗の大袋四つ(勝栗は縁起物)これが相当に重かった。
十一月八日、舞台演出家&主役の友人が代々木の青少年総合センター442で稽古中、その撮影と激励に行った。銀座で買った差し入れをタクシーに乗せて向かった。

着いたら直ぐ側にと思った読みが浅かった。
入り口にこれ以上はクルマ乗り入れ禁止、まあ仕方ないかとみかん箱をひとまず置いて箱を開け、そこに天津甘栗大袋を四つ加えた。
以前舞台を見た時に20名位出演していたので一箱なら二個ずつ食べてもらえると思った。

ゲートの入り口のボックスに人のよさそうな五十代の男の人がいた。
すみません、ここどこですかとデスクの女性が渡してくれた地図と青少年総合センターの配置図を見せた。
カルチャー棟42はあそこの階段か、あそこのエレベーターで2階まで行って、あそこに見えるところの4階ですと教えられた。
えー、あそこか、この箱とカバンを持って随分遠いではないか、おじさんこれ持ってくれるなんて頼めそうにない。
よし、と心を強く持ちカバンを斜めがけにして、箱の両サイドに開けてある小さな丸い穴に指を入れた。

ヨイショと持ち上げて一歩、二歩、三歩…中指と薬指が思い切り痛い。
よし底を持つかと持ち上げる。重ーいではないか。
牛歩のように歩いてやっとエレベーターへ、そこを出て見ると、どーんと長い廊下があるではないか。金魚が何匹もプニョプニョ泳いでいる水槽の前に箱をドスンと置く。

42が分からない。
インフォメーションがわかりにくい、どこだろうか、いつもの事ながら一人で行動している時は子ども以下の自分が情けない。
おっ人が来た、すいませんときっと役者さんだと思った人に聞いた。
その人は役者さんではなかったが親切な人で42はずっと奧の左側ですよと教えてくれた。

重そうなみかん箱を持っていたのを見て、大変そうですね手伝いましょうか、なんてひと言も言わずに行ってしまった。親切そうに見えたのに。
指がかなり痛い、腰も腕も痛い。
そうか下に置いてラグビーのスクラムみたいに押せばいいじゃんか、とやっと気がついた。こりゃー楽ちんだ、箱の上にカバンを載せて押して押しまくる。

42に着いた。
なんでこんな簡単な事に気が付かなかったんだと思いつつ、ドアを開けた。
おっ、広—い。あっいたいた。でも真剣な姿を見て声は出さなかった。

次にあっ、いたいたの人は監督の寺尾学ぶさんとカメラマンの川西さん。
そっと静かに、どーもどーも、えっこれ持って来たのですか?そーなのそーなの遠い重い旅路だったよと言う。台本片手に演出する友人が素敵だ。
稽古する役者さんたち10人程、沖縄の三線を弾く人もいた。

いいなぁーこの空気。
近々上演の通し稽古は緊張感がピーンと張り詰めていた。
みなさん差し入れ頂きました、みなさんとても丁寧にどーもありがとうございます。
そこで撮影させて頂きシナリオの中にどう生かすかを考える。

この日はもう一箇所撮影に向かった。
東大和市にある杉田陽平さんのアトリエにレッツゴー。川西さんのクルマはベンツの4WD3500CC、グイグイ走って一時間二十分、立川駅前で差し入れを買う。
おせんべい二種、飴二種、ピーナッツなど。

お酒は飲まないと聞いていたのでお菓子にした。
緑色のアパートの一室、ジャジャジャーン、素晴らしい!130号に極彩色の杉田ワールド。絵の具だらけの床にペタンと座って撮影開始。この絵は十一月末に展覧会に出すそうだ。

既にNYの人が買う事で決まっているとか。
武蔵野美術大学出身30歳。ご注目あれ、天才の出現を。
才能✕才能✕才能、この出会いから予期せぬ科学反応を生む事が私の実験だ。


「青春は何もかも実験である」という。
クリエイティブを志す人間はいつまでも青春時代の中に居なければならない。
実験の成功は失敗の中からしか生まれない。
この日の最後は一人の女性のオーディション、ベンツ4WDは夜の赤坂へ向かった。

