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2017年3月3日金曜日

「ネバーギブアップ」





長い病と闘っている方々に勇気が出ればと、昨日のことを書く。
午後二時半青山葬儀所で、美術監督の名匠池谷(いけや)さんのお別れの会に行く。

その後浦安に向かう。
巨匠原田徹監督から絵が仕上がったからとの連絡がありお宅に伺った。
戦艦大和攻撃されるのシーンを切り絵で描いていた。
平家物語の最終シーンは油絵であった。

こう書くとああそうですかとなるのだが、原田監督は一日60錠以上のクスリを服用している。六十歳の頃からいろんな病に襲われる。
パーキンソン病になり、心臓にペースメーカーも入れる。
足の裏は活花に使う剣山の上に乗るような激痛があるとか、次々と病が生じている。

闘病10余年、現在七十五歳となった。
先日はボーコーに内視鏡を入れられて、その痛さにマイッタとか、何かのことで舌を噛んで二針縫った。腰痛も酷い。でも決して屈することはない。
読書をし、映画も見る。相変わらずのジョークも小さい声ながら出る。

芸術家としての執念が病と闘っている。
フツーの人ならば一日60錠以上のクスリをずーっと、ずーっと服用すれば、肝臓はギブアップし、胃袋は食欲を失う。だがしかし原田監督の食欲はおとろえを知らない。
奥さまは焼肉を食べたい、なんて言うんですよと笑う。

立派なヒゲを生やした原田監督は仙人のようであった。
私は大賛成だがご家族にはヒゲ反対論もあるとか、キレイに剃っても40日もすれば立派なヒゲになるというから、自らの表情の変化を楽しむのもいいかなと思う。
病気を抱えている方々、決して諦めないで下さい。

一日か二日だけでも絵の個展をやりましょうと言って原田監督宅を後にした。
三匹の猫がまた来てねと私に言っているようであった。人生ネバーギブアップ。

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