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2013年4月18日木曜日

「傘がない」


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ここに二つの調査の数字がある。


専門学校の学費(学費JP調べ)
(1)鍼灸、マッサージ    (3年)446万円
(2)臨床検査、診療放射線など(3年)358万円
(3)歯科技師、歯科衛生士  (2〜3年)316万円
(4)製菓          (2年)306万円
(5)旅行、ホテル      (2年)252万円
(6)電気、電子、機械    (2年)242万円
(7)美術、デザイン、写真  (2年)241万円
(8)理容、美容       (2年)237万円
(9)看護          (3年)231万円
10)自動車整備         (2年)224万円

次に資格別平均年収(年収ラボ調べ)
(1)弁護士          1271万円
(2)医師           1141万円
(3)公認会計士          841万円
(4)社労士            760万円
(5)公立小中教員         742万円
(6)不動産鑑定士         623万円
(7)獣医師            616万円
(8)歯科医師           582万円
(9)一級建築士          551万円
10)薬剤師             518万円

何だか釈然としない数字もある。
あくまで平均値であるから、思い切り稼いでいる人もいれば、全然稼げない人も多いという事なのだろう。

確かに歯医者さんは今や、“歯医者復活戦”といわれている。
歯医者さんの数は全国で約六万数千余り。
コンビニ全部が四万五、六千余りだから、いかに歯医者さんの数が多いのかが分かる。
評判のいいところと、そうでないところの差が大きいのだ。
資格を取っても仕事にありつけない人も多いのが現状だ。
それにしても、もの凄く難しい一級建築士とか弁護士の平均年収は安すぎる気がする。
やはり一流の人に仕事が集中するからだろう。
弁護士のワーキングプアなんて勿体ないと思う。

ニセ歯科医のインプラントを打ち込みとか、
ニセ医師が胸やオシリをナデまくりとか、
ニセ一級建築士になりすまして荒稼ぎをして、パクられる不届きものが後を絶たない。
無免許で整形手術をして、ハチャメチャの顔や肌にされる女性も後を絶たない。
直しても仕方ないものは直さない方がいいと思う。

例え鼻が天井を向いていても、その鼻の穴がチャーミングでカワユイという人が必ずいるはずだ。
え!雨の日に鼻の穴に水が入ってしまうってか。
その時は傘をさせばいいのだ。
ファミレスのお子様ランチに色鮮やかな小さな傘が国旗と共にある。
その傘がなければしばらく人差し指を二本入れればOKだ。

2013年4月17日水曜日

「プロデューサーハルキ」




芥川賞第八十一回候補作の中に、村上春樹の「風の歌を聴け」があった。他に七人の作品。
又、第八十三回に「1973年のピンボール」が候補作としてあった。他に六人であった。

初めて候補作になった時の審査員の論調に“今日のアメリカ小説をたくみに模倣した作品もあった”といわれた。大江健三郎の否定的な見解を含め、触れずにはおかれないものを村上作品は持っていた。
後になぜ村上春樹に芥川賞は与えられなかったかを論じた本が幻冬舎から出た。

私的に論評すると、村上春樹はライターよりもプロデューサー&アドマンとして極めて有能であるという事だ。
主に若者たち、女性、主婦たちが支持をする、ユーミンの歌のプローモーションや桑田佳祐のそれに似ている。
様々にタイアップを実現する。

主人公が何を食べ、何を聴き、いかなる服とメークをほどこしてどこへ行くか。
ブランドメーカーとタイアップしたかの様に。片岡義男と植草甚一にも近い。

IQ84の女殺し屋の陳腐さには笑った。
ホテルオークラのベッドルームであっさり殺される新興宗教家のガードの甘さやその鈍重さを笑った。女殺し屋のSEXも笑った。
シャルルジョルダンのヒールをはいて高速の非常口から降りる出だしに、ヤバイこれは読んではいけない本を買ってしまったと思った。
仕方なしに上下両方読んで、息子の奥さんにあげてしまった。

さぁ、出すぞ出るぞと広告界でいうティーザー広告を行い期待感を出す。本の中に出てくる音楽はすでにCD化する体制ができている。タイトルの付け方が抜群に上手い。中身は殆ど大衆娯楽ファッションライフ小説だ。

小説は上手い作家が良い作家か、売れる作家が良い作家か。
それは今の出版社にとって当然後者だ。
そもそも芥川賞は文藝春秋社による、文藝春秋社のための文藝春秋社の広告だからだ。あまり露骨になったらマズイじゃんと他の出版社からも出す。
文藝春秋の社員がたくさんの作品の中から、あらかじめ選んだ十作品前後を審査委員たちが読んで、アレ、コレ、ソレ、ソコ、キモチイイ。
ダメ、イカン、スキ、キライ、ヘタ、ウマイを論じ合う。
「え〜、もしもしこちら、日本文学振興会ですが」と電話が入れば、バンザイ受賞となる。

芥川賞の功を認めるが、疑問点、罪も認めざるを得ない。
あまりに書き手のニュース性や話題性に期待する出版社(文藝春秋)の意向を重視するきらいがある。
それ故、才能がありながらも選にもれ、何人もの自死者を生んだ。(太宰治をはじめ)
過日読んだ「芥川賞物語」(川口則弘著)を読むと実にその裏話が面白く、小説家が狭隘の中に住むひとりよがりの生き物である事が分かる。

村上春樹は今回のタイトルも実に上手い。ラストに北欧に行くのもパターンだ。
書店は村上春樹堂となり、本は平積みどころか、積み上がりタワーの如しだ。
何かに似てる。
このプロモーター的やり方、そう、茶道家の千利休だ。

