ページ

2016年10月24日月曜日

「846分」




土曜日、体に鍼を打ってもらったあと、達人の車で茅ヶ崎駅まで乗せてもらった。TSUTAYAで映画を借りるためだ。ずい分観たかった映画を見落としていた。
「レヴェナント・蘇りし者」「お盆の兄弟」「恋人たち」「王の運命」「ラブバトル」「神なるオオカミ」「マネーモンスター」の七本を借りて来た。
7泊8日計1500円、なんと安いことか。すでに旧作になっていた。

156分+107分+140分+125分+99分+121分+98分、合計846分であった。
これらを観ながら競馬中継で菊花賞を見た、笑点も見て、BSで真田丸を見た。
その後広島対日本ハムを見た。美の壺「風呂敷」も見た。
東京10区の開票速報を見て元公安検事のバンザイ、バンザイに気分が悪くなった。
で、また映画へとなった。

公開した年のベストワンに選ばれた、橋口亮輔原作・脚本・監督の「恋人たち」が抜群によかった。ワンシーンだけ出たリリー・フランキーと、スナックのお客で“美女水”を売りたいとか養鶏場を一緒に経営したいとか言って、義母と頭の薄くなったしがない夫と暮らす40代の女性を騙しては関係を持つその男役、光石研以外は全員シロウトの人を起用した作品だ。

橋口亮輔監督は人間社会のフツーの部分にある、人間の本性にカメラを向け言葉をつけリアルに描き次々と秀作を生む。特別このシーンが好きだった。
狭い平屋の住居、台所と二部屋しかない、一部屋には義母がいる。
無目的にゴロゴロ寝ている夫に「無いから買って来る」と言いタンスの引き出しから財布を出し、自転車に乗って夜の薬局へ、シャッターは閉まっている。
店の横にある自動販売機“愛のスキン”にワンコイン入れて買って帰り、服は来たまま下着だけを脱ぎ、夫にそれをつけ言葉を出さずに行為する。義母に気づかれないように。
タバコを一服するその姿に女のいとしさを感じる。
不倫する相手に会いに行くとき、くわえタバコの火が黒いパンストを焼いてしまう。

私は「恋人たち」という題名から想像もつかない人間ドラマ140分に引きずり込まれてしまった。演出家の凄さがヒシヒシと伝わって来た。他の6本もそれぞれよかった。
「神なるオオカミ」は圧倒的な狼の世界美だ。
先日熊鍋を食べたせいか、レヴェナントでグリズリー(大熊)に襲われるディカプリオを見て、熊肉は見た目よりやさしく、デリケートで実に旨いぞと声をかけた。

どの映画も人間という生き物が生きて行くのが並大抵でないことを描いていた。
株価、株価に狂っている者たち、自分の離婚届を書きながら、兄の婚姻届の保証人になる弟。朝鮮史上最大の悲劇の話、王様ができの悪い息子(王子)だと思い米びつの中に閉じ込めて殺してしまう。
男と女はどれだけ互いの挑発にのらずにいられるかという、いかにもフランス映画らしいテーマ。

月曜日午前二時十九分三十一秒、7本を観終わる。頭の体操ができた。
これから明日二時からの打合せに使う考えをまとめる。強烈な耳鳴りがBGMだ。
NHKテレビからは美しき日本の山々「大台ケ原」の映像が流れ、テロップでは鳥取県で地震があったことを教えている。

0 件のコメント: