時事ドットコムより |
人間は生きている限り勉強だ。
それを実行する横綱が出た。
大相撲の「日馬富士」が法政大学大学院政策創造研究科に合格した。
四月から都内のキャンパスに通い、経済学や企業論を学ぶという。
スポーツ、文化に関心があり勉強家の日馬富士は、角界に入門後、モンゴルの国立法科大学通信課程に挑戦。
昨春には「日本とモンゴルの法律の違い」をテーマに卒論を提出して卒業。
警察官と弁護士の資格も得た。
人間として、相撲だけではなく、いろんな事を知っている大きな人間になりたいという。横綱といっても日馬富士は未だ二十八歳の若者だ。
食って寝て激しい稽古をしての繰り返しの中で勉強を続けるのは余程の覚悟がないと出来ない事だ。既に「体験授業」も受け、同期となる会社員、公務員、企業経営者たちとも対面済み。何年掛かっても修士課程を修了すると固く誓っている。
私がお世話になった大手広告代理店に凄腕の取締役営業局長がいた。
世界一のコーヒー会社を担当して仕事をバンバン増やし、大きな実績を上げた。
大概の人間は、この人と対決をするとコテンパンにやり込められてしまう。
この人の凄いのは、定年となった後だ。六十を過ぎてからなんと司法試験に挑戦し始めたのだ。座右の書は六法全書、そして遂にとなれば良かったのだが、確か六十七歳の時に一点足らずで合格できなかった。本人によるとその一点が大変の差らしい。
七十歳になると試験は受けられないのだとか。
で、現在は七十五・六となったのだが、三田の慶応大学に聴講生として通学している。
過日友人の陶芸展でお会いしたら、目を輝かせて勉強を語っていた。
私の知る限りこの人以上の代理店の営業担当はいない。
思った事をズバズバ言うので役員の上の上には行けなかった。
だが人生の結果はこの人の方が全然勝っている。
何しろ誰よりもイキイキしているのだから。きっと頭を使っているからだ。
味方も多かったが、敵を沢山作ったのも頭のためには良かったのだろう。
いいものはいいと即断即決、ダメなものはダメ、ダメ、ダメ、ダメとぺっちゃんこにしてしまっていた。人間は人から好かれようとすると大きな傷を負う。
「嫌われる勇気」なんていう本が一番売れているらしい。
今からでも遅くない、徹底的に嫌われるために勉強してみるべしだ(私はずっと嫌われ続けている)。あの人は本当にいい人だといわれて、本当にいい人だったのは実に少ない。
大相撲が大好きだ。
二十三日(日)千秋楽、大関「鶴竜」が優勝し、第七十一代横綱になるのを決定的にした。二十八年前モンゴルの大地に生まれたマンガラジャラブ・アナンダが「鶴竜力三郎」となりコツコツ稽古に励んだ結果であった。
稽古は“三年稽古”という。今している地道な努力が三年後に実を結ぶ事からきている。
今まで一度も笑った顔を見せた事のない鶴竜の笑い顔を初めて見た。
ドスコイ、ドスコイ。
大学生となる日馬富士は休場明けながら横綱同士の戦いで白鵬に勝ち12勝3敗であった。
ドスコイ、ドスコイ。
横綱は嫌われる程強くなければならない。“江戸時代”から数えて七十一人目の横綱誕生は改めて地味な努力の大切さを教えてくれた。
ドスコイ、ドスコイだ。男は勝負の世界、相手に好かれる様になった時はお終いなのだ。ちなみに内閣総理大臣は明治時代から九十六人もいる。粗製乱造ともいえる。
ドスコイ、ドスコイ。
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