2024年4月6日土曜日
「ばかな話その(7)ばかな仕組み」
2024年3月22日金曜日
「ばかな話その(6)勉強ばか」
2024年3月11日月曜日
「ばかな話その(5)ばかなトンビ」
2024年3月2日土曜日
「ばかな話その(4)バカなコント」
おバカな自民党による、おバカな自民党のための、おバカな政治。出る、出ない、出れば、出ろ、出ます。お粗末な自民党のソーリ(総理)と、カンブ(幹部)たちにこの国は統治されている。かつて「美樹克彦」という歌手が「♪~ かおるちゃん おそくなって ごめんね」と歌い、最後にバカヤローと叫んで終る。歌の題名は「花はおそかった」かなりヒットした。島国ニッポンは他国との国境がないので、政治に緊迫感がない。故に危機意識が国民全体にもない。政治判断の誤り一つで、ど、ど、どどっと難民が押し寄せる事もない。私が十代の頃ツイストの大ブームがあった。でもって私は大学生のバンドを呼んで、ツイストのパーティを行なった。大きなドラム缶に水を入れる。そこにコカコーラやジュースやカナダドライをぶち込む。パー券は判子屋さんに安い値段で刷ってもらった。それを仲間たちと売りまくる。倉庫みたいな会場費は激安で借りる。夜六時開場となると恐ろしい程の男女が集まって来る。ヘタクソな学生バンドが、テケテケとエレキギターを弾き出すと会場は異常な状態となり始める。人が人を呼びもうウハウハ、パー券が売れた。サービスするのはワンドリンクだけ。会場外まで人、人、人。若い男女が狂ったようにツイストのリズムにのって腰をひねりつづける。私は冷静に全体の動きを見ている。中に入れず酔ってケンカが始まると、行って“ヤメロ”と仲裁する。やがてヤクザ者たちが、オイ、セイガク(学生)誰れに断ってやってんだと乱入して来る。私は学生の遊びに大人がからむんじゃないよと制す。ガンガン響くツイストのリズムに誘われて、警察官がやって来る。私はこれは流行ですから止められません、そこら中でやってますと言えば、金を取ってやってんだろ、これは興行だ、許可を取ってんのかと怒鳴る。先程のヤクザ者たちもソーダ、ソーダ、俺たちを通さずに何やってんだと暴れ出す。私と私の仲間が集まり“ツイストパーティ”は最高潮に達して行く。ツイストパーティは十代の私と仲間たちの貴重な収入源であった。所をかえて何度か開催した。しかし世の中は甘くはない。やがて血と血を流すドラマが始まり、法律というキツイお仕置きが待っていた。昨日夕方4時半頃NHKで、出来の悪いコントのような政倫審という、ヤキトリじゃなくて、ヤリトリを見ながら、ホントウニ(本当に)この国はアカン、ヤカンがイカリフットウ(怒り沸騰)して、ドカンと脳内爆発。全身脱力していた。そこへ私の横にいた仕事仲間のボスが、突然大谷さんが結婚するんだってと言った。何それ、なんの話となった。NHKのコントはもう問題外となった。他の人たちもヤン坊、マー坊の天気予報みたいだ。(むかしの人は知っている)その話当たり、それとも外れみたいになった。私は知人と会う約束時間が来たので5時少し前に外に出た。小雨がチラチラ降って来た。この頃の天気予報は科学の進歩でよく当る。知人とはヤン坊、マー坊で有名な、東京駅八重洲口ヤンマーディーゼル本社の斜め前で待ち合わせていた。約束の時間より前に着いた。「絶望は、愚か者の結論なり」なんていうフレーズから始まった昭和の番組を思い出していた。パー券なんていうのは、昭和の話だよと笑っていたが、永田町は昭和の時間で止まっている。現職の国会議員にとって選挙ほど嫌なことはない。ソーリダイジン(総理大臣)が持っている恐怖の権力、解散権を行使させたくない。ソーリはアイアムアソーリ、こうなりゃヤケクソ解散だぞと、目の上のタンコブ麻生太郎に決別宣言的行動に打って出た。値上げ、値上げでついこの間まで一個360円位だったショートケーキが、えっ何、560円なのとビックリしながら五個買った。白い服を着たケーキ屋さんが原料が何もかも値上げで参っているんですよと言った。レジのところに“カスハラ防止”というシールが貼ってある。これはなあ~にと言うと、カスタマーハラスメント防止なのですと言った。