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2018年5月28日月曜日

「パターソンはいい男だ」

2017年度キネマ旬報ベストテンの内、3本見てない外国映画の一本を昨日深夜に見た。No.1が「わたしはダニエルブレイク」で、No.2が「パターソン」。その「パターソン」を見た。 アメリカ映画は時々、ハリウッド離れしたかのような上質な短編映画のようないい作品を生む。「パリテキサス」とか「 バクダットカフェ」とか「ランブルフィッシュ」とか「 ストレンジャー・ザ・パラダイス」などであり、私は大好きである。パーシー・アドロン、ムベンダース・ジム・ジャームッシュ監督だ。F・コッポラは大作もいいが 、小作品はとてもgoodだ。さて「パターソン」だがいかにもジム・ジャームッシュである。主なる登場人物は、アメリカのとある小さな町(パターソン)に住むパターソンという名のバスの運転手(35歳位)その恋人(あるいは妻)インテリアデザイナーを家で営んでいる。それと名演技のブルドッグ。仕事から帰った後、犬を散歩させる途中一杯のビールをジョッキで飲む、カウンターバーのマスター(黒人)その店に来るお客さん。勤務する会社の男一人。10歳くらいの双子の女の子(詩を書く)。月曜日の朝6時10分から次の曜日の朝までの一週間の出来事。と言っても毎日同じような日が静かに続く。小さな家。小さなベッドに男と女。それを見守るブルドッグ。朝食はミルクとコーンフレーク(みたい)昼食はサンドウィッチ、作ってくれたものを小さなブリキの工具箱のような弁当箱に入れて出勤する。朝6時10分腕時計を見て起きる。眠っている女性にそっとキスをしてベッド離れる。まい日同じだ。傾いた郵便ポストはモスグリーン。家の中の壁の色はプルシャンブルー。電気スタンドからこぼれる赤い灯。粒子が見えるような映像、うす暗いバー。 赤い服、ピンクの服の女性。ジャジーな音楽。ジム・ジャームッシュのフォトグラフィックの映像が実にいい。毎日同じようだが一つ違いというか、習慣がある。 それはバスの運転手の主人公が、詩を書くことだ。運転台で休んでいる時、家に帰って小さな机で。恋人あるいは妻は、いい詩だからコピーをとって出版社に持って行けばと言う。白地に黒いドット柄のカーテンを作る女。サンドウィッチと、大きなチーズケーキを焼く。映画は本をめくるように進む。今は僕は気に入ったマッチ箱がある。 小さなブルーの箱。イヤホンのように書かれた文字、、ブルーマッチの中にはマッチ棒、僕が煙草なら彼女はマッチの火。 あるいはその逆かも知れない。そんな詩をまい日書くのである。詩を書く少女はノオトにこう書いていた。宙(そら)から水が落ちてくる。長い髪のように少女の肩に落ちてくる。それを雨と呼ぶことにした。そんなを運転手の男に読んであげる。 いい詩だねという男。 映画は月曜日の朝を迎えて静かに終わる。静かなジャズのような映画であった。ピアノは似合わない。トランペットもギターも、ドラムはいらない。そう、クラリネットか、アルトサックスのソロだけがいい。だが映画はそれさえも拒否するように、ステキな音楽が静かにうすく、うすく流れていた。 イライラ、ムカムカ、ガタガタのまい日を送っている身に、何より安定剤となった。パターソンはいいだ。

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