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2013年10月15日火曜日

「ジャックナイフ」


望郷




アルジェリア、カスバ(貧民街)、パリのギャングがここに身を隠している。

ここにはシャンゼリゼのめくるめく灯りはない。
パリのカフェテラスもパリのファッションもない。
勿論シャンソンも流れない。

男はこの地の女に心を寄せられる。
気を許せる子分はこのカスバから出たら捕まると言い続ける。

男はパリが恋しい、パリこそオレの街だと心の中で思い続ける。

ある日観光客たちがカスバを訪れる、その中にパリそのものの様な一人の女がいた。
男はひと目見て心を奪われる。子分はその心を見逃さない。
この街にいれば安心だと言い続ける。

男をずっと追う刑事が一人。砂漠でオアシスを見つけた様に男は女に近づいて行く。
パリの女はほんのアバンチュールな気分で男と接して過ごす。
そして女はパリに帰る日が来る。

男は子分が止めるのを振り切って女を追って街を出る。
女は船の上、男に気付いているのかいないのかは分からない。

街を出た男を遂に刑事は捕らえ手錠をかける。
港の金網を掴みながら男は刑事に言う。手錠を外してくれ、手を振らせてくれと。
 刑事は手錠を外す、男はポケットに手を入れナイフを持つ、そして叫ぶ「ギャビー」と。

この映画の原題は男の名「ペペルモコ」、日本では「望郷」であった。
主演は「ジャン・ギャバン」映画史上三大ラストシーンの一つだ。
他の一つは「シェーン」ともう一つは「第三の男」と語り継がれている。

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