昨日三月六日は「啓蟄」。
いよいよ春だわなと地の下にいた虫たちが地の上に顔を出すと、ちゃんと辞書に書いてある。
朝窓を開け空をば見ると青々としていた。青空となればアロハだなと思った。
アロハならその下は白いTシャツと決まっているので、その方程式に従った。
その上にコートにするかと思ったがひょっとして夜は寒いかもなと思い、カーディガン風のジャケットを着た。
で、玄関を出ると結構寒いけどまあコートを着ればいいだろうと仕事場へ出発した。
駅のホームに立つと北風がヒューヒュー吹いてきた。
まあ大丈夫だろうと列車に乗り込んだ。
初動にしくじると警察の捜査も失敗すると決まっている。
慌てて地の上に顔を出した虫たちも直ぐに元の地の下に戻った筈だ。
大事な打ち合わせを終え、大事なお客さんと別れ、今取り組んでいる仕事の成否を決める案件に対して、明日いい返事が来るといいなと思いつつ歩き出したのだが、風はビュービュー寒風となっていた。
失敗した、コートの下の軽装に容赦なく寒風が突き刺さって来る。
何故かといえば新橋駅に立つと小田原行きの列車が出たばかりであったのだ。
次の列車は約十五分後、その十五分が実に寒く長かった。
明日はもっと寒く風も強いと天気予報が教えていた。
テレビのニュースでユニクロの柳井正社長が海外戦略を熱く語っていた。
日本で二番目の大金持ちだが(一番はソフトバンクの孫正義社長)この人を見る度に何か寒々しい気持ちになる。
安くて出来の悪い商品を、海外の安い労働力で生んで世界一を目指す。売上高五兆円にするとか叫ぶ度に、何だかな〜、もっと高い志がないのかな〜と思ってしまう。
国家、国民に対しての熱風が無いから、威厳も、風格も、貫禄も(みんな同じ意味かな)感じない。
かつての五島昇東急グループ総帥みたいな、凄い、格好いい、素敵、スケールが大きくお洒落でダンディ、青い空とヨットが似合う、そんな人と比べ様もないが。
柳井正社長には野心と野望と銭勘定しか感じない。
一兆円も二兆円近くもお金があるんだから、映画にバンバン出資せよ、芸術家を育てよだ。
西武百貨店、パルコ、セゾン劇場、良品計画、無印良品などの文化を生んだ、故堤清二氏は、インテリの持つ独特のニヒリズムや、血脈の暗さが生む前衛的センスや、経営者としてのロマンチシズムや、文人、詩人としての独特の世界観があって、何か抜き差しならぬ静かなる殺気を放っていた。
東急と西武は知性の遊びある野性と、怨念の刃を宿した知性とのゾクゾクする対比があった。
何だか話が外れてしまったが、冷えた体を一気に温めるために飲んだお酒が回って来てしまった様だ。
明日はきっと吉永小百合の歌みたいな朝だろう♪〜北風吹きぬく 寒い朝も 心ひとつで 暖かくなる 清らかに咲いた 可憐な花を みどりの髪にかざして 今日も ああ
北風の中に 聞こうよ春を 北風の中に 聞こうよ春を…。
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