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2013年9月4日水曜日

「ご婦人の行方」




凶暴な暴力団の組長がいちばん真っ当で、その終わりが何とも悲しく切ない映画を見た。題名は「悪いやつら」韓国映画であるが、まる事日本にも当てはまるだろう。
否、世界中のどの国にも当てはまる筈だ。

早い話、暴力団を法によって取り締まる側、特に検事たちがいちばんの悪だとしたら世の中はどうなってしまうのか。
どの国でも官僚という人間は縦に横に斜めに円にと、太く強いラインによって繋がっている。それはまるで織物の様であり、蜘蛛の巣の様であり、人間の細胞の様でもある。

悪と悪と悪と悪は、血縁であったり、学校の同期であったり、先輩後輩であったり、同郷であったりと結束の黒い絵柄を作り出す。

公務員という役人は大中小、松竹梅、上中下、お互いの利益を求めて様々なランクで取引をしているのだ。仁義を重んじる若い暴力団組長はその悪の前では無力な存在だ。
官僚たちにとって政界も、経済界も、思想界も、ジャーナリズム界も、教育界もつまるところ◯☓界、◯△界、□◯界、「界」と名のつくところは全て問題外なのだ。

「官界」こそが全てなのだ。
あんたらは金儲けが仕事だろうが、「俺たち極道は抗争が仕事なんだ、コケにされて黙っちゃいられないんだよ」と静かに怒っても悪いやつらにとっては片腰痛いという事になる。消費税をあげて誰がいちばん喜ぶかは明白だ。
それは「財務省」だけ。天下り先が見えない糸で繋がって行くだけなのだ。
後はそのおこぼれに群がる小判鮫たちだ。官僚たちは自分たちの出世のためなら戦争だっておっぱじめるのは朝飯前の事なのだ。

これはあくまで映画を観た感想だ。
心あるお役人、志あるお役人、正義感に満ちたお役人も悪いやつらと同数以上いると思っている。悪知恵にたけた人間に簡単に騙されてしまう武闘派の「親分」がかわいそうと、映画館のロビーでご婦人の二人連れがつぶやいていた。
更に検事たちがいちばん悪なんて韓国って怖いわね、信じられないわとも。
この種の映画が日本で作れなくなったのは何故だろうか。
映画「界」もはやり問題外になってしまったのか。
黒澤明監督の「悪い奴ほどよく眠る」なんていう名作があったのは遠い昔の話なのか。

新宿伊勢丹斜め前、シネマート新宿で絶賛上映中。
ちなみにご婦人お二人は、映画館の通り向かいの「富士そば」という立ち食いそば屋さんに入って行きました。

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