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2016年1月15日金曜日

「とんかつ長八」

♪〜あなた知ってる 港ヨコハマ 街の並木に潮風吹けば 花散る夜を 惜しむよに 伊勢佐木あたりに 灯(あかり)がともる 恋と情けの ドゥドゥビ ジュビドゥビ ジュビドゥヴァ 灯(ひ)がともる

故青江三奈の大ヒット曲である。
この曲と共に始まったNHKテレビのドキュメンタリー番組「ドキュメント72hours」を再放送で見た。
横浜伊勢佐木町に24時間営業をしているとんかつ店「長八」の三日間の定点観測だ。

早朝一人一合の酒、串かつを食べながら一時間カウンター席で疲れを癒やすコンビニの経営者、深夜の人件費を少しでも節約するために自分が店に出る。
一週間に一度この店に来るのが何より自分へのご褒美という。“癒やしの串かつ”であった。

若い男女、男は大学生、女性はキャバ嬢。
その夜二人はとんかつを食べて別れるという。
“お別れのとんかつ”であった。女性はお店でもっと上を目指したい、大学生はずっと料理を作ってあげていたとか、チャーハンをよく作ってくれたと女性は言う。
男ってチャーハンばかりと笑った。
二人は深夜の伊勢佐木町に消えて行った(女性が引っ越すようであった)。

中年の会社員たち数人がとんかつで大盛り上がり、世の中景気良くなったというけれどオレたち中小企業には関係なしだよなと笑う。“不景気払いのとんかつ”であった。

サウナで働く男とその恋人。
50歳位の男はかつて事業で成功していた、がいろいろあって今は低給のサウナの従業員として働いている。
ここの値段、今の私には少し高いけど時々彼女との“とんかつデート”が楽しみなんだと、かなりの美男美女、奥さんとは離婚したと言う。
とんかつを食べて二人は手を取り合って店を去った。

四人の男女、初老の男二人は若い女性のお客さん、その夜は同伴をしてあげていた。
女性はホステスさんだろうか、たまにこうしてとんかつ食べて夜の伊勢佐木という訳なのだろう。四人は店を出てタクシーに乗り街の中に消えた。
“同伴とんかつ”であった。

一枚600gの巨大とんかつは4300円、とにかくでかい。
もっとも数人で食べれば割安かもしれない、でっかいとんかつはかなり人気であった。大量の千切りキャベツと共に家族一同のお客さんの胃袋に入った。
妻が病気で家にいるとあまり食べないので、息子家族や孫たちとこうしていると少しは食べてくれるからとご主人は言っていた。“600gの家族とんかつ”であった。

カウンターに一人の中年の男、競馬の馬券を買う時にとんかつを食べるのだとか、とんかつは勝つだかんねと笑った。“馬券とんかつ”であった。

24時間やっているとんかつ屋さんがあるなんて知らなかった。
今度是非行ってみようと思っている。入ってくるお客さんの数だけ人生のドラマがある。出て行くお客さんの数だけブルースがある。

名曲、伊勢佐木町ブルースの作詞は、川内康範先生であった。
とんかつは、恋と情けの味なのだ。

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