十一月十八日ポール・マッカトニー(71)の東京公演に行く。
音楽は永遠に青春だ。
新曲「NEW」の中のフレーズに「自ら 選んだ道を行けばいい 保証なんて 何もないけど 失うものも 何もない」ポールはずっと挑戦中だ。

2013年11月11日月曜日

「ハラタチ日記」




人類は、麺類。
なんていう骨太のキャッチフレーズを憶えている人は日本人がいかに麺類を愛すかを知っている人だ。


昨日三年振りに「わんこそば早食い大会個人戦」が行われた。
出場者は11人、15分間で何杯食べられるかを競い合う。

ヨーイドン!凄い、早い、でもマズソー、かなり汚ねえ、口の中から麺が滝の様に溢れ出し、人間麺作成機となる。
目から涙を流す者、逆流して鼻から麺が出ている者(?)、さあ食え、やれ食えと後から麺を投入するモンペ姿(?)の女性たち、男は麺食い、女も麺食い、オレはもう駄目だ、ワタシも嫌だ、こうなりゃもう麺道だと一気にお椀ごと流し込み、口の中を麺だらけにし後にのけぞり麺をブハァーと放出(?)する者。

私も大の人類は麺類派の一員だがせいぜいお椀78杯で十分だ。
で、優勝者は15分間でなんと327杯。
かけそばにして33杯分をペロリンチョと飲み込んでしまった。男四十二歳であった。

レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐の様に横一列に並んだ麺食いたちの食べた後はハチャメチャであった。
気のせいだろうか一人などは耳の穴の中からも麺が出ていた様に見えた。
東北地方の名物行事が大声援と大喚声の中で再開されたのは何よりであった。

「しあわせになろうね、あの人はいいました」島倉千代子さんの「からたち日記」の語り部分の名フレーズだ。あの頃は戦後の空腹時代から少しずつ脱するも、未だ人を愛する事には気が回らない時代であり、今では死語となってしまった。
「純愛」が求められていた。
島倉千代子は泣き節の名人、震えるような切ない歌い方が未だ純心(?)だった私の恋を応援してくれた。

しあわせになろうね、でも「お千代さん」はそうならなかった。
からたち日記は「腹タチ日記」となっていった。
ハラタチ、ハラタチ、不幸福ドラマの連続主人公だった。
でもお千代さんの歌は空腹時代の人間の腹の中にずっと生き続けるだろう。
わんこそば327杯分以上の食べ応えある、味のある歌として。

今は亡き私の先輩が酔うと必ず「しあわせになろうね、あの人はいいました」を歌った。芸能人とは光り輝いた瞬間が忘れられない悲しい業の深い職業だ。
売れれば売れる程、売れなくなった時の夢にうなされるという。
どんな大スター、大御所になっても等しくその悪夢にうなされるのだ。

花よ蝶よは女を苦しめ、あんたが大将は男を苦しめる。
人生はいろいろと人間を苦しめる。次々に投げ入れられるわんこそばの様に。
はじめの一杯、二杯三杯はおいしいが、最後の327杯目は何の味もしなかっただろう。
だがしかし苦あれば楽ありという。

ある賢人曰く「人間は他との比較をやめて、ひたすら自己の職務に専念すれば、自ずとそこに『一小天地』が開けてくる」自分の人生を、人の人生と比べるほどつまらないものはない。さあ、しあわせになろうね。そのためには永遠に努力するしかない。
ズルする、ラクする、ナマケ者には決してしあわせは来ない。

♪〜あかく咲く花 恋の花 この世に咲く花数々あれど〜、
私は「この世に咲く花」が大好きだった。

生前お千代さんはピアノを型どった墓を作っていた。
その墓の墓銘のところに「島倉忍」の文字が刻んであった。
この世に生を受けなかった子たちの名であった。
恋と愛の果てに失った三人というか三つの命に同じ名を付けていたという。
この世に芸能人という花ほど無惨な花はない。見栄と虚飾と恐怖と。

テレビでは板東英二が泣きながら植毛は経費で落とせると思っていました、スイマセンでした、どんな仕事でもしますと。
ラジオでみのもんたは、島倉千代子の葬式に行く、復帰の場面が出来たとヨロコンデ(?)いたようだ。バカ共につける薬はこの世にはない。
この世に存在する価値もない。

