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2019年8月21日水曜日

「戦争と祭り」

今、なぜNHKが、新事実を強調するのか、原武史・放送大学教授(日本政治思想史)は8月20日、日本経済新聞朝刊の記事の中で強調していた。昭和天皇拝謁記をNHKスペシャルで取り上げた。田島道治元初代宮内庁長官の(1948〜53)拝謁記は、すでに加藤恭子氏が先行研究をしていた。それに触れずに突然新事実の資料が見つかったがごとく公開したことに対してだ。私も違和感を持った。今の政権は参議院選挙で9議席を減らしながら、勝利したと言い、選挙戦の中で訴えた、憲法改正のテーマも認められたと拡大解釈をした。昭和天皇拝謁記の中で、とくに「憲法改正と再軍備について、昭和27年2月11日『私は憲法改正ニ便乗して外(ほか)のいろへ(いろいろ)の事があると思って否定的ニ考へていたが今となっては他の改正ハ一切ふれず軍備の点だけ公明正大に堂々と改正してやった方がいゝ様ニ思ふ』。同年3月11日「侵略者のない世の中ニなれば武備ハいらないが、侵略者が人間社会ニある以上軍隊ハ不得已(やむをえず)」。このためであったかと思う。現天皇が「先の戦争の反省に立ち」と父上皇の意志を継ぐと言ったのは、精一杯の抵抗だったのだろう。昭和天皇も「反省」という言葉にこだわったが、政治的に許されなかった。世界中がキナ臭い。一人のギャンブラー的不動産王D・トランプ大統領の朝令暮改に振り回されている。日本国の外交は機能停止、通産省が主体の動きとなっている。吉田茂元首相が「再軍備なんていけません」とキッパリと言い、初代宮内庁長官も「政治的発言は、象徴天皇としてはいけません」と、進言したのは、外交的見識を国の指導者が持っていたからと思われる(?)。N国なる政党が出現したが、マツコデラックスさんに気持ち悪いと言われ、攻撃中とか。NHKをぶっ壊す前に、世の中をぶっ壊すかも知れない。ともあれNHKの動きは、戦前に似てきた。「モノ言えば口びる寒し」の状態である。悪魔は笑顔でやって来ると言う。リベラル派のがんばりが国を守るはずだと思っているのだが、さて。高名な作家の(外国人)「戦争論」という本には、人間にとって戦争は、お祭りと同じで、何回もやりたくなる。“コーフンとエクスタシーを生む”。そんな一節があった。


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