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2012年5月25日金曜日

「占い師を占う」




人間という動物が他の動物と違う最大の点は、人間は夢を追う事が出来るという事だ。
夢の大小はそれぞれだから何でもいいと思う。今日より明日こそと思うことが生きている証しとなる。

今日は家からバス停まで365歩だった。よし、明日は364歩で行くぞでもいい。
一日一歩縮めればいつかは家を出て一歩でバス停に着ける?
今日はゆで玉子が上手に剥けずだったが明日はきっとキレイに剥くぞでもいい。
あの本を一頁でも読むぞ、あの絵をきっと描き上げるぞでもいい。

ただ何となく寝て、ただ何となく起きて、あ〜あ又、今日も始まりか、なんていうのがいけないと思う。
元気に生きたくても生きられない人たちに申し訳がないと思う。
私の様に大風呂敷をいつも広げて人に迷惑ばかり掛けるのは困り者だが、ハンカチサイズの夢も広げられないのはいかがなものかだ。人間守りに入ると一気に攻め立てられる。攻撃は最大の防御ともいう。

ある日の事、占いで生計を立てている人が私にこういった。「明日はどうなるんですかねえ、この頃さっぱり夢が持てないんですよ」と。コラッ君は占い師だろうがそれでよく人の人生が占えるな、しっかりしろいと気合いを入れた。占い師はそれが出来る位なら占い師なんてやってませんよ。この頃競馬で損ばかりしてるんですだと。
来週はダービー絶対当ててみせますといいました。まあ夢を追うんだからいいとするか。




2012年5月24日木曜日

「別離」




523日(水)午前十時三十分、予告編が終わりお目当てのイラン映画「別離」を観る。
東急文化村6Fル・シネマ、先日行った時は満員で入れなかった。

アカデミー外国語映画賞の作品だ。
映画作りで製作と監督を一人で行って成功した例は少い。
更に脚本となると更に少ない。クリント・イーストウッドはその代表的な人だがハリウッドは基本的にシナリオは別だ。

製作とはプロデューサー資金集めから広告宣伝まで全てを取り仕切る。
つまり一銭たりとも無駄な資金は使わない工夫をする。一方監督はどんな事をしてもいい作品にしようとする。車でいえば目的地に向かうのは同じだがブレーキとアクセルの様な関係だ。

それ故プロデューサーと監督はモメにモメる。
シナリオはドライバーと同じで腕が良くないと絶対にいい映画は生まれない。

アスガー・ファルハディ1972年生まれ、天は二物も三物も与えた。
二時間超えの作品は、始めから終わりまで言葉と言葉の全面対決だ。
その量の凄い事。その映像、その演出、その演技、もう一瞬たりとも言葉を逃す事ができない。無駄な言葉が一つもないのだから。

映画の主題は極めてシンプルだ。神の前で嘘はつけるか。
11歳の少女の求める真実に嘘はないかだ。

ヤクザな人生、ハッタリとホラと一夜漬け、嘘八百を生業とした身には深刻なテーマだった。近頃世の中から真実が消えてしまった。

いずれDVDが出るはずだ。ぜひ一人でも多くの人に観て欲しい映画だ。
過去の駄目な自分から「別離」しないといけないとつくづく感じさせられた。
何!ウソ、出来る訳ないだと?無礼な本当にそう思っているのだ。

「心配な事」



先生、何でこの頃学校教諭の幼い子供へのいわゆるイケナイ教諭の行動が多いのですかね?それはね、つまりの処カンタンな事なんですよ。

そもそもロリコンというかロリータ指向の性分の男性がその職に就いているんです。
先生ホントですか?と話す相手は心理カウンセラーの先生だ。

ある事で取材兼食事兼クラブ兼をしていた。
先生は酒が入るとその言がメッタヤタラと飛躍する。
ある時なんて言葉がアルプスを越えた位だ。

あのネ、柔道なんて究極のイヤラシー体位だし、アマレスのバックをとるなんていかに古代ローマ時代にその手が多かったという事なんだよ。柔道の四方固めなんて謝国権(分からない人は調べて下さい)の世界だよ。マア柔道家の女性と一緒になった御仁はまず逃れられないな。ハイ、ウイスキーお代わり。

全く困ったもんだ。
聖職が性職になってしまっては小学生の孫娘二人を持つ身としては心配で仕方ない。
それより何よりこの先生の心理カウンセリングを受けている人は立ち直れるのだろうか。

昨日も、今日も、そして明日もイケナイ人による、イケナイ事が起きる。
いっそ孫娘を退学させっかなんて思っている。

近々、中学では柔道を必須科目とする学校が増えるという。立ち技は危険なので寝技しか教えないらしい。先生大丈夫ですかね?

