朝日新聞の人は