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2015年2月18日水曜日

「酔心」




ネバーギブアップ→諦めない男たちに私は感動する。
また男として、プロとして、夫として、父親として家庭を守る男に落涙する。
実に誇り高く美しい姿だ。

背番221プロ野球打撃投手「藤井秀悟」(37)は昨年限りで現役引退した。
ヤクルト時代に最多勝、最優秀投手、ベストナインにも選ばれた、日本ハム、巨人軍でも活躍した。最後の球団はDeNAであった。
そして現在巨人軍の打撃投手(バッティングピッチャー)である。

試合用の選手ではなく、練習用の選手である。打者が打ちやすいように投げ続ける。
背番221が何を意味するかは私には分からない。
一流のプロだった男が誇りとプライドを捨て黙々と投げる。だが誇りに満ちている。

巨人軍の用具係に「入来祐作」という元エース級のピッチャーだった男がいる。
一度は大リーグにも挑戦した。今は汚れたボールを磨き、バットやグローブやユニホームなど野球に関する用具の世話をする。プライドも誇りも一つ一つの用具に与え続ける。

大相撲に「栃ノ心」という前頭の男がいる。怪我に泣き十両から幕下まで落ちた。
外国人(グルジア)であるが日本人の何倍も日本の国技を愛する。
幕下になると給料は出ない。十両とは天と地ほどの差がある。

だが栃ノ心は引退をせず黙々と稽古に励み怪我と戦い、自己と戦い十両にあがり、全勝優勝を重ねついに前頭の上位に復帰し大関、横綱と戦っている。
体はボロボロだが男の意地はピカピカなのだ。

「やせ蛙まけるな一茶これにあり」と「小林一茶」は詠んだ。
一度地獄を見た男たちが生きる姿ほど美しいものはない。その顔、その目、その汗、その泥、その傷、全てがプライドと誇りに満ちている。

私は、小作人であり続けたい。バカであり続けたい。
藤井秀悟投手の夢は、もし東京五輪で野球が復活したら「オリンピックの打撃投手に選ばれたい」であった。挫折もせず、敗北感も味あわず、身の丈以上のプライドを持っている人間に負ける訳にはいかない。

昨日私が心身を痛めている時に熱心に指圧をし続けてくれた先生が仕事場に来てくれた。バブルが弾けた時、弟夫婦が経営する料理屋の連帯保証人になっていて一家一族夜逃げして万歳した。
かれこれ30年近い付き合いだ。私と同じ年、先生もいろいろあったなとソファーに横になって話した。先生は久し振りにと私のツボを次々に押した。
痛、痛、痛えよぉ〜先生と、のたうち回った。いろいろあったね、相変わらずアチコチ、ゴチゴチだねといって先生は笑った。

その後先生と一杯飲んだ。まずお新香五点盛りをつま味にした。
酒は広島の銘酒「酔心」であった。弟夫婦は生活保護を受けている、そして弟は糖尿病が悪化し、人工透析を続けている、奥さんも病身だといった。
日本画が上手だった。おかみさんは九十二歳になった。

先生は後期高齢者がもらえるという無料のバスの話をした。
いや1000円で乗り放題だったかもしれない。世の中の90%はやせ蛙なのだ。
チクショー負けてたまるか。

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