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2017年7月13日木曜日

「佐賀の酒なり」

週に一度これは治療ではなく工事です。
と言って私の体のメンテナスをしてくれる、鍼灸マッサージの達人は佐賀出身。郷土愛100%の達人はお酒好き。
日本酒といえば秋田、山形、新潟、福島、兵庫、大阪などを私は優先的には連想する。
勿論日本国中に銘酒はある。

昨日の日経新聞夕刊に二段組の記事18行があった。
達人がよろこびそうなので紹介する。

見出しには、佐賀産日本酒4銘柄上位に/仏コンクール【パリ=時事】フランスのソムリエらが日本酒550銘柄から最優秀を決める「蔵マスターコンクール」結果が11日発表され、上位10銘柄のうち4つを「七田純米吟醸」をはじめ佐賀県産が占めて首位に立った。最優秀銘柄は10月に明らかにする。コンクールは、日本酒の海外普及を目指してパリの高級ホテル「クリヨン」のシェフソムリエ、グザビエ・チュイザ氏らが実施している。(原文ママ)

へぇ~佐賀の酒はそんなに美酒なのかと正直思った。
私の敬愛した亡き友は、日本酒通であり名文を書いていたが、佐賀の酒については教えてくれなかった気がする。
否、教えてくれていたが私が忘れてしまったのかも知れない。
何しろ博覧強記の友であったから。
中国では酒のことを「忘憂」という、気の重いことや嫌なことを忘れられるからだろう。
友と友の師である故池波正太郎先生の高弟であり、稀代の名文家にして、大博覧強記の佐藤隆介先生と三人で“忘宴会”というのを年に二、三度行なっていた。

針山亭こと佐藤先生は、やっぱりこれ一本といえば「菊正宗」だなとおっしゃった。
いろんな料理にも合性がいい。で酒音痴の私は、お酒を頼むときはまず菊正宗の辛口をと言って来た。
典型的聞きかじりである。

山の上ホテルの天ぷらは池波大先生から佐藤先生に引き継がれてウマイ!と口伝されてきた。
山の上ホテル出身の天ぷらの料理人の店、銀座「近藤」とか確か「天亭」にもご一緒させていただいた。
菊正宗にもいろいろあるが私には辛口しか分からない。
亡き友と佐藤先生は濃密な酒談議をするのであった。

一度逗子へ集合との命があり、友と逗子駅へ行った。
佐藤先生はハゼの一番早いのを食べさせる店があるそこへ行くのだとおっしゃった。店の名は失念してしまった。
ハゼ、メゴチ、キスは天ぷらの三銃士それに穴子と続けば言うことなしであった。
今度佐賀の銘酒を佐藤先生に送ってみようと思った。
佐賀産の海苔は絶品、酒のつま味の三銃士といえば、海苔(焼海苔はイケナイ)板わさ、タラコをレアで焼いたものが私の場合。暑い日に熱燗で飲むのが通らしいが私は常温。


午前二時三十一分二十七秒、時計の針を見ながら、菊正宗をゴクリと一口、二口、三口と飲んだ。外はやたらと風がうるさい。雨戸を閉めに立って窓の外を見ると半端な形をしたお月さんがぼんやり浮かんでいた。平塚の七夕さんはもう終わってしまった。

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