ダイナー(diner)を制するものはアメリカ大統領を制すともいう。
日本でいえばファミレスだろうか。アメリカ中にあり、あらゆる人種が集まる。
たっぷりのミルクに卵を入れてかき混ぜる。そこに大きなカットパンを入れてフライパンで焼く。メイプルシロップをたっぷりとかける。
バカでかいバンズ、バカでかいハンバーグ、レタス、トマト、玉ネギ、それにチーズ。アメリカンハンバーグだ。大量のフライドポテトチップとポテトフライ。
トマトケチャップをどっぷりとつける。
バカでかいチキンを溶き卵につけ小麦粉に浸し、油で揚げる。
卵5つ分のスクランブルエッグ、太いソーセージ、お決まりのフライドポテト。
大きなマグカップのコーヒーにはシュガーを一袋ゴッソリと。
シェールガス革命に命をかけたが、サウジアラビアが減産を中止したのでシェールガスは安い石油でなくなり、シェールバブルは終わった。
群がった男たちは消えてしまい残ったのは動きを止めた油田ばかりだ。
太るために必要な全ての食べ物と飲み物をペロッと平らげる。
男と女たちは言う、移民を止めさせろ、不法移民は帰せ、イスラム教徒の首を斬れ、既成の政治家のウソとゴタクを並べる言い訳にはもうオサラバだ。
アメリカ全土で20万軒はあるというダイナーでは、投票最後の日の夜までヒラリーかトランプかをビールを飲み、コークを飲み、バカでかいハンバーガーを食べながら語り合う。と言うより怒鳴り合う。
履き古したジーンズ、泥だらけのブーツ、色あせたタータンチェックのシャツにつなぎのバンド、安手のコート・ジャケットにテンガロンハット。
年金暮らしという老人たちは口を揃えて、既得権益の代表、嫌な女、野心家ヒラリーはトランプに負けてしまえと。
ダイナーには大統領候補も来て運動をした(11月7日午前二時BSにて)。
日本でいえばデニーズ、ガスト、ロイヤルホスト、ジョナサン、ココス、すかいらーくなどだ。
一人の天才からTempo dropという不思議な置物を送ってもらった。
一見理科室にある実験用のようなものだ。円錐の三角形のビーカーの中に、米麹みたいな白い粒子が自在に浮遊する。その日の天候などによって無数の白い粒子の動きが変わる。海底2万マイル探検の時に役立ったとか。
航海術や気象学などは全く分からない私だが毎晩その変化を見ている。
アメリカ合衆国はどんな変化を見せるのだろうか。
肥満大国は砂糖とコークとハンバーガーとポテトで滅びるともいう。
いつものグラスにジンを入れた。
BGMは沖縄の友が送ってくれた飛び切りいかしたTerry Callierの音楽だ。
R&Bのような、ビーバップのような、ソウルフルなギターと叫びだ。
悲しい夜にはやけに沁みる。
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