そうかカスタマー(お客)が値上げに文句言ったら、お仕置きを受けるんだ。岐阜県のとある町の町長が、99件のセクハラ行為で猛攻撃を受けていた。アタマナデナデ、オシリにタッチ。胸の谷間チラチラ見ていてたとか。昭和の町長は悔しい、もう心が折れたと辞任をする。令和の時代は目のやり場もないんだなと思った。雨が少し強くなった。オッ待ち合わせをしていた恩人(男の人)が近づいて来た。二人でタクシーに乗った。大谷選手結婚だってね、なんで突然になんだろうと言った。私はきっとそうしなければならない事態が、ネット上に発生するからではと応えた。フィギュアスケートの羽生結弦選手みたいにならないことを願う。恩人がケーキ(景気)はどうなのと聞いて来たので、“値下げ、値下げ”ですよ、株価は最高ですが私たちの実態は最低なんですよと言った。パー券を刷って、ツイストパーティをやりたい位ですと言った。懐かしいなツイストパーティ、大学生の頃よく行ったなと笑った。この恩人は慶応大学出身、私が十代の頃よく頼んだ学生バンドは、慶応大学生のバンドがいちばん多かった。その夜、家に帰って夕刊を読んだり、ニュースを見たりしたあと、午前一時半頃、“リトル・リチャード”を聞き始めた。ビートルズやすべてのロックンローラーが影響を受けた。私はゲイですとカミングアウトした、伝説のアーチストだ。雨音がかなり強くなっていた。私はすっかり十代に返っていた。最低ではなく、最高の気分だ。明日もバカなコントが国会である。リトル・リチャードはすべての常識を破壊したロックの先駆者だ。放送禁止用語が飛びまくる。“のっぽのサリー”を聞いている。ピアノの達人でもある彼を超えるロックンローラーは絶対出ない。“ジェニ・ジェニ”を聞いていたら、脳内がスッキリして来た。今の世は上から下まで、ゼニゼニゼニだ。(文中敬称略)
2024年2月18日日曜日
「ばかな話、その(3)バナナ」
2024年2月10日土曜日
「ばかな話、その(2)トヨタ」
2024年1月12日金曜日
「ばかな話、その(1)乾燥剤」
令和六年より「400字のリング」は、「ばかな話」一行の日もあれば、400字詰め原稿用紙5枚の日もある。我が家のFAXは壊れ気味で、ごきげんナナメの時は、私の書いた生原稿をテキスト化していただく人へ送信できない。文字校正や、テキスト化していただく人から、ここはマズイのではとか、ここは違っているとか、ここはこうしたほうがなど、ありがたきやりとりに、我が家のFAXはブータレて送信、受信拒否となる。PCやスマホが使えないということは、実にややこしく、ヒトビトにご迷惑をかけてしまう。ガラケーを使っているのだが、ショートメール通称(SMS)のやりとりもままならない。仕方ないいつもよりもっと一生懸命ばかになろうと心に決めた。昨年末私が誰れよりもアコガレていた坂田利夫師匠が亡くなった。「アホちゃあねん、パーやねん」という言葉にアコガレた。アホとパーと五分の勝負をできるのは“ばか”だと決めたのに師匠は82年の生涯を終えた。そっと静かに老衰で“ありがとさ~んと”。野球のエリートが人生のエリートになれる。そんな保証はないと、ある高校野球の監督が言っていた。東大を出たからといって、人生のエリートになれる訳ではない。霞ヶ関、永田町の東大出が、パー券だキックバックだ、証拠隠滅だと騒いでいる。一生懸命騒いでいる。一月一日「能登大地震」、二日「日航ジャンボ機大炎上」。運命論者の私には、やはりこの国は数奇な運命の国であり、故小松左京が書いたように、日本沈没の運命をクッキリと見るのだ。佐賀が生んだ葉隠の精神は、“一日一死”、朝起きたら、夜には死んでいるやも知れない。これが武士道精神となった。であるから、朝には体を清め、ちゃんと洗った下着(ふんどし)をつけた。もし汚れたりしていたら、一家一門の恥となる。一歩間違えると軍国主義となるのが、武士道精神だから、気をつけねばならない。そんじゃノーパンでとなる人も多い。霞ヶ関、永田町のエリートたちは、ノーパン大好きであるのはいうまでもない。内閣官房や、警視庁公安部は、エリートたちの内緒の部分をすべて知りつくしている。いざという時に役に立てる。この延長上にジャニーズ問題があり、松本人志=吉本興業問題である。