ページ

2017年5月17日水曜日

「ガード下にて」



私は女性に対しては悪口雑言は書きません(何人かの女流作家以外は)。
何故なら絶対に勝てないと思っているからである。

昨夜銀座から新橋駅まで歩いた。
有楽町マリオン交差点を渡り、有楽町ガード下を通った。
午後六時すでに小さなヤキトリ店がずらりと並ぶ場所は酔客でいっぱいであった。
おー早い内からやってるな、ちゃんと会社で働いたかなどと声はかけない

朝・昼・夕方まで静かにしている人が退社してビールだ、緑茶ハイだ、焼酎サワーだ、やっぱり日本酒だと盛り上がる。
つま味はヤキトリが主体だが、美味なるものは同僚や上司の悪口雑言である。
あのヤローはバカだとか、あんちくしょうは大嫌いだとか、◯×ちゃんと出来てるとかをつま味にする。この場合モロキューに味噌をつけたりしたのを食べながらが特に絵になる。何しろ人のことをクソミソに言うのだから。

会社に限らず組織というのは、悪口雑言の活力で持っていると言っても過言ではない。
三人の会社も三万人の会社も同じ。
有楽町ガード下を観察するのは久々でかなりゆっくりと歩いた。
やけに女性が多いなと思った(気のせいだろうが)。

そんな中で、なんだいお前たちはという男たち三人と女性一人のグループが目についた。黄色いビールケースの上に薄い座布団をのせてそこに座って飲んでいた。
何を、ワインをである。ヤキトリ屋の屋台とワイングラスは似合う訳がない。
レバーだ、ハツだ、カシラだに食いつき口をベタベタさせながら四人はワイングラスを手にしていた。

日本人でワイングラスが似合う男は海外で相当に場数を踏んだ人しかいない。
ワインと葉巻とパイプは男のキャリアを要求する。
会話も同じ、同僚や上司の悪口雑言はダメ。ファッションに音楽、政治、経済、映画に文学、絵画や詩などを語り合い、ラストは恋愛論で終わりにする。
結論はやっぱり女性には勝てない。
◯△の深情だけには気をつけようとなる(私の推測)。
私はワインも葉巻もパイプもやらない。ガードの上を列車がガタガタと行き交った。
ヤキトリの煙の中、そこは会社員の聖地であった。

ワインといえば先日行った青山のイタリアンレストラン(1944年~)アントニオズのオーナーがワイン談義をお客さんとしていた。近頃は日本産のワインが人気だとか。
特に甲州ワインはすこぶる人気だと言っていた。



0 件のコメント: