葛西薫氏 |
葛西氏装幀の本 |
葛西氏装幀の本 |
葛西氏装幀の本 |
友人のアートディレクター葛西薫氏が装幀をした本を送ってくれた。
その内の三つの心を紹介したい。
一人名曲喫茶かなんかで美味しい珈琲を飲みながら一時間もあれば読む事ができる。
シューマンとかシューベルトなんかが向いている気がする。
昔、中国の高官が歌姫に恋をした。
「私の部屋の窓の下で、床几にすわって百夜お待ちくだされば、あなたのものになりましょう」女はそう言った。
九十九日の夜、くだんの高官は立ち上がり、床几をこわきに立ち去ってしまった。(ロラン・バルト)
なぜもう一日待てなかったのかという問に対する答えは永遠の謎となっている。例えば、高官は自分のばかげた行動が恐くなったのかもしれない。そんなことをしても、恐らく彼女は自分の手に入る事はないだろう。これはただひたすら彼女の気まぐれに過ぎないのではないか。そう思っても不思議ではないだろう。一体自分はなんという愚かな事をしているのか。日本にも、深草少将が小野小町のところに百夜通ったというよく似たエピソードがある。果たして真相はいかなるものだったのか。
M・シャプサル:つまり、恋愛において、何かを恐れているときはそれを口に出して言わないほうがいいということですね。
P・レアージュ:その通り。(M・シャプサル「嫉妬」)
なんでも言葉にすればいいというものではない。恋愛をダメにするのは饒舌だ。必要以上にしゃべってはいけない。だから、恋人たちは同じ言葉(「きみを愛してる」)をくりかえすのだ。作家P・レアージュは、「悪魔をその名で呼ばない文化はたくさんあるわ」「同じように神を神と呼ばないのよ。神に近づきすぎてはいけないから。危険なのよ」とも語っている。さすがに傑作「O嬢の物語」の著者だけのことはある。
他人の過失を見るなかれ。
他人のしたこととしなかったことを見るな。
ただ自分のしたこととしなかったことだけを見よ。(「ダンマパダ」法句経)
だれでも他人のやることを見れば腹が立つものである。他人の放屁はがまんならないが、自分のはなんとなく愛着を感じてしまう。自分のやったことを心から反省する人は少ない。そう考えると、結婚なんてまさに奇跡でしかないことになるわけだが、待てよ、この「ダンマパダ」の言葉は、結婚生活を続けるための秘訣かもしれない。うまく生きよ!
この一冊を手にすれば目からウロコ、100の心に出会えます。
0 件のコメント:
コメントを投稿