次はその次は、ほぼ想像できるのだ。さて、志賀原発は本当に大丈夫なのか。総理大臣は何故能登に行かないのか、留守をしていると寝首をとられるから心配なのかも知れない。日本は地震帯の上にある。それなのに学習効果がなく、水がない、食べ物がない、トイレがない。灯油、ガソリンがないを繰り返す。テレビではひたすら歩いて食べ物を見つけ、ウマイ! おいしい! を連発する。将棋の名人であった故米長邦雄は、兄貴はバカだったから東大に行った。私はおりこうさんだから将棋さしになったと言った。エリートたちには危機感という感性がないのだ。大好きだった歌手、八代亜紀さんが急逝した。芸能人絵画展というのがあった時、その絵を観たがとてもいい絵だった。♪~ 雨々ふれふれ もっとふれと歌ったが、今の能登では雨よ止め、雨よ止めだ。七尾に大親友と行ったことがある。故高橋 治の“風の盆恋歌”の祭りを見に行った。夜から明け方まで、ゆらゆら踊る。みんなが参加してゆらゆら踊る。能登はいらんかねえ~、故郷能登はよォ~、こんな歌もあった。日本列島に絶妙の形で突き出た能登半島のことを思うと、気分が鬱状態にある。電気を消して深夜映画を見ながら、岡山の知人から送っていただいた、ハムの燻製を袋から出して食べた。紙みたいにペラペラなのだが、これが咬むほどにやわらかくなり、絶品の味となる。一枚、二枚、三枚、番長皿屋敷みたいに数えながら映画を見る。オッ、これでラストだなと口に入れる。咬めば咬むほどマズイ、なんだこりゃと電気をつけたら、乾燥剤の袋だった。“ばか”だなまったくと思った。見ていた映画はデンゼル・ワシントン主演の「イコライザー」であった。その題名の意味は、平等にするものであった。地震も平等になると、いよいよ静岡、そして東京だ。防炎対策できることから始めよう。朝は体を洗い、きれいな下着をつけよう。(文中敬称略)
2023年12月12日火曜日
つれづれ雑草「リステリン」
2023年11月24日金曜日
つれづれ雑草「雨の朝にて」
長~い間、太田胃酸い~い薬ですと言ってたが、ズルーイ薬となっている。分量がかなり減っている。布製のガムテープは、丸々と太かったが、バウムクーヘンみたいになっている。ティッシュペーパーの箱は枚数が減らされて薄形になっている。老舗ブランドのかっぱえびせんや、ポテトチップスは、袋はパンパンだが中身は半減している。スーパーの刺身は薄切りにされてヘラヘラとなり、大根のつまをてんこ盛して見た目を海鮮盛に見せている。世の中は何もかもが実質値上げとなっている。ザ・ケンジヤないわよね、マツタク、ズルイ、セコイ、スクナイ。星乃珈琲店内、私が小さなテーブルでシコシコと雑文を書いているうしろのテーブルで、女性三人がスーパー、コンビニ、さらに長い歴史を持つブランドへの悪口雑言。アレモヘッタ、コレモヘッタ、ヘッタヘッタで腹減ったと、どこぞで買ってきた助六寿司のパックをパクッと開けた。これ見てよ太巻きが細巻きに、おいなりさんがこいなりさんになっていると、見せている。何よ、ガリがたった三枚じゃないと言う。店の近所に幼稚園があるので迎えに来ているらしい。一人はワニのような顔で、一人はニワトリのようで、一人は黒い金魚みたいであった。声が大きく、笑い声は不気味であった。何だかオカルトチックになったので店を出た。顔はトイレに行った時に、マジマジと見た。ウルセイナと言いそうだったが、同感することもありそっとスルーした。過日、新幹線の車内で見た女性は三十五・六歳であった。ZARAの紙のバックと、シャネルの小さな白い紙バックを空席の横に置いていた。手には本麒麟の赤い缶ビール。つまみに“とびっこのくん製”と、ナッツの袋入り。これが臭いのなんので、顔をマジマジと見た。相手も私をドキッと見た。誰れかに似ているなと思った。そうだ京都へ行こうじゃなくて、そうだ時々行くラーメン店の奥さんだ、と思うとあの奥さんはいつもハキハキしていて、かんじいいもんなと思った。勿論別人だが世の中には、二人ソックリな人がいるという法則があったはずだ。オット見ると、どこぞの車両から連れの男が来て、紙袋をどけて座った。同じ会社の人のようだ。えっ何! 