2012年5月22日火曜日

「恐山」




人は死んだら何処へいくのか。

天国と地獄はあるのか。
こればかりは死んだ人でないと話す事もできない。
誰か一度お釈迦様とか、地獄の閻魔大王さんにインタビューなんかして帰って来て詳しく話を聞きたいと思うはずだ。

日本三大霊場の一つに「恐山」がある、青森県下北半島にある。
5月の開山から10月末の閉山まで年間二十万人位がここを訪れる。その最大目的は「死者と語る」という事だ。

イタコさんという女性が「口寄せ」といってあの世の人の言葉?をこの世の人に伝えてくれるのだ。
詳しくは行ってみないと分からないので行ってみようと思い現地と交信をした。

聞けばイタコさんは個人営業でありどのお寺さんも取り次ぎは出来ないとの事。イタコさんの数も減少している。
夏になると、思い出の遺品を持った人達で大混雑となる。口寄せには三時間、五時間、八時間待ちとなる。
翌日になるケースもあるとか。

イタコさんの平均年齢は80歳を越えつつあるとか。40代のイタコさんは二人しかいない。

実は三年前に制作した短編映画のラスト三分をどうしても作り直したく考えていたところ、頭の中にバリバリバリと電磁波が侵入してきたのです。オッ、来た。グッドアイデアが降りて来たぞとなったのです。ヨォーシ、恐山だ。
恐山だとなると周りは恐れていた事が起きた、きっと恐山一色になるぞとなるのです。その結果はアラッカンタンでした。

余程の事(お釈迦様とかのご推薦とかがないと)撮影の許可はまず難しいと青森県のフィルムコミッションのお返事でした。待つ事四ヶ月だったのに、今やっとそれに変わるビッビッビーと頭を刺激するアイデアが降りてきたのです。
その間恐山関係の資料本に何冊か触れました、その中の一冊をお薦めします。

この一行が目に入りました。「一番危険な欲望は正義の顔をしている」新潮新書刊、南直哉著「恐山」本体700円(税別)その中にJRの遺失物には「骨壺」が数多くあると。死者に敬意を持たない人は何処へ行くか思い知るはずです。
恐い、恐い山に行く事になります。


2012年5月21日月曜日

「定食の名はシネマ」




日曜日床屋さんに行った。月に2回が決まりだ。
その日愚妻が弁当を作って置いて出掛けた。床屋さんに行くと少々お待ちをであった。

丁度昼頃朝ヨーグルトだけだったのでお腹が空いてきた。
床屋さんの三軒隣に「一喜」という居酒屋がある。昼はランチを出している。
確か店先の小さな黒板に白墨で、鯖塩焼き+コロッケ+味噌汁780円と書いてあったのを思い出した。

家に帰れば弁当があるのだが(弁当はよく作る)鯖塩焼きが気になった。
この頃鯖の塩焼きの旨いのはとんとごぶさただ。ノルウェー産が一番脂がのって旨いのだ。
銀座の阪急百貨店の裏通りに鯖塩焼き定食の専門店があったのだがどうやら閉めてしまったと聞いた。

床屋さんにちょっと「一喜」で昼飯食べて来るわと言って出た。
昼はオジサンとオバサンの二人。鯖旨いかと聞けば、マアマアかなと応える。L字型になったカウンターに座る。
左隣に中年オジサン一人(隅っこ)右斜め前の四人掛けのテーブルに若いカップル一組であった。

鯖塩焼き定食を頼む。
スポーツ新聞があったので読み始めると左から聞き慣れた音楽というより映画の主題歌が流れて来るではないか。
「およしなさいよむだな事~」座頭市ではないか。隅っこのお客の左斜め上に病院のベッドサイドに置いてある位の大きさの液晶テレビで座頭市が始まったのだ。

右目はスポーツ新聞、左目は座頭市、頭の中は鯖塩焼きとなっていた。
時代劇専門チャンネルなのだ。私もよく見る。CMなしでしっかり見れる。
中・高年第一線引き下がり、カネなし、ヒマあり、やること浮かばずの人気のチャンネルだ。

