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2024年3月22日金曜日

「ばかな話その(6)勉強ばか」

「ムチャクセイキョウ」(無着成恭)という 名物先生が、ラジオのレギュラー番組に出ていた。先生はすでに故人だ。 東北の地に“山びこ学校”をつくり、子どもたちに独特の教育をしていた。ラジオ番組の名は確か「もしもし電話相談室」だったと思うが、記憶は定かではない。無着先生は東京では“ミョウジョウガクエン(明星学園)” という制服なし、私服でOKの学校で教鞭をとっていた。ラジオ番組は夕方だった。小学生たちが電話で相談すると、無着先生や他の先生が質問に答える。生放送形式であった。もしもし、小学六年生の〇△です。ハイハイ、センセイナンデボクノオチンチンハ、オンナノコヲミルトカタクナルノデスカ。う~む、それはねキミが順調にお兄さんになっていってるからだよ。オニイサンニナルトカタクナルノデスカ(?)、センセイモナルンデスカ(?)う~む、先生もなるんだよ。カタクナルトイケナインデスカ(?)いけなくないんだよ、う~む、このことは中学生になると、先生が詳しく教えてくれるからね。こんなやりとりもあったりした。オトウサント、オカアサンハ、ナンデイッショニネルンデスカ(?)ワタシハ○△小学五年生ですと、女の子の質問。う~むそれはお父さんとお母さんが仲良しだからなんだよ、デモイツモケンカシテマス。そうなの、でも大人はケンカするほど仲がいいともいうんだよ。なんて質問に先生たちは悪戦苦闘する。今の時代にこういうライブ感のある番組はない、もしくはできない。昭和はラジオが全盛だった。令和の今はスマホ全盛で見えない相手と交信している。例えば今の状況を“もしもし”風にしたらこうなるだろう。ボクハ○△小学六年生です。ナンデセイジカハウソバカリツクンデスカ(?)う~む、それは政治屋だからなんだよ。セイジカト、セイジヤはドウチガウンデスカ(?)う~む、政治家は国の将来を考えたり、国民の生活を守り、よりよくするんだ。政治屋は自分の選挙のことばかり考え、裏金という悪いお金をつくっているんだよ。ソレデハセイジカトイウヒトタチハワルイヒトバカリナンデスカ(?)う~む、そうとばかりは言えないけど、そういうひとが多いんだよ。セイジカノヒトハトテモベンキョウガデキルンデスヨネ、デモドウシテケイサツニツカマルンデスカ(?)う~む、それはね勉強ばかりしていて、ばかになっちゃったんだよ。ナンデベンキョウバカリシテイルトバカニナルンデスカ(?)う~む、キミのお父さんは何んの仕事をしているの(?)ダイジンデス。えっ、大臣なの。ソーデス、トーダイヲデテイルノニ、ウソツキダト、トモダチカライワレテマス。う~む、そうなのかそれはこまったね、お父さんは今どこにいるの、ハイ、ケイムショノナカデス。こんなことだろうか。出来の悪いコントのような国会中継を見ていると、法律とは一体何んのためにあるのかと思わずにいられない。食うに困った老人が二度、三度とコンビニで、300円ほどの食べ物を盗んで刑務所に入れられる。かつて私の後輩だった人間が、植木市で盆栽を一つ盗んで刑務所に入っていると聞いた。かなり高額な盆栽だったらしいが、身柄の引き受け人がいなかったらしい。女房に捨てられ、我が子からも見捨てられたらしい。七十代になっての刑務所暮らしはキツイ。こんな話が悲しい「春分の日」である。スポーツ新聞はひたすら、大谷、大谷、大谷選手の記事が独占しつづける。日本のプロ野球は完全に大リーグの2軍化している。春の選抜野球チームに、珍らしい学校名の高校が初出場していた。その名は、「耐久高校」和歌山代表だ。何か今の世の中を代表しているではないか。値上げ、値上げ、値上げで“耐久レース”をしている我々を。第一回戦中央学院高校と対戦したが、1対7で敗けた。和歌山といえば先日、国会でヘラヘラ、ヘラヘラ、ウソばかりを言っていた参議院議員世耕弘成を思い出す。“全身嘘人間”だ。この手の人間は恥というのを知らないから始末が悪い。カンナクズみたいな政治屋に、国民は年間一億円近くを与えているのだ。故池波正太郎の名作「必殺仕掛人・藤枝梅安」に始末されるような悪党だ。不眠が酷くて、寝つけないので、故笹沢左保の名作、「木枯し紋次郎」を見ている。アッシにはかかわりのないことでござんす、長い楊枝を口から放す。宿場の飯屋で食べるメニューが、私の大好物と同じなのがいい。冷や飯にメザシの焼き物二匹、あとはとろろ山芋だ。それを一気に食べる。呑気に食べていてはスキが出て襲われる。早メシ、早グソ、武士のたしなみという。戦場ではそれがジョーシキ(常識)なのだ。すっかり時代劇のいい映画がない。制作費が高いので作れないのだ。又いい役者もいない。名優故勝新太郎の座頭市と、名優緒形 拳が共演した映画は見応えがあった。緒形 拳も目の見えない悪党の検校役。見えない者同士が、酒を飲み交わす。このシーンは圧巻だった。今の世は“欲望”しか見えない。その他には、絶望だ。座頭市がいうところの嫌な渡世なのだ。それでも私は希望を捨てない。始末の悪いことに、いいシナリオ(?)が次々と浮かぶのだ。♪~ 私バカよね おバカさんよね うしろ指 うしろ指 さされても……。なんて口ずさみながら。「存在の耐えられない軽さ」という名作があったが、私の場合は、「その存在のあまりの酷さ」といえるだろう。♪~ 人生が二度あれば、なんていう歌があったが、人生は一度しかない。もしもし小学校五年生の◯△ですが、と女の子。オトーサント、オカアサンガ、ナイフト、フォークヲモッテ、ケンカシテルンデスガ、ドーシタライイデスカ(?)う~む、それはきっとナイフでリンゴを切って、フォークで切ったリンゴを刺して、仲良く食べようとしてるんじゃないのかな、ケンカではなくて、きっと……無言。先生は言葉が見つからない。令和の今、昭和がブームらしい。昭和は戦争ブームだった。その戦争を始めたのは、赤門を出た東大法卒たちであった。(文中敬称略)







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