電球の球を取りかえる時に、椅子から落ちて大怪我をしたの、そんな会話が聞こえた。女性は赤い本麒麟をグイ、グイと飲みこんだ。CMの定番のセリフ、プハァーウマイ! は言わなかった。それじゃ行っても会えないわけ! と強く言った。女性の方が上司らしい。私も切れた電球の球をとりかる時に、グラグラして何度か落ちそうになったので、この頃は行なっていない。ということは家の中のことは何もやってない。実に使いものにならない存在なのだ。うどんを食べ終って、どんぶり位自分で下げれるでしょ、と怒気を放っ声がした。入ってくるものが減りつづけ、出ていくものが値上げラッシュで増えたせいか、殺気を感じる。この季節家に帰ると、一枚、二枚、三枚とかつて仕事を一緒にした人や、お世話になった人の奥さんからの葉書が来る。夫が旅立ったので……、との一枚だ。毎年思うのだが圧倒的に奥さんからのが多い。やはり男より女性の方が生命力が強いのだ。男は絶対女性を敵に回してはいけない。勝つ見込みはない。テメェ~、ナメンジャネーヨ、若いホストに1千万近く突っ込んだ、若い女性がカッターでホストを斬って、叫んでいるニュースを見て、ドキュメンタリー番組で見た、ある女性医師のことを思い出した。エルメスのバックに何故か700万の札束(銀行の帯付)をブッ込んで、お目当ての店に行き、一晩で700万を使い、明け方新宿の街から去って行く。時々ある地方からやって来る。ホストに入れ込んで風俗へ売られ、やがてアジアの国に売られ、臓器まで売られて行くケースを知っている。有名な事件があった。ある地のホスト界のボスが、後輩のホストたちに殺され、薬品を使って溶かされた。バスタブかなんかの中に、金歯だか銀歯が残っていた。ノルマ、ノルマを達成できないホストに、やりたい放題のヤキを入れたりしていたらしい。ホスト狂いをする女性に同情する声は少ない。行く方が悪いのだと思われるのだ。でも、シャンパンタワーで背負わされた借金を懸命に働いて完済して、しっかり立ち直り、幸せをつかんだケースも知っている。バカバカしさに早く気づき、強く生きる意志があったからだろう。夜の世界はちょっとやそっとでは学べない。入学は簡単だが、卒業は厳しい。そして学費は高いのだ。私の親愛なる友は、夜の歌舞伎町を知り尽くしている。困っている人は紹介する。場合によっては相談に乗ってくれるはずだ。現在十一月十七日金曜日、朝九時三十九分十六秒、外はどしゃ降りの雨だ。各局、朝の番組でエンゼルスの大谷選手がMVPを獲得したと報じている。生まれながら、才能と体力と知力に恵まれた選手が、人一倍努力をした結果だ。興味は800億円近いという契約金を何に使うかだ。ぜひ日本の映画界に投資してほしいと願う。それよりも若くして戦力外通告されて、これから妻子をどう養って行くか、途方に暮れている選手たちに、負けるな、人生はこれからだぞと声援を送る。“勝者には何もやるな、すでに勝利を手にしているのだから”、そんなことを、確かE・ヘミングウェイが書いていた。徳川幕府を倒したのは、関ヶ原の合戦で負けた、薩長土肥が中心だった。私もリングの上に立って、ファイテングポーズは失わない。バカはバカなりのケジメを求めて。◎前回倉敷の“ナマコ壁”を“マナコ壁”と書いてしまい、間違いを指摘された。この場にて修正する。(文中敬称略)
2023年11月12日日曜日
つれづれ雑草「倉敷とアナキストの妻」
岡山県倉敷市に美観地区という場所がある。この地区をみんな、みんなが大切にしている。派手な看板やネオンサインもない。高い建物もない。そこに林源十郎商店という、ステキな施設がある。ずっと昔は漢方薬店であったらしい。一人の熱血漢が次々と新しいことに挑戦し発展させている。“めをみはる”とはを実感する。男の名は「辻 信行」さんだ。10年ほど前にそこでアートディレクターをしていた女性に紹介された。女性は何年か私たちの会社の仲間であったのだが、ご主人が岡山出身で、その地で仕事をしていたため結婚後、岡山での生活となった。ご主人は下戸、女性は土佐出身でかなり飲める。今回は辻 信行さんより、「一棟貸の宿」をオープンしたので、ぜひ来てくださいと招待状を頂いた。