ある地方の里山に行っていた。
山の上から峡谷、黄金色に染まる米畑、今は詳しく書けないが地方創生へのお手伝いをさせていただいている。驚いたことに一人も子どもに出会うことがなかった。
若者もいない、カタカタとカートを押す老女二人と、杖をつく初老の女性一人。
背中が45度に曲がった古老が一人。
農家は兼業、若者は街へ都会へ仕事を求めて出て行ってしまっていた。
学校はすべて廃校であった。
「そして誰もいなくなった」という映画の題名を思い出した。
♪~兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川…を想った。
この国は本当に滅びると感じた。否この地球が滅びの笛の中にいる。
昨夜後楽園ホールで友人のボクシングジム会長のところのボクサーの王者決定戦を友人二人と観た。新チャンピオン誕生に声援を送り、見事勝ったのを見届けて一緒に観た友人と銀座の仕事場に戻った。
小さなテレビをつけると、サッカーの試合が1対1、相手は世界ランク128位のイラク、ちなみに日本は56位。勝負の世界は何が起きるかわからないが、ランクはランクだ。
そんな格下に6分間のロスタイムの中でやっとこさ2点目を入れるまでWカップに優勝したような大騒ぎをしていた。
この国のスポーツジャーナリズムはある時からピタッと停止した。
鋭く、怖ろしく、時に母親のようにやさしく選手を批評することを忘れた。
私が知るところ一人しかいない。勝って当たり前なのだから。
何やってんだ格下相手に何億円も報酬をもらっているのに、しっかりしろと言われないから進歩をしないのだ。釜本茂やセルジオ越後のようでなく。
イラクは戦争をしている中で練習をしている国だ。
相手に敬意を表すならせめて3対1とかでなければならない。
この国はいつからか、甘、甘の国になり、テレビの中継をし、コマーシャル収入や種々の利権を追うことが主体となった。辛口を言うとスポイルされてしまうのだ。
ボクシング日本タイトルマッチ、何百発も殴られながらやっと掴んだチャンピオンベルト。しかしギャラは雀の涙だ。
10Rを終わり共に強かったと言葉を交わし、それぞれ相手のコーナーに行ってありがとうございましたとお辞儀をする、負けた金髪の選手はリングの上で土下座して声援を送ってくれたファンにお詫びをしていた。
仕事場の隣にあるセブン-イレブンに行って、ウィンナー巻き、ちくわぶ、昆布、大根、がんもどきを買って食べ仕事を始めた。
400字のリングの一週間ぶりのスタートは、本物のゴングと共に始まった。
ボクサーはリングに上がったら殺すか殺されるかの気持ちで挑む。私もまた、生き残るためのリングに上がる。アリスの名曲のボクサーのように。
♪~立たないで もうそれで充分だ おお神よ 彼を救いたまえ。
私は白い灰になるまで地獄道、修羅道を行く。勝負は最後に勝った者が勝ちだ。
若い才能が育ち花咲く日を求めて。
長いお付き合いをさせてもらっている知人の息子さんから感動的な結婚報告の手紙をもらった。この一通は私の宝物として大切にする。
「ロックよ静かに流れよ」私の大好きな映画のことが書いてあった。
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