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2017年10月17日火曜日

「和風アルジェリア人」

昨夜は雨、雨、雨であった。

六本木ミッドタウンの前にある和風料理屋さんでお世話になっている会社の社長さんが(女性です)一席を用意したからと招待してくれた。
もう一人の女性社長と私と若い男の四人。
六時から九時十五分までいろんな話で盛り上がった。
その話の内容を書くと二人の女性の正体が分かってしまうので書かない。

一人和風料理店にオモシロイ男がいた。
身長185センチ位、鼻が高い。
メガネをかけている。
面長の顔で着ているのが時代劇に出て来る十手を持った岡っ引きのような和服であった。
四人がゆったり座れる個室に男は入って来た。
いらっしゃいませときれいな言葉、オッ君何人と聞くと、ニッコニコ笑って、アルジェリア人ですと言った。
一枚板のカウンターは広くて長い、その前で、これぞ日本人の板前さんというのが目の前で料理をつくって出してくれるのが人気だとか。
粋なアルジェリア人の服は黒くて帯は白。
他の人は皆白い料理人の制服。
アルジェリアだったら、ジャンギャバン主演の「望郷(ペペルモコ)を知っている。
パリのギャングのボス・ペペルモコがアルジェリアの有名な迷路街カスバに逃げて来てひっそりかくれて生きている。
知ってる知ってるジャンギャバンの映画でカスバは有名になった。
今でも有名とアルジェリア人。
世界映画史上三大ラストシーンの一つだぜと私は言った。

一つは「シェーン」のラスト、一つは「第三の男」の並木道のシーン。
そして「望郷」ボスのペペルモコは、カスバの中にかくれていた時、観光に来ていた一人のフランス女性を見てしまう。パリに帰りてぇ、こんな貧民街のカスバで死にたくはねぇ、だが子分たちは、絶対カスバから出たらパリから追って来ている刑事に捕まるからとボスを止める。
キラキラ眩しいパリジャンヌ。
カスバの女と比べようもない。
声をかけひとときパリジャンヌと話をすると、心はパリに向ってしまう。
知ってる、知ってる有名な映画と話について来る。
いつアルジェリアに帰るのと言ったら、日本人妻と結婚したからもう帰らないと言った。
アルジェリア人はお店のスタッフでした。
私は日本酒を二合少々、アルジェリア人は日本酒にやけに詳しい。
日本人よりずっと、お・も・て・な・しが良かった。
君はいい奴だなと言ったら大笑いをした。
最後に大きな土鍋にサンマご飯をつくってくれた。
これが実に旨かった。
残ったご飯をちゃんと小箱に入れてみんなに分けてくれた。
私がいきなりアルジェリア人の男を話の中に入れたので、場が明るくなりすぐにジョークを交える時間が生まれ、続々といろんな話題へとなった。
私のような者にはすこぶる勿体ない一席であった。
チャイナドレスの美人と美人着物デザイナーの見事な和服に目を奪われつつ、話は楽しく弾んだ。
使い捨てトイレ「ポイレット」の話をし、「尿意ドン」のキャッチフレーズのことを言ったら、バカ受けでサイコー、私駄ジャレ大好きと言って笑い、それでは尿意ドンと言ってトイレに行った。

アルジェリア人にはまったく分からない言葉であった。雨の六本木はすこぶる粋であった。

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