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2013年6月7日金曜日

「私の勝てない人」




「時間ですよ」という人気テレビ番組があった。
銭湯を営む夫婦と家族、そこに来る人々のドラマだ。
夫が船越英二、妻が森光子だった。全裸の女性が洗い場で体を洗うシーンが毎回あった。

勿論正面からは映さない。
番台に船越英二が座っていても決してノゾキや痴漢行為で警察に捕まったりはしない。
女性たちが何故銭湯の番台に座る男に全てを見せて平気なのか未だに分からない。
その逆に女性が番台に座っていても男は全く意識をしない。
番台の上には小さな座布団と小さな引き出しがあり、女性が髪を洗う時に余分に水を使う為、それを表す細長い木の板が置いてある。

スケベなお客は入浴代のお釣りをもらうふりをして番台の向こうの方をチラチラと見る。
風呂場には奧の方に必ず曇りガラスがあり、そこに円形の透き通るガラスの部分がある。私の後輩が銭湯の息子だったのでその訳を聞くと、風呂場でのぼせて倒れたり、滑って転んだりしていないかを時々見張るらしい。

三助さんという男がいてお金を払うと背中を流してくれる。
銭湯の側の飲み屋でその三助さんとよく会った。
おい、三助さんよいつもあのガラスから覗いてんだろというと、ヘイ仕事でやんすからなんて言っていた。三助さんが捕まる事はない。
女性の心理とは銭湯に於いては実に奥深く、実に開放的であり続ける。


私が敬愛してやまない一人の男がいる。
私にとって唯一無二、絶対的存在である。男の名を江頭250という。
深夜250分になるとその人間性の全てが豹変する事からその名がついたと誰かに聞いた。

芸人であるが何が芸風なのかは不明だ。
エガちゃんと呼ばれ愛され、嫌悪され、尊敬され(?)、一目も二目も置かれ、その実は出来れば側に寄らないでと思われている。

奇怪な体、奇怪な髪、奇怪な姿、上半身は裸であり、口からはツバが飛び散る。
人の群れを見るとその中にダイブしてしまう。
当然人々はキャーキャー、ヤメテ、キタナイ、サイテイとなる。

芸といえばこれが芸であり芸風でもある。
逃げ回る相手はどこまでも追い、倒れると馬乗り、押さえ込み男女構わずキスをしまくる。いかなる有名タレントでもお構いなしだ。そのエガチャンというか、エガさんが先日 

25日、タワーレコード新宿店でブリーフに手を通して肩まで引っ張り上げるネタ「ブリーフ重量挙げ」に挑戦した。ところがブリーフが破れ全裸となってしまった。
観客約300人、エガちゃんはそのまま当然の様に観客の中にダイブしてしまった。

その場がとうなったかはご想像していただきたい。
で、警視庁保安課と新宿署に「公然わいせつ容疑」で事情聴取をされたのであった。
私のエガちゃんは「お騒がせしてすみませんでした」と謝罪した。
「芸風は変わりますか」の質問には答えなかった。芸風といっても江頭250は存在そのものが芸風だから、本人も答え様がないのだ。

佐賀県出身47歳、もし入獄したら差し入れに行こうと思っている(?)私は途方も無いバカな奴が大好きなのです。「バカほどの芸」に勝てる奴はいないのです。




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