2013年11月8日金曜日

「トイレと、トレイ」


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ドトールのトイレに入ったら「ひと」が付いて来た。
昨日午後十二時三十分に関係スタッフが集合。

その場所は神奈川県相模原市淵野辺駅改札口、大事な仕事が控えているので30分早めに着いた。ここには桜美林大学や青山学院大学の学部が二つあり若い学生が多い。
少し腹ごしらえをしようと駅の側にくっついているドトールに入った。

私はホットドッグ大好き人間なのでドトールのレタスドッグをよく食べる。
で、店に入ると昼時なので楕円形のテーブルも、小さなテーブル、小さな椅子もほぼ満席。大事な仕事の為に用意した書類や資料がゴッソリ入ったバッグが重い。

しばし立っていると席が一つ空いた。
そこにまずバッグを置いてオーダーに、アイスコーヒーSサイズとレタスドッグを一つ。
アイスコーヒーが直ぐに出てそれをテーブルに。
ストローでキュイーンと二回吸ったら、レタスドッグの出来ましたコール。
ハイ、ハイと取りに行き椅子に座る。

トレイの上はホットとアイスないい感じ、同じドトールでもレタスドッグの味は一店一店違う。アツアツの店もあればホドホドアツ、チョッピリアツ、冷え気味のホット(?)というケシカラン店もある。淵野辺のドックはアツアツであった。
今日はいい日になるかもとホットを味わう。

あと10分かそろそろ行くべし、とその前にオシッコをしておこうと思いトイレに向かった。男マークと女マークが一緒という事は男女共用という事。
私がノックを忘れたのがイケなかった。

トイレのノブを引っ張るとグイという手応え、あれと思いグイグイと引っ張ると更にグイグイといった手応えがした。海釣りに行って魚が掛かりグッグッと来たあの感じとほぼ同じ。グイと引張るとなんとオジさん(?)が半分出て来たのだ。
その手は一方でノブを掴み、一方はズボン(?)を掴んでいた。

アッ、ス、ス、スイマセンと言ってそこをさあっと離れた。
それを見ていたドトールの女子店員二人が、アラッイヤダァーと言って吹き出して後ろを向いた。ヤベエー早く出ようとカバンを持ち、トレイを片手に持ちそれをカウンター横の置き場所に置いてスタコラ店を出た。

女子店員はふっくらしたほっぺがとてもいい感じの娘さん、もう一人は顔がよく見えなかった。アレ、待てよもしかしてオバさんだったかな、いやオジさんだったよな、眼鏡かけた。駅の階段を登りながらノックをしなかった私が悪いのか、鍵を閉めてなかった相手も悪いのかを考えた。


そうか、座ってから鍵をかけようとしていた時に丁度引張ってしまったのかもしれない。
何しろ狭いトイレだった。今もグイグイした感触が残っている。

2013年11月7日木曜日

「見た目より」


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たった二ヶ月で−15kg達成。
30日間全額返金保証制度、専属トレーナーと二人三脚で目標体重、目標サイズを今こそ!なんて書いてある小冊子があった。

同じように、痩せたくない人は見ないで下さい。
これまでの失敗は科学的根拠のある痩身治療で取り戻す。
無痛、短期、安全、−2kg〜−30kgと小冊子。

AGA患者(?)の98%に効果、銀座HS式薄毛治療。
日本皮膚科学会による薄毛治療薬品の推奨度A、専門医師による頭皮と髪の健康診断総額3,150円と小冊子。

これは昨日タクシーに乗ったら目の前にあったのだ。
アホ言え、二ヶ月で−15kgも減ったら四ヶ月で−30kg60kgの体重だったら30kgになっちまうじゃないか。えっ何!痩せたくない人は見ないでだと。
どこに科学的根拠があんだよと実は見てしまった。 

