先日名古屋に行った。現在手掛けているプロジェクトの建築現場を見に行くことと、 大きな屋外広告を制作したので、それが掲出されている金山駅へ見に行った。 ウェブデザイナーのパートナーと共に。"名古屋は独立国" と言うが、行くたびに本当にそうだなと思う。街は活気があり若者たちが多い。東京の若者たちと違って、皆大きな声で話し合い、大声で笑う。街行く人々は上を向いて歩いている。スマホばかり見ている東京では見かけない元気な姿がある。建築家黒川紀章氏(故人)の弟さんが設計したと言う、モード学園の巨大なネジのような変形体 のビルも違和感がない。人口230万人以上の大都会の繁栄を支えているのは、トヨタである。何しろトヨタ一社で売上高29兆円以上を越す。国家予算の三分の一近くを、トヨタは売上げる。一円でも円高になると繁華街のお客は減ると言う。名古屋では、地場産業と一族経営の会社が多い。東京の一族経営と違って結束力が抜群に強く、代々家訓を守り続ける。
何が会社を繁栄させ、何が滅ぼすかを徹底的に学んで来た。100年200年、300年、400年と。京都もある意味、”特別国”である。何しろ御所があり、天皇家の歴史がある。日々"カイゼン"をしないでいると、代々続く老舗も、大なる会社も、小なる会社も必然的に滅亡する。ダイエー、西武、シャープ、サンヨー、ソニー、PARCO、日産、三菱自動車などいくらでもあり、気がつけば外資系になっている。「一人一国」の気構えがあれば他人に占拠されることはない。学べ、学べ、学べと私は言う。酒に学び、女性に学び、芸術に学び、食に学ぶ。その上で、人間に学ぶ。そして遊べ、遊べと言う。
名古屋で私は今たくさん学ばしてもらっている。信長、秀吉、家康を生んだ必然が見えてくる。中国の教えに、「成功の下に久しく居るべからず」というのがある。一度成功したのがずっと続くことはないぞ、だから常に危機感を持って次に備えねばならない。29兆円のトヨタの社長会見に笑顔はなく、これから更に「カイゼン」を進めなければならないと言った。むかし銭湯で飲む定番のコーヒー牛乳は、「名糖牛乳」であった。そうです名古屋だったのです。一生に一度しかない人生を切り拓くために。四苦八苦して行くことがあることほど有り難いことはない。必死に生きるとは、必ず死ぬから悔いを残すなということだと私は思っている。売り上げ29兆円の会社も、売り上げ10万円の会社も社長は一人だ。