笹沢左保という作家がいた。
「木枯し紋次郎」はあまりにも有名だ。
「あっしには、関わりのない事でござんす」は当時日本中で使われた。
笹沢左保は大のボクシング好きで確か自宅の屋上にサンドバッグをぶら下げそこにパンチを浴びせていた。
その笹沢左保が生前、ある週刊誌にある人生観を書いていた。
何年も前に書いた事が今の時代を見事に表している。
笹沢左保の一刀恐るべしだ。
「近頃、独自の人生観を持たない日本人が多くなったという。若者はその日その日の充実感が得られたら、それでよしとする。中年になると保身と利益を重視して生きていくというだけの現実を優先させる。初老の人々は趣味を大事にして、潤いとゆとりある生活を望み、自然に情緒を追い求める。さらに年老いるとひたすら健康と長寿を願うようになる。こうした傾向が強まった事から、日本人は確固たる人生観を持たなくなったそうだ」
なんとも耳の痛い事よというか、言葉が痛い。
テレビでは紋次郎役の中村敦夫が口に長い楊枝を銜えビュッと飛ばすのが定番のシーンであった。道中合羽に三度傘がたまらなく、粋で鯔背で颯爽としていた。
そうだ今男たちは「イキで、イナセで、サッソウ」としている事を忘れてしまったのだ。
かく言う私もすっかり不粋な男となってしまった。
男が売りのつもりだったが、未だ未だ精進不足、真の男の道は遠い旅路の先だ。
命のやり取りをしていた十代の頃は、朝起きると「オイオイ、アチコチイテェーガ今日も生きてるぜ、生きている内に今日も遊ぼうぜ」などと粋がったものであった。
人生観などという言葉には無縁の日々であった。
男が刃物の如き感性と、溶岩の如き熱い感情を体の芯から求めるには戦い続けるしかない。道中合羽をなびかせて阿修羅道を行くのだ。そこに死は無い。
永遠に戦いを続けさせられるのだ。
友よ、恩人よ、決して戦いに敗けないで行こう。
どんな四苦八苦があろうとも、粋に行きましょう。
「心に太陽を、唇に歌を」人生観は男は度胸、女は愛嬌で。
ZARDの歌を主題歌に♪負けないで、負けないでさあ行こう・・・。