3,150円で薄毛の相談だと、えらい高いじゃないか、どうせ毛一本も生えるわけはないとタクシーの中でブツブツ言って小冊子を元に戻した。

偽装や誤表示がわんさか出て来た。
そんな中でやけに気に入らないのがブラックタイガーがまるで悪者扱いされている事だ。車海老が正であって、ブラックタイガーは邪の如くだ。
私は気取った車海老よりゴッツイブラックタイガーが大好き、子どもたちも孫たちも親族一同、親戚一同でっかいブラックタイガーを支持している。

車海老が白人でブラックタイガーは黒人扱い。
車海老がホワイトカラーでブラックタイガーはブルーカラー。
タイやフィリピンからの不法労働者的扱い。
偉いじゃないか、家族のために働きに来ている人々は、法に守られて悪い事ばかりしている奴等より。

どこぞのレストランがウチじゃ真っ当な車海老しか出してませんなどと言ってやがった。
私的には海老フライは車海老よりブラックタイガーの方が全然旨い。
インチキ臭いお前の処なんか気取って高いだけ二度と行くもんかと思った。

ブツブツ言いながら窓の外を見ると、どーんといつも見慣れた大きな看板広告。
女子競輪の広告だ。そこには「顔より太もも」とバカでかく書いてある。
そういえば先日会った一人の巨匠は、女性の太ももに一番色気を感じると言っていたのを思い出した。ピッチピチの太ももの女性が自転車の横に立っている。
いいキャッチフレーズと、いいビジュアルに脱帽だ。

と、その向こうに「あなたの骨盤は正しい位置か」と骨盤矯正治療院の文字。
何度見てもインパクトを感じる看板だ。
そんなこんなでブツブツしながら仕事場に戻った。

朝から何も食べてない。
よし!今夜はブラックタイガーの特大海老フライ2本1500+消費税を平らげてやると心に決めた。


ついでに言えばバカ高い伊勢海老も気に入らねえ。
ホテルの結婚披露宴で出される伊勢海老は、ほぼ100%冷凍輸入されたもの、南半球産(和名・ミナミイセエビ)だ。ガキの頃割り箸にタコ糸を巻いてその先にスルメを付けて釣り上げたアメリカザリガニと大差ねえんだと言いたい。

花屋の気取った花より、雑草の中にぽつんと咲いている野菊の方が余程美しいのと同じだ。ウソはいけないが誤った気取りも始末が悪い。
見た目美人が心の中も美人かというと殆ど違うのと同じ。
それより骨盤の正しい位置とはどこだろうか。       

2013年11月6日水曜日

「ある村で」




恐い映画を観た。
恐いといっても、オカルトや復讐や残忍な殺しや異常犯罪ではない。

それは一人の幼稚園児のひと言だ。
鹿狩から帰ったとある小さな村の男たちは酒盛りをする皆酔っ払う。

少女の兄が妹にワイセツなポルノ画像をiPad(?)で見せる。
少女は幼稚園児の中で感受性が強い子とされていた。
少女は一人の男に恋心を抱いていたが、関心を示してくれないので腹いせにある言動を口にする。

 妻と別居をしている一人の男が少女が通う幼稚園で働いている。
息子とは妻の承諾なくしては会えない。山々の側にある町は美しい。
住んでいる人々は皆、敬虔なクリスチャンだ。一人の男もそうである。
 ある日、あるひと言があるまでは。

男たちは鹿狩の仲間であった。男の名はルーカスという。
クララという少女は園長さんにルーカスから変なものを見せられ、変な事をされたと告げる。

町は一変する、男の状況も一変する。
クララの告げ口が何もかもを激変させた。

ルーカスは性的異常者にされてしまい酷い事をされる。
愛犬は殺される、買い物に行けば店員に殴られ、蹴られ顔は傷だらけとなる。
警察に捕まってしまう、ルーカスは必死に少女の嘘だ、作り話だと言うのだが。

映画の題名は「偽りなき者」現代社会の犯罪の多くに、フェイスブックとかラインとか出会い系サイトとかが密接に複雑に絡んでいる。
使い方を少しでも間違うと少女の告げ口の様に凶器となる。
少女もインターネット上のポルノ画像の犠牲者であった。

