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2019年8月29日木曜日

「イモヅル」

「列(れつ)」。警察用語である。列とは、その人間に連なる人間たちを表わす。例えば、あいつの親分は誰、兄貴分は誰々、兄弟分は、舎弟分は、またダンベ(金ヅル)は誰々、スケ(女)は誰だ。だからコイツをパクッて(捕まえて)ウタワセレバ(白状させる)列をみんなパクれる。そのためにいちばんのキーになる人間を見つける。根性者はカンタンにはウタワないからだ。「列」は会社の組織とか、官僚、政治、人間が群なる集団にすべて当てはめられる。この人はきっと出世して、社長になれると見込んで列をつくった人間たちも、その人が社内人事抗争に破れてしまうと、列は壊されそれぞれあちこちに飛ばされて哀れな末路となる。もちろん逆襲に成功して再び列を形成して勢力を盛り返す列もある。官僚組織、自衛隊、警察関係も列を形成して強固につながっている。鉄の団結であり、あらゆる疑惑をともに隠しつづける。そして分け前を分け合う。政治の世界は派閥として列をつくる。教育界、芸能界も列を成す。列を乱す者は、裏切り者との烙印を押されてスポイルされる。韓国映画の「一級機密」という映画を見た。韓国軍の装備品担当部署にまつわる実話がベースになっている。アメリカと思われる会社から購入した戦闘機が、飛行中トラブルを起こし遂落する。パイロットは脱出して重傷を負う、やがて闇の中で死亡する(殺される)。一人の正義感が強い将校が新任として来る。そして、相次ぐ戦闘機の事故に不信を持ち、装備品を一つひとつ調べていく。そこには果てしない列の闇がある。1本1ドルのネジは400ドルだったり、もはや使えなくなった部品が使われている。将校は上官、将軍、政界の闇の資料を見つける。あらゆるところに金が振り込まれている。上官たちは将校の動きを察知して、将校やその家族まで脅して行く。これは我々「家族」のずっとむかしから守って来た決まりなんだと。出世したければ従え、さもないとお前に明日はないぞと言う。家族とは列のことであり、その部署全部が列となっていた。将校はテレビ局にその資料を持ち込み、自ら出演して告発する。ラストのロールにその後除隊したと伝える。列の人間たちはきっとゾンビのように生き返ったのだろう。現在、日本はアメリカの軍備を大量に購入して、安全を得ているというが、事故は絶えない。アメリカ国内でも、日本国以外でも事故は、絶えない。韓国軍の中に正義を貫いた軍人がいたことを映画で知った。韓国軍上官の言う「家族」とは、「列」のことである。これを別名「イモヅル」とも言う。



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