二十分ほどして鯖塩焼きの登場、レンジでチンではなくちゃんと焼いてある。
「オメェーは座頭市か、ヘエそうでやんす。アノー今サイコロの目は五と二の半ですよねといえば、このドメイラ何処を見てやがる四と二の丁だと中盆はいう。イケマセンやアッシーみたいなヨワイモンオダマシタラ、ナニコノヤロー」なんてぐいぐい聞こえてくる。もうその目は座頭市に釘付け。懐かしいな座頭市、第一話は荻窪大映パルサスで観たのを思い出す。

鯖塩焼きはすっかり冷めてしまったし、コロッケもしんなりしてしまった。
箸を持ったまま画面に食い入る。勝新太郎は座頭市になるために生まれてきた様な役者だ(兵隊やくざと悪名も最高)

すっかり映画に一喜一憂していると床屋のおばあちゃん「アノォーお待たせしましたどうぞ」とドアを開けながら言った。
 おばあちゃん今いいとこなんだよ、これが終わったらいくからと言った。
そしてそれから一時間半座頭市物語となった。

何、この後は市川雷蔵の「眼狂四郎」、その後は江波杏子の「女賭博師」と続くらしい。
出るに出れない。オヤッ隅っこでチャンネル権を持っているオッサンに特製のラーメンとご飯が出た。
黒板のメニューになし。どうやらオッサンはほぼ三食ここで食べている様だ。紙袋から自分で持ってきた明太子を出した。負けてんなやっぱり毎日来ている人には。

「一喜」にはシネマという絶品の定食がある。

2012年5月18日金曜日

「親切の国」


※イメージです


私の知る限り世界で一番頭がよくて、ズル賢くて、不潔でスケベで食いしん坊で全て理解不能な国は中国人でしょう。
次はフランス人、意地悪です。中国人とフランス人は驚く程似ていて仲良しです。
その次はイギリス人、ビールの小瓶一本で一晩持たせる程ケチンボです。
気が短いといえばアイルランド人。時間を守らないのがアッラーの神の国。
最も日本人は異常に時間を守り過ぎです。
 世界中を見渡しても日本人ほど清潔で人に優しく親切で時間と約束を守る国民は何処を探しても先ずいません。

過日タクシーの中に忘れた家の鍵を個人タクシーの運転手さんがわざわざ会社まで届けてくれました。
関口タクシーさんでした。電話番号がわかったので電話しました。
「ありがとう、本当にありがとう、また今度きっと乗るから」と約束しました。

外国人が日本に来て必ずいう事があります。「ニッポン人トテモ親切デス」と。
そうです日本人程人に親切な国民はいないのです。それを知るためにも日本人はもっと世界を知る必要があります。

就活に失敗して学生さんが自殺するなんてとても辛い時代です。
何もしないで会社にしがみついている人は後進に道をあけるか、さすがという働きをしないといけません。
若い世代が夢を持てない国に明日はありません。

私もいまや給料ドロボーと化していますが熱き心は持ち続けています(究極の迷惑です)できれば中国人の得体のしれない凄味と、フランス人のスケベ心と、イギリス人のエセジェントルマンシップと、アイルランド人の直ぐカッとなる単純さと全てにルーズなアッラーの国民性と女性を見れば声を掛けるイタリア人の陽気でステキなファッション性を持ちたいと思うのです。
 何故アメリカ人が出ないのかといわれればアメリカ人という人種は正確にはいないようなのでよくわからないのです。
合衆国ですから。


5月13日、元小結「垣添」こと押尾川親方と広告代理店の社長大泉勉さん、日刊スポーツの専属カメラマン栗山尚久さん、ノンフィクションライターの黒井克行さんと築地の料亭高野で顔合わせをしました。
実に正確に集まり、涙を誘う親子愛を聞き、闘志溢れる話をし、次にまた会う日を約束して別れたのです。

この地球上約二百カ国の中で裸にまわしをして江戸時代からハッケィノコッタノコッタに命を懸けている国はないのです。相撲は時間通り見合って時間が来たらガツンと当たる。遅刻早退は許されません。
日中韓のサミットの映像が宿泊先のホテルのテレビに映っていた。駄目だこりゃと思った。野田佳彦の目が既に負けている、スキだらけだ。パイカルとかマッコリ、ハニートラップですっかり出来上がっていた(酔っていた)。
 そうだなやっぱり歴史が違うからな、日本文化は中国、韓国の子分だからなと思った。
後何年かで日本は隅から隅まで中、韓に負けるだろう。国も会社も人材に投資しないといよいよジ・エンド。お終いとなる。

学生さん、就活で失敗して命を捨てたりしてはいけません。
相撲だって一度か二度マッタは有りですから。ヤバイと思ったらマッタをして下さい。
ニッチモ、サッチモならない時は自分のせいではなく、相手のせいにして下さい。ご連絡をくれれば及ばずながら相談にのります。君たち学生は、このどうしようもない国の唯一の希望なのです。