この人も実にプロデュースが上手かったし、金儲けが上手かった。
誰かが何を何時どこで欲しいかを臭いで感じた。
また瓦職人の長次郎に焼き物を作らせ大ヒットさせた。
少しは利を休めから「利休」となったという説もある。

芥川賞はあくまで新人賞、大文学賞ではないという。
この頃は本屋大賞の方が話題を集めている様だ。
村上春樹を読む気は今はない。

2013年4月16日火曜日

「カユイ貝」

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マシンといえば機械の事と相場は決まっている。
ホンダがF1に再び参入する。
バイクオヤジ本田宗一郎もよろこんでいるだろう。あの世のスタンドで。
知人のF1レーサー中野信治さんも。さあ出番だ、と腕をまくっているはずだ。
マシン音痴の私がマシンを知る事になった。
何かといえば“ジンマシン”だ。

その日家族とお寿司を食べに行った。
お寿司は何より大好きで毎日でもOKだ。
コハダ、イカ、マグロの赤身、エビ(ボイルしたもの)、タイ、アナゴ、かんぴょう巻きを各一貫ずつ食べた。
その前に酒のつまみでお刺身の盛り合わせを少々。家に帰ったのが午後八時頃であった。
十一時を過ぎたあたりからやたら体がカユくなった。手、足、胸とカユくなり顔が猛然とカユくなった。酒を飲むと血管を刺激し、ジンマシンは広がると後で聞いた。
かつて経験した事のない状態となったのは午前一時を過ぎた頃だ。いよいよ全身がカユい。
頭が心臓になったかの様にグアングアン、ドッキンバッコン呼吸する。
本当の心臓の方もバッコンバッコンしてきたではないか。
鏡を見るとまっ赤にふくれあがった顔があるではないか。
まるで三升位飲んだ様な顔だ。
こりゃヤバイ。隣の部屋に寝ている愚妻に
「オイ、死ぬかも知れない。これから書くものを明日会社にFAXしてくれ」と言った。
今受けている仕事で支払う先を書いていった。
私にしか分からない事なので、もしもの事があったら仕事を頼んでいる人たちに迷惑をかけてしまうからだ。
一枚の紙にビッシリ書いて、これから市立病院へ行く、と言った。
ネボケた愚妻が「飲み過ぎよ。何!その顔酷いじゃないの」と言った。
元々酷い顔だ、行って来るからな、と呼んだタクシーに乗った。
なじみの運転手さんが「どうしたんですか、まっ赤な顔で」と言った。

市立病院に着いたのが二時頃であった。
日曜日にカユくなり、日付が変わって月曜日となっていた。幸い救急は私一人だった。
おなかの大きい看護士さんが受付の若い男の人と出て来た。
「電話をしてくれないとダメですよ」と言った。
若い男の人が「今日は仕方ありません」と言った。
「おなか大きいけど妊娠中なの?」
とカユいながらもいつもの調子で聞くと、「七ヶ月なのよ」と言った。
「大変だね」と言ったら、「人手不足なの。婦長さんに言って下さいな。こんな体なのに夜間の仕事をさせるな、って」と言った。
三人目なのよ、と言いながら体温計を出した。
ボリボリかいていたら若い先生が診察室の扉を開けて、どうぞと言った。
何を食べました?とか、過去には?とか言いながら体中を見て、聴診器を胸にあてた。点滴をします、と言った。
何ですかね、と聞くと、
「何かのアレルギーでショックを起こしているところです。子どもさんだったら危ないところですよ」と言った。
「特効薬でショックを止めるのに注射を打ってもいいのですが、注射によるショックもあるので点滴にします」と言った。
へえ〜大変なんだ、と看護士さんに言った。

ジンマシンと自分で勝手に思っていた。
アレルギーとジンマシンの区別が分かっていなかった。
ジンマシンはアレルギーの症状なのであった。

ベッドに座らされた。
何故か横にはさせてくれず小さなテーブルを出してくれた。
これにうつ伏せになるといいですよ、と言ってくれた。
左手に針を刺され点滴を二袋仕込んでくれた。
終わりましたよ、と声をかけられて顔をあげた。
すっかり寝てしまった。時計は四時半を少し回っていた。

次の日すっかりジンマシン(?)は消えていた。
頭のグアングアンも。
後日かかりつけのお医者さんに行ってその原因を調べる事となった。
一枚の紙にビッシリとアレルギーになりそうな食べ物の名があった。
血液検査の結果が4月9日に分かった。
原因はホタテ貝であった。

まさかいままでずっと食べていたのに。
そういえば刺身盛り合わせの中にホタテ貝が入っていた。
にっくきはホタテ貝であった。
人間の体は何かの事で体質が変わるらしい。
また、刺身を切っている包丁とかまな板にもその原因があったりするらしい。
そこにアレルギー物質が付いている事があるらしい。
自分の体がこんなにもデリケートであったとは。

「先生、崎陽軒のシュウマイは大好きなのだけど、ホタテが入っているので大丈夫なんですかね」と聞いた。
「うーんマズイんじゃないかな」と言った。
食べてみますよ。生じゃないから大丈夫ですね、と言った。
うーんマズイじゃないかという顔をした。
何かあったらすぐ効く特効薬を出します、と言って処方箋を出してくれた。
そこには頓服薬(いざという時の薬)クラリチンと書いてあった。
赤い字で“蕁麻疹”と。
こんな漢字はじめて見た。ジンマシンと読むのだ。
私を殺すのはすごくカンタンです。
ホタテ貝を食べさせればいいのです。5〜6個で十分なはずです。