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2019年4月9日火曜日

「サイコンタンに学ぶ」

裏社会では逃げ出すことを〝トンコ〟すると言う。トンズラから生じた言葉だ。逃げて隠れることを〝フケ〟ると言う。この語源は分からない。カルロス・ゴーンの美人妻がトンコ&フケてしまった。どこへと言えばフランスへ。数カ国のビザを持っていたのを検察は知らなかったとしたらかなりのドジである。中国の処世訓「薬根譚」(サイコンタン)は、「多く蔵する者は、厚くうしなう」と言っている。たくさんのものを持てば、悩みごともたくさんになる」持てるがゆえの苦脳があって、失う時にそれだけ強く痛むのだと、古人は説いている。私は映画をレンタルしてきてよく見るが、海外の連続ドラマシリーズは、ほとんど見ない。週末TSUTAYAに映画を借りに行くと、海外ドラマシリーズ「メディア王・華麗な一族」NO1NO5が目に入った。DVD1枚約120だからNO5まで一気に見ると、約600分、つまり10時間弱となる。連続物は見出すと一気に見ないとモヤモヤして気が済まない。このドラマのモデルは、テレビ・新聞・雑誌、映画、音楽、書籍、インターネットなどアメリカのメディアを占領した、ルパート・マードックだと思う。アメリカの大統領もその巨大王国に多大な影響を受ける。宮殿に暮らすメディア王一族には養子の長男、養女の娘、実の弟がいる。それらの妻や、結婚した者や、結婚を予定している男がいる。それにメディア王の兄や親者が深い闇を持つ人間関係を形成する。すべては王国の主が病気で倒れたことから権力闘争が始まる。長男たちが不信任動議を提案する、ところがもうダメだと思った主執念で復活する。王国を支配しようとする長男は、闘争に敗れる。マリファナ、コカイン、ケタミンなどの薬物に頼る。結婚相手が決まっているのに、男遊びがやめられない娘 IQが低いからダメだと烙印を押されている。ダメなセックスマニアの弟、王国の権利に群がるハイエナやハゲタカ。大統領まで絡みEUや世界の株式市場もその動向に影響を受ける。親と、兄と弟、兄と妹、妹と弟がドロドロに絡みつく。メディア王はこう言う。アメリカという国は世界から集まる汚い金を洗浄(マネーロンダリング)する国なんだよと。自分たちが所有するグループ各社は、いつでも売り買いする商品にすぎない。王国を乗っ取る作戦に負けた、長男はストレスに耐えられずコカインを求めてクルマを運転し、川に転落して九死に一生を得る。その時同乗していた若者は死んでしまう。が、長男はトンコ&フケを決め込むのだが、父である王国の主はそれを見逃さない。莫大な借金を隠しながら王国を支配していたしたたかな父は、ピンチをチャンスに変えようとする。カルフォルニアのレーズン野郎と言われた大統領はロナルド・レーガンがモデルだろうか。あるいはピーナッツ畑の主から大統領になったジミー・カーターかも知れない。アメリカという国は原住民の皆殺しから始まった国なんだ。メディア王の兄は言う。独立宣言から243年しか経っていない国の今の主は、ドナルド・トランプである。取引を上手くするには手段を選ばないだろう。トランプに八百長はつきものだ。骨を抜かれたメディアは、ジョーカーの役を果たす。だがアメリカという国は、司法だけは十分に機能する。何しろジャスティス(正義)というワードが大好きである。一族経営は堅固な団結がなければ、必ずその一族の主の乱脈経営か、内部の裏切りから始まる。10時間近く一気に見て、つくづく人間という生き物は、罪深い、オスとメスだと思った。シェークスピア曰く、「すべての出来事は序章にすぎない」一代で築いた会社は、最良の番頭や城代家老がいないと一代で滅びる。戦国大名と同じだ。(文中敬称略)

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