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みかん箱一個に天津甘栗の大袋四つ(勝栗は縁起物)これが相当に重かった。
十一月八日、舞台演出家&主役の友人が代々木の青少年総合センター4階42で稽古中、その撮影と激励に行った。銀座で買った差し入れをタクシーに乗せて向かった。
着いたら直ぐ側にと思った読みが浅かった。
入り口にこれ以上はクルマ乗り入れ禁止、まあ仕方ないかとみかん箱をひとまず置いて箱を開け、そこに天津甘栗大袋を四つ加えた。
以前舞台を見た時に20名位出演していたので一箱なら二個ずつ食べてもらえると思った。
ゲートの入り口のボックスに人のよさそうな五十代の男の人がいた。
すみません、ここどこですかとデスクの女性が渡してくれた地図と青少年総合センターの配置図を見せた。
カルチャー棟42はあそこの階段か、あそこのエレベーターで2階まで行って、あそこに見えるところの4階ですと教えられた。
えー、あそこか、この箱とカバンを持って随分遠いではないか、おじさんこれ持ってくれるなんて頼めそうにない。
よし、と心を強く持ちカバンを斜めがけにして、箱の両サイドに開けてある小さな丸い穴に指を入れた。
ヨイショと持ち上げて一歩、二歩、三歩…中指と薬指が思い切り痛い。
よし底を持つかと持ち上げる。重ーいではないか。
牛歩のように歩いてやっとエレベーターへ、そこを出て見ると、どーんと長い廊下があるではないか。金魚が何匹もプニョプニョ泳いでいる水槽の前に箱をドスンと置く。
42が分からない。
インフォメーションがわかりにくい、どこだろうか、いつもの事ながら一人で行動している時は子ども以下の自分が情けない。
おっ人が来た、すいませんときっと役者さんだと思った人に聞いた。
その人は役者さんではなかったが親切な人で42はずっと奧の左側ですよと教えてくれた。
重そうなみかん箱を持っていたのを見て、大変そうですね手伝いましょうか、なんてひと言も言わずに行ってしまった。親切そうに見えたのに。
指がかなり痛い、腰も腕も痛い。
そうか下に置いてラグビーのスクラムみたいに押せばいいじゃんか、とやっと気がついた。こりゃー楽ちんだ、箱の上にカバンを載せて押して押しまくる。
で42に着いた。
なんでこんな簡単な事に気が付かなかったんだと思いつつ、ドアを開けた。
おっ、広—い。あっいたいた。でも真剣な姿を見て声は出さなかった。
次にあっ、いたいたの人は監督の寺尾学ぶさんとカメラマンの川西さん。
そっと静かに、どーもどーも、えっこれ持って来たのですか?そーなのそーなの遠い重い旅路だったよと言う。台本片手に演出する友人が素敵だ。
稽古する役者さんたち10人程、沖縄の三線を弾く人もいた。
いいなぁーこの空気。
近々上演の通し稽古は緊張感がピーンと張り詰めていた。
みなさん差し入れ頂きました、みなさんとても丁寧にどーもありがとうございます。
そこで撮影させて頂きシナリオの中にどう生かすかを考える。
この日はもう一箇所撮影に向かった。
東大和市にある杉田陽平さんのアトリエにレッツゴー。川西さんのクルマはベンツの4WD3500CC、グイグイ走って一時間二十分、立川駅前で差し入れを買う。
おせんべい二種、飴二種、ピーナッツなど。
お酒は飲まないと聞いていたのでお菓子にした。
緑色のアパートの一室、ジャジャジャーン、素晴らしい!130号に極彩色の杉田ワールド。絵の具だらけの床にペタンと座って撮影開始。この絵は十一月末に展覧会に出すそうだ。
既にNYの人が買う事で決まっているとか。
武蔵野美術大学出身30歳。ご注目あれ、天才の出現を。
才能✕才能✕才能、この出会いから予期せぬ科学反応を生む事が私の実験だ。
「青春は何もかも実験である」という。
クリエイティブを志す人間はいつまでも青春時代の中に居なければならない。
実験の成功は失敗の中からしか生まれない。
この日の最後は一人の女性のオーディション、ベンツ4WDは夜の赤坂へ向かった。
十一月十八日ポール・マッカトニー(71)の東京公演に行く。
音楽は永遠に青春だ。
新曲「NEW」の中のフレーズに「自ら 選んだ道を行けばいい 保証なんて 何もないけど 失うものも 何もない」ポールはずっと挑戦中だ。