絶望ありて、希望あり。
苦痛ありて、快楽あり。
出会いありて、別離あり。
裏切りありて、献身あり。
興隆ありて、衰亡あり。
男ありて、女あり。
破壊ありて、再生あり。
残忍ありて、慈愛あり。
一日ありて三六五日あり。
一時間ありて、二十四時間あり。
一秒ありて、一分あり。
革命、宗教、宿命、戦争、親子、兄弟、姉妹、血脈、血族。
人間の条件とは。
これは全て映画作りの題材である。
カンヌ国際映画祭が終わった。
今年も我が国の映画は評価されなかった。
別にカンヌが全てではないが、世界中の映画人はカンヌ、ベネチア、ベルリンを目指す。原作も読んでいない。
脚本も読んでいない。でも金になりそうだから金を出す。そんな資金提供者に神様、仏様といって手を合わせ平伏する。
マンガが売れているんだから映画も売れるだろう。本が売れたのだから映画も売れるだろう。
そんなこんなしている内に我が国の映画はその光彩を失ってしまった。
勿論、骨太の映画人、根性者の映画人、感性鋭い映画人も数多くいる。
だがそういう映画屋魂の芯に火を付け、炎とし、燃焼させている人のフィールドは極めて狭くなっている。
私は決して諦めないで行こうぜと声を大にしたい。世は正に平安朝時代のごとき混迷の極みだ。
今こそ映画人を目指す若者よ思いを形にせよだ。
使い捨てカメラでもいい、目の前の出来事を写し、残し、言葉をつけ、音をつけよだ。
例え一秒でも十秒でも映画は映画なのだから。
日本一短い文学といわれたのがある。
一人の作家が一人の編集者に出した一文だ。
それは「本は、売れたか」早口で言えば一秒ほどだ。
よし十秒位の短編映画を作ってみよう。これならきっと自前でできる。