丁度湯布院に同様の宿を建てているオーナーから、諸々アドバイスを求められていたので、仕事仲間と三人で取材に行った。かつては大きな病院であったとか、旧土屋邸をリニューアルをしたのであった。古きを残しつつ新しさと絶妙の調和をさせる。これが見事に大成功であった。美観地区とも調和するこの宿には、女中さんはいない。屋号の看板もない。「土屋」という小さな表札のみ、いくつかの箱庭には、腕のいい植木職人さんの細やかなセンスが生きている。座布団もない。テレビもない。座椅子はなく、上質な椅子がいくつもある。茶受けなどもない。ビックリするほど香り高いヒノキのお風呂が大小ある。料理は自分たちで作るか、外で食す。朝は隣接するカフェレストランで、八時から利用できる。私たちが泊る前日には、倉敷の“菊寿司”(そのおいしさはNo1だと思う)が出張してくれて来て、対面式のキッチンで握ってくれたとのことであった。(ウラヤマシイ)基本は自分たちで選んだ店に行って食す。つまり食事は出ない。自分の歯磨きだけ持って来てと言われた。何があるかといえば山ほどある。窓からは爽やかな風が汚れた胸を洗ってくれる。差し込むやわらかな美しい光が、ささぐれだった心をおだやかにしてくれる。雨戸や鉄のトビラなどはない。マナコ壁の美観地区と対話するような気分を縁側で味わえる。高瀬舟が川をゆく、2名、4名、10名と、三種類に区分けされる仕組みとなっている。私たちには全部を使わせてくれた。風と光、小さな置物まで、辻 信行さんのセンスが生きている。スバラシイ寝室なので、ペッタンコの床生活者の私には、豪華なベットと寝具がもったいなかった。一棟貸の宿は全国で生まれている。後継者のいない旧店舗や、1000万戸ともいわれる空家の利用だ。調理場もなく女中さんたちスタッフもないので、静かなること山の如しだ。人手不足の時代、こういうコンセプトを持った「宿」が増えるだろう。辻 信行さんは、酒津の“川辺のレストラン”とか、ジャムや焼菓子も作っている。それも自分たちの仕事場の中で、(旧屋敷をリニューアル)外にはサウナもあり、きれいな水風呂もある。実にオープンで、ユニークな仕事場だ。川辺のレストランは名所となっており、今度ピザの釜を造った。90秒でおいしく焼ける。釜の石組みも多色の石をつくり、一つひとつが鮮やかに存在している。究極の地方創生を行なっている。料金はフツーであるので、ぜひ行ってチョーダイ。バリアフリーなのでご心配は無用だ。裸足で畳の感触、窓から見る夜空は絶妙である。久々に本でも読むかと、瀬戸内晴美(出版時)の「美は乱調にあり」を持参したのだが、宿の美は実に整調であった。私は今アナキスト大杉 栄の妻で二十八歳で憲兵隊の甘粕正彦大尉に、殺され井戸に投げ捨てられた大杉 栄、甥の六歳橘宗一(道連れ)、そして妻の伊藤野枝のことに興味を持っている。ダダイストであった辻潤とのW結婚、大杉 栄が情人であった神近市子に刺された、有名な葉山の“日蔭茶屋事件”十年間に七人もの子を産んだ伊藤野枝の生命力、その血みどろの人生に、大正時代の熱愛を感じる。「平塚らいてう」の同人誌に詩作を送っていた伊藤野枝、すこぶる魅力がある容姿。大正時代の作家は血気盛んであった。神近市子は後に社会運動のリーダーとなった。熱情熱愛の行き先は殺す、殺されるか、あるいは自裁するか。芥川龍之介も、火野葦平も、ただなんとなくの不安でと死んだ。大正時代は15年間であったが、最も文学的で、劇場型の時代であった。作家は死んでこそその名を残した。令和の現在そのようなドラマタイズされたものは皆無であり、作家は不作揃いだ。伊藤野枝の子たちは今も生きている。(何人かは分からない)現在日曜日の朝六時三十四分、テレビのニュースで、藤井聡太八冠が竜王戦で勝って、インタビューを受けている姿があった。彼が強いのか、他が弱いのか。ボソボソ何を言っているのか分からない。私は彼に生身の人間性を感じない。彼にぜひ血みどろの女性関係(男関係もある)を経験してほしいと願う。つまり“人間になってほしいのだ”そうでないと、サイボーグ的で終ってしまう。お手本は囲碁の天才、「故藤沢秀行」だ。藤井聡太のライバルが言った。“彼は人間を拒否している”と。人生は乱調にありだ。(文中敬称略)