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2019年4月18日木曜日

「運命と宿命」

韓国映画ならこんなシーンがあるやも知れない。調停に及ばず、究極の離婚のシーンである。事件は日本で起きた。去る320日午後、千代田区霞ヶ関にある東京家裁一階玄関で、離婚調停に来た妻の首を、夫が折り畳みナイフで切り付け、失血死させてしまった。夫は逮捕時にケガをしたので治療のためいったん釈放されていたが415日再逮捕となった。ずっと思い違いしていたことを知った。ノートルダム寺院が大炎上してしまった。ノートルダムとは貴婦人の意味であり、寺院の壁の中には「宿命」という言葉が残されていたという。ヴィクトル・ユゴーの原作(だと思う)「ノートルダムのせむし男」という映画が思い出された。アンソニー・クイン演じる「カジモド」という寺院の鐘つき役のせむし男(今では差別的かも)が、ある日街の片隅から、ジーナ・ロロブリジダ演じる美しい女性をみる。カジモドは熱く燃え盛る。確かジプシーだったと思う美しい女性は、一人の男を想うがその男に殺されてしまう(出世のジャマだみたいに)。カジモドは女性の遺体を山の中の洞穴に運び入れる。そしてずっと、ずつと、ずっと何も食べず、水も飲まず、死ぬまで女性の側に横たわる。月日は経ち二人の骨は灰となり、風と共に消える。ある日考古学者が学生たちをつれてその洞窟に入る。土壁を手で触っていると文字が刻まれていた。私の記憶では「運命」だと思っていたが、「宿命」だったようだ。中学生の頃か高校生の頃に荻窪のスター座で観た映画なので、記憶が定かでない。週末TSUTAYAで探して観る。離婚調停に来て殺された女性と殺した男。ノートルダム寺院の鐘を狂ったように打ち続けた男と、身分が違うために(?)殺された美しいジプシーの女性とが昨夜シンクロした。共通点は何もないのだが。何か重なった。男と女は運命と宿命から逃れられない。寿命が尽きるまで。愛と殺意は密着している。

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