日本シリーズ第七戦、田中将大投手に心打たれた後、この映画を観てすっかり気分が落下した。連休前にTSUTAYAに行き六本レンタルしてきた内の一本だった。
ルーカスの息子の名はマルクス、月日は経ちルーカスの無実というか何も見せてない、何もしてない事が警察にも町の人々にも認められた。

クララが父親にルーカスは何もしていない、私はいけない事をしてしまったのと告げたからだ。やがて少年マルクスは猟銃を使える年齢となり、町の皆から祝福される。
狩人の仲間になった祝にとルーカスは銃をプレゼントする。
そしてある年のある日、親と子、仲間たちは鹿狩に行く。
息子に狩りの仕方を教えルーカスは一人山の中で鹿を追う、とその時一発の銃声がする。ルーカスは危うく頭を撃たれそうになる。
ルーカスが銃声の先に見た人影は(?)。

犯罪捜査の世界では「多くを語る証人は、多くを知らない」という。
多くの冤罪はでっち上げの告げ口と激しい拷問から生まれた。
それ故今日では、自白は証拠価値はない。

大人たちはくれぐれも気をつけて下さい。
イケナイ画像を子どもに絶対見られないように。これは偽りのない私の気持ちです。
我が子たちは大丈夫だろうか、我家にパソコンは無い。iPadiPhoneも無いのだが。

気分がハイになっている方にオススメの映画です、どーんと沈みます。
映画の監督は名匠トマス・ヴィンターベア、主演のマッツ・ミケルセンはこの映画で第65回カンヌ国際映画祭で主演男優賞他3冠を達成した。
デンマーク映画恐るべし、「子どもと酔っ払いは、ウソをつかない」というのだが。

2013年11月5日火曜日

「それぞれの道」






たった一球のストライクで英雄になり、たった一球のフォアボールで戦犯になる。
たった一つの死球で試合は壊れ、たった一つの失策で一年間の努力は消え去る。
たった一球の先に栄光と敗北がある。
たった一つの勝利を求めてプロの男たちは人生を賭ける。
主役を演じる者、脇役に徹する者。

巨人対楽天の日本シリーズ第七戦、最終回のマウンドには前日160球を投げた田中将大投手が仁王立ちしていた。
一年間敗け知らずという奇跡的な投手はそのプライドを初めての敗戦投手という結果で傷つけられた。最終戦最終回、自ら志願したというが星野仙一監督は勝っていたなら胴上げ投手は田中将大でと思っていたのだろう。歓喜の演出と東北のファンへの感謝を込めて。

30で勝っていた楽天、この試合に勝てば日本一だ。
前人未到の男の球はさすがに疲れていた。ヒットを2本打たれる。
代打矢野謙次選手に一発のホームランが出れば同点となるのだが、巨人に代打の人材が不足していた事が証明される。
矢野選手は今シーズン一年間を通して2本の本塁打を打っただけの長打力しかない。
だが、もしかしては過去に何度も起きている。

だがやはり田中将大の投じた命の豪球は矢野選手を圧倒し三振させた。
ゲームセット、東北に歓喜の渦を巻き起こした。
私はこの試合を決めたのは四回一死澤村投手から打った牧田明久(31)選手のホームランであったと思う。

牧田選手はどのチームもいらないと、分配ドラフトされた選手であった。
00年秋ドラフト5位で近鉄に入団、最初の四シーズンは一軍出場なく、楽天創設時寄せ集めの選手の一員であった。
日本シリーズ第一号は巨人に深手を与え、それが止めとなった。このシリーズは脇役の差が出た。それと一球に対する執念と球際の強さの差だ。

牧田選手が打った後グランドを回る姿に、チキショウ主役たちに敗けてたまるかという男の意地を見た。

私は果たしてたった一球に命を賭けるプロの選手の様に全力で生きて来ただろうか。
プロとして努力を続けて来ただろうか、悔し涙をどんぶり何杯分も流してきただろうか。私にとって仕事を依頼してくれる会社並びに人々は主役であり監督でもある。
その期待に応えて来ただろうか。脇役としての力を発揮して来ただろうか。

牧田選手の四打席を見ていて胸が熱くなり、心を新たにした。
日本シリーズ七戦で楽天の総得点は21点、巨人は15点であった。
その6点差は間違いなく脇役の集中力と精神力の差だった。

