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2016年12月15日木曜日

「泣き言」




義理がすたればこの世は闇、恩を忘れればこの世は…、そうケモノの世界だ。
人間という生き物(動物)は唯一恩義を忘れない生き物でなくてはならない。
他の生き物たちは動物的本能によって生き抜く。

素っカタギの人たちが、なんでヤクザ映画を見に行くか、それはその映画の中に、弱きをたすけ強きをくじくバーチャルな世界があるから。
また、今自分の目の前に起きているどうしようもない人間たちの生き様を見て、これじゃまるでヤクザ者よりひどいじゃないかを確認する。

人間は金と名誉と出世と肩書と、色と欲がからむとケモノと化す。
自分を守るためなら恩も義理も、筋も道も捨てる、というよりハナから男としての生きる筋道がわかっていない、他力本願で生きて来た人間たちは自己防衛に何もかも見失う。
その結果実はその人間がすべて失うことを知らない。

そういう人間たちが、昨夜ワイワイ、ガヤガヤ渋谷の飲み屋で忘年会をやっていた。
私と仕事の打合せしたクライアントの二人の女性を渋谷まで送った。
その後相談したいことがあるという男と会いちょっとした飲み屋に入った。
酔客たちはオレはヨォ~、アイツはサァ~、アノヤローとボルテージは上がる。

男の相談はやっぱり会社や同僚、上司への不平、不満、不安、不信、裏切られたという自己弁護であった。なまじ大きな会社にいるために、グジグジ度も大きい。
かといってケツをまくる根性もない。会社を出て自分で勝負する力量もない。
男の泣き言を聞くことほど嫌な時間はなく、飲む酒もまずい。

私は飲みながら目の前の人間を一つ一つ採点してやった。
結果すべてはその人間が不出来なのであった。
そのことを一つ一つ指摘していると、オイオイと泣き出してしまった。
で、今夜はここまでと外に出た。
私より大きな男が後ろから泣きながらトボトボとついて来ていた。
多分このブログを読んでいるんだろうと思う。
もう一度言う、キミが会社を出たいというよりも、会社がキミに出て行ってほしいと願っているはずだ。男はメソメソすんじゃない。

女子大生らしき酔っぱらいが数人センター街の入り口でベロベロになっていた。
二人はみっともない姿でへたり込んでいた。親はその姿を見たら悲しむだろう。
男が三人介抱をしていた。悪い予感がした。

二時間ほど前キミたち静かにしなさい!他のお客さんがいるだろうと店内で大ハシャギし大笑いをする三人のお客を叱ったレストランのオーナーシェフを思い出した。
世の中に叱る人がいなくなってしまった。何故なら叱るとすぐに泣いてしまう。
もっともそれは男であって、女性はちょっとやそっとでは泣きを入れない。

“酉年に向かって”とラベルに書いて少年時代の友へ白ワインを置いた。
がんばれ介護。

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