熱狂と絶叫、土下座とお願い、涙と鼻水、豪雪の中白いまつ毛、北から南選挙戦は一党圧勝に終わった。
小選挙区比例代表並立制という分かりにくい方法が生むマジックである。
政治家は常在戦場という言葉を日々心にしている。常に戦場なのだ。
“過ぎたるは及ばざるが如し”という。
大惨敗した元政権党は、いきなり宝くじに当たった人々がやがて不幸を呼び、その身を失うというケースが多い様に実にそうなったといえる。
“成功の下、久しく居るべからず”ともいう。
俺はあるいは私は遂に成功したと思い日々の精進を忘れた瞬間からその身を失いはじめる。
今回大勝した政党も直ぐに大量の恩賞を求める昔の名前で出て来た元実力者の扱いに苦悩する。人事と論功行償は全ての人間を満足させない。座るポストの数には限りがある。
直ぐに不平不満の群れができて再び派閥政治となる。
645年大化の改心以来政治とは戦いの歴史なのだ。
人は等しく狼であるという。権力を握った人間は直ぐその狼たちに付け狙われる。
幸い私がお手伝いした方は二人共当選された。一人は大勝利の側であり、きっとこの国を背負ってくれる方と思う。もう一人は大敗北の側であるが若き俊英でありきっと敗北した党の中でも光を放ち出すだろう。
漫画家のやくみつるが今回の選挙は12個に仕切られた“おでん”の様であったという。
政党と政策というおでんのネタが同じ出汁の中に入っていて何から食べようか迷ってしまった。確かそんな論評であった。
私的に付け加えれば10人のお客の内4人以上が結局何も食べず店から出て行ってしまった。
東日本大震災の復興という大問題を抱えていた選挙であったが、投票率は戦後最低であった。これは実に大問題といえる。候補者たちが戦後最低だったとは思いたくない。
それにしても選挙とは過酷なプレゼンテーションだ。
敗れ去った人々にメリークリスマスもない。あけましておめでとうもない。
あるのは敗北感と疲労感と選挙七つ道具と多くの借金などである。
常在戦場すでに次への戦いは始まっている。
若者よもっと政治家を目指しこの国をまっすぐにしてほしい。
幼き子たちの未来のために。
敗者だけに許されるものがある、それは次は勝者になる事ができるのだ。
山田洋次監督がこんな事を書いていた。この国から「普通の家族」がなくなってしまったと。勝者よ万歳に浮かれていてはいけない。万歳は別名「お手上げ」ともいう。