脇役に栄光あれ、東北に復興あれ。この日サッカーの三浦知良選手が468ヶ月8日、最年長ゴールを決めた。唐獅子牡丹を演じた高倉健(82)が文化勲章の親授式に出席した。主役たちには主役たちの長い道が待っている。人間はそれぞれの道を極める素晴らしい生き物だ。

2013年11月1日金曜日

「クルミパン」

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人間がこの世で生きていく上では必ず何かの影響力を受けている。
良い影響力もあれば、すこぶる悪い影響力もある。

アメリカの経済誌「フォーブス」が恒例の「世界で影響力を持つ人物」の番付を発表した。対象は各国の首脳や企業経営者だ。
それによると1位はロシアのプーチン大統領、二年連続トップのオバマ大統領は2位、3位は中国の習近平国家主席。

日本では黒田日銀総裁が39位、ソフトバンク孫社長が45位、総理大臣である安倍晋三はなんと57位だった。如何に世界の目は安倍晋三に対して厳しいものを持っているかを表している。つまり影響力は全然ないのだ。
自分が選んだ日銀総裁より下に見られてる事を知って愕然としただろう。
一年後安倍政権のままである保障は何もない、一寸先は闇だから。

ある記事にビックリした、確かイランだったと思う。
麻薬を売って死刑を執行された人間がなんと生きていたのだ。
絞首刑にされてガターンと落ちて12分、すっかり動かない、もうあの世に行っただろうと下ろすとなんと生きていた。

一日様子を見た後この人間は無罪となったという様な記事だった。
執行は二度する事が出来ないからだとあった。
絞首刑のあり方に大きな影響力を与える話だ。
日本でも絞首刑はやめて薬物にしてはとの議論がされている。

いまさら日展の審査が大ボス、中ボス、小ボス、ただのボスの系列で入選が割り当てられているなんて事を朝日新聞が朝刊一面にデカデカと書いた。
画壇、書壇、文壇、彫刻壇、およそ「壇」と付く世界はボスの影響力で決まる。
お決まりの貢物、金、酒、女性または同性愛だ。

大ボス、中ボスたちは実は殆ど弟子に書かせて最後の仕上げをチョコ、チョコと手を入れただけともいう。こんな話は今更なのだ。
朝日新聞がトップ記事に持ってきたのには何かの影響力が働いたのだろう。
今どき日展入選なんて「へ」みたいなものなのに。

書道展なんて毎年金太郎飴みたいな同じ代物ばかりだ。
私の敬愛する浅葉克己先生の書の敵ではない。全部中国の真似ばかり、中世の真似ばかり、独創性が無いのだ。
こういう悪い影響力をやたらに発揮する人は若い才能の芽を殺すので、いち早く退いてほしいと思う。

集英社は30日、尾田栄一郎(38)さんの「ONE PIECE」の単行本が累計3億冊を超えたと発表した。鳥山明さんの「ドラゴンボール」の15200万部を大きく上回った。
72巻が与えた影響力は途方もなく凄い事だ。文化勲章をいずれ与えねばならないだろう。

大ボスとかの影響力のおこぼれで生きている人間のなんと多い事か。
そのおこぼれが手にできないとなると必ず密告をするのだ。愛憎の結果もある。
これは人間の持つ悪い「性」みたいなもので大化の改新以後ずっと続いて来たしこれからも永遠に続く。

私は基本的に反権力、反権威だが若い人材を育てるためにはやっぱり◯△賞は獲れよと応援する矛盾を抱えている。それ故、人々に迷惑をかけ、悪い影響(?)を与えて来た事を反省している。

私を知る若者はどうか私を反面教師にして下され。
えっ、何も影響力なんか無いってか、そりゃ結構でやんした。

今年もいよいよあと二ヶ月か。クルミパンを口にくわえながらカレンダーをめくり十一月にした。それにしても本拠地で1918年以来95年振りの世界一を目指すボストン・レッドソックスの田澤純一と上原浩治は素晴らしかった。
出歯と歯茎がこれほど美しいのを見た事がない。
全力で世界一になった後のタフな男たちの歓喜の姿に全身鳥肌が立った。