「もしもし」
「ハイハイ」
「もしもし鈴木商店さんですか」
「ハイそうです」
「少し声が変わりましたね鈴木さん(?)」
「社長は今、外に出てます」
「あっそう、頼みたいことがあるんだけど」
「何ですか」
「いろいろ捨てたいんだけど」
「どんなものですか」
「古い洋服や、古い家具や敷物、本やらなんだけど」
「軽トラで大丈夫ですかね」
「うん大丈夫だと思うけど」
それじゃ軽トラで行きますということであった。
折角来てくれるんだからと、古いゴルフクラブセット、古い靴など次々と増えていった。
家の中にはいらない物がいっぱいあるものなのです。
私も持っていってもらっていいんだと思いました。
日曜日筋肉モリモリの二人の男が来てくれました。
手際のいいこと早いこと、ハイヨ、アラヨと軽トラに積み込んでハイおしまい。
いや〜助かったよ、ありがとう、でいくらといったらハイ5000円。
いいね便利第一鈴木商店は、一度なんかすごく重い石を動かしてもらうことがあり、頼んだらブットイ鎖とゴッツイジャッキを持って来て三人でグイグイ動かしてくれた。
頼む内容に応じて変幻自在にチーム編成が変わるのだ。
三年ぶりに小庭に牡丹が咲いた、よろこんでいたら熱烈な雨のヤローのせいでヘタヘタとなってしまった。情緒のない雨が近頃多い。
尊敬してやまない天才中野裕之監督から電話があった。
仕事の合間を縫いながら一年がかりで作っていた新作の短編映画がやっと出来上がりそのDVDを送っていたのを見てくれたのだ。
鋭い批評をしてくれるので何と言われるか心配していたのだが、いや〜スゴク面白い、いい作品だと言ってくれた。
いままでにないコメディで笑いまくったよ、映画祭にどんどん出すといいですよといってくれた。
ほっと胸をなでおろした。
自主映画は超低予算、みんなで資金を出し合い、協力し合い、お願いを重ねて出来上がる。プロデューサーの仕事とはひたすらお願いする仕事なのです。
こればかりは鈴木商店さんに頼めないのです。
ほぼ一週間茅ヶ崎にていろいろインプット、アウトプットをした。
古いものを捨てて気分も新たに今日から東京の仕事場へ、デスクの女性がハヤシの旨い店に連れていってくれる。
ハヤシはカレーにやられっ放しになってしまった。
みなさんかつての大スター“ハヤシライス”に熱いご支援を。
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