「オッキャクサン、カラダドコモカチカチアルヨ、シンデシマウヨ、ワタシノユビモウダメアルヨ、コレイジョウダメアルヨ」とマッサージのチャイナレディ。いう事はいいかげんなのに体は硬いのです。
人生はまさに重き荷物を背負いて、遠き道を歩むが如しです。気合いだ、気合いだ、気合いだぁー。

「裏切り」



男の世界で一番許せないのは仲間を裏切る事だ。
女の裏切りには静かに立ち去るのみだ。

大好きな映画は裏切りに対する復讐作品だ。
ストレス解消には、ロバートデニーロとアルパチーノの「ヒート」をお薦めする。
ラストの25分、とにかくバッコンバッコン、ズンズンバンバン、バキューンバキューンと街の形が変わってしまう程打ちまくる。

テレビの音大き過ぎる。
ご近所にご迷惑だからボリュームを下げて等といわれたらこう応える、銃撃戦をボリューム下げて無声映画みたいにしたらただのアホとマヌケの追い駆けっこだっていうの。サッサとネローイ。

惚れた女と一緒に堅気になるためにオサラバするギャングの男(デ・ニーロ)、それを追う刑事(アルパチーノ)飛行場間近に着いた時、ギャングはいう。直ぐ帰る、待っていてくれ、やり残した仕事が一つあるんだ。それを終えたら二人で静に暗そうと。それは仲間を裏切った男を殺す事、やっぱり許せネェ。

戻ったら二度と帰れないのを覚悟に裏切り者の住まいに行き復讐をする。
そして女の待つ飛行場に近づいた時、刑事アルパチーノが現れる。バババァーン、ズキューンと戦闘開始だ。
逃げるそして撃つ、追いかけるそして撃つ。ダダダダーン。いいな、いいなやっぱりこういうのはハリウッドだとなる。

実はこの映画ロバートデニーロとアルパチーノは全部別撮りであった?
よく見て分かったらかなりの映画通!ハリウッドの編集は本当にスゴイ。
ロサンジェルス(LA)は映画の街、撮影を仕切るのは当然マフィアだ。LAの経済を支えているのは映画撮影のための街の使用料、その額一兆円とも二兆円ともいわれている。

ある年ニューオリンズの街に雨を降らしまくる撮影をした事がある。
消防車全車撮影に参加、何本ものホースで土砂降りにした。で、撮影が終わって消防署長にハイ500ドル。
隊員たちにハイ500ドル、チップ○×ドル。私は通訳を通して聞いた。
 「こんな事していて火事が起きたらどうすんの」と、所長はいったもんだ。
「こんな時火事を出す奴が悪いんだ」とそして消防隊員たちはドル紙幣を空に掲げてイエーイであった。

ホースから出るもの凄い水の力でガラス窓がすっかり破れた。
中から「バカヤロー、オメーラ何すんだ」みたいな英語が聞こえた。私には英語が分からないのであった。
消防署長はマフィアだったのかもしれない。この世は裏切り社会、決して許してはいけない。

2012年5月16日水曜日

「清き一票」





歴史には必定があります。
歴史上王朝とか帝国といった権力が生き永らえた事はありません。
やがて中国や北朝鮮も民衆が蜂起して自由を勝ち取るでしょう。権力の末路は哀れを極めます。

選挙に勝つためなら何でも有りとアメリカのオバマ大統領が同性愛婚をイインデナイカイ、サンフランシスコなんてゴッソリその手の人たちばかりだし、ホワイトハウスだって、上院、下院だって男大好きな男だらけなんだから。

イエス!チェンジだっぺっつうの。ホモだちのホモだちは皆ホモだちだ。みんなで広げようホモだちの輪!と許容な発言をしました。そんじゃあレズはどうなのと聞きたいがその声にはあまりに取材不足なので返答は差し控える。
 「我思う故に我あり」の言葉大好きな私としては世の中の男と女の二種、その他オカマ、ニューハーフの特殊が二種、本人が悩み苦しむ性同一性障害の人。いずれも清き一票ではないかと思うのです。

ある時インディアンと仕事する事があった。
グランドキャニオンにポツンとある小さなコテージで飲みながら話が弾みその話になった。
勿論私は日本語だ。通訳のガイドがどういう言葉でいったか分からないが、こんな返事が返ってきた。

インディアンウソつかない。
インディアン男大好き、女も大好き、白人の頭の皮もっと大好き、カスター将軍と黄色いリボン以外みんな大好きだって。
カスター将軍はインディアンを殺しまくり?その後インディアンに殺された。
アンタノアタマノカワハイデアゲヨウカ、グラスになみなみと入れたバーボンをガバッと飲み干し、スペアリブにかぶりついた。口の周りをベタベタっとしながら私の頭をナデナデした。
 この人もちゃんとアメリカ大統領を選ぶ清き一票を持っていた。

モウスグカミナリクルアルネといって帰った後、猛烈な雷雨が来た。
インディアンウソつかなかった。世界人口はやがて90億人となり日本人は70008000万人になる。
がんばれ男性、ガンバレ女性。どんなに愛し合っても同性から子孫は生まれない。
インディアンウソつかない。「この世にはヤッテヤレない事はない」と畠山みどりが歌ってました。

2012年5月15日火曜日

「ローソク入れ」


一輪挿し

花瓶


深夜の楽しみといえば映画を観ながら本を読み、合間に落語を聞きながらチビチビ一杯飲む。
凄味はチーズとかハムとかソーセージ。時々鯖の水煮缶とかツナ缶もいい。
時々コンビーフとかクラッカーもいいし、時々さきイカとかスルメの細切りをジックリ味わうのもいい。
時々何にもなくただ飲むだけなのもいい。
お気に入りのバカラのグラスにあの娘訪ねてなんて思い出にひたるのもいい。
 酒と思い出ほど似合うものはない。

秋田で病院を経営している義兄が褒章を受けたのでその御祝いを買いに丸の内にあるバカラの本店に行った。
時計を見ると午前104318秒であった。
広い売り場にお客は私一人であった。

いつ見ても、何を触ってもバカラグラスはいい。
指でパチンと弾くとバカラしか出せない、いい音がカキーンと響く。
ギザギザの花瓶とギザギザの一輪挿しを買い求める。
 精算している間バカラグラスを手にしているとグラスの底に思い出がキラキラ光っていた。

目の前に大きな鏡があった。誰だそこに座っている人相の悪い男は。
グレーのスーツにハーレーダビットソンが描いてある。
アロハシャツと黒のベストを着ている男は、随分と歳をとったではないか。
思い出は振り返っても、もう思い出はつくれないか。いや、これからだぜといって鏡の男にいった。
そこには昔若かった私が居た。

細長い品をいいグラスだねといって口にする真似をしたらお客さんそれはローソク入れですといわれた。
知ったかぶりで何度恥をかいて来た事か。

2012年5月14日月曜日

「侠客」




もうどうにもこうにもやってられネェよ、何しろ俺たち渡世人(ヤクザ者とも云う)の仕事というか生きている証しといえば喧嘩と博打だからな。
キリストじゃあるまいし、右の頬を殴られたら左の頬を出せなんて訳にはいかない。

一度でも下手を打ったら(男を下げたら)渡世人として生きてはいけネェからな。
この頃じゃ半グレの方が俺たちよりハネてる(儲けている)し暴対法にも引っかからネエからやりたい放題だ。

と、電話の向こうで話をするのは男を売り物にしていた高校の頃よく遊んだ先輩だ。
近々稼業を辞めるという。まあ歳も歳だしその方がいいんじゃないのかなといった。
暴対法がじわじわ効いてきている。
男と男の勝負に命をかける男が居なくなるのは淋しいものだ。

中学を卒業する時に将来は何になりたいかというのを書かされた(生活指導の先生に)私は三州吉良の侠客、吉良常の様になる、と書いたらなんだ「吉良常」とは、といわれた。
先生尾崎士郎の「人生劇場」読んでないの?そこに出て来る吉良仁吉の流れを組む侠客だよといった。

何を考えてんだ君はといわれた。
話が通じそうもないので知らなきゃいいですよといってやった。
この生活指導に一度思い切り殴られた事があった。その積年の恨みを卒業間近の時に晴らした。理科の実験室の裏で生活指導はゴメン許せなどといって謝ったが時すでに遅しであった。母親が学校に呼び出されたのはその数日後だった。

やられたらやり返す。これは我々人間に与えられた等しき権利だ。
電話の向こうの先輩は奥さんの田舎に帰って果物とか野菜を作るらしい。
きっとウメエの作って送るからヨオといって電話を切った。
夏になったら一度いってみようと思う。とんでもない位喧嘩に強く、女性にモテた。
この人に男とはを教えてもらった。決して道を外さない筋を通す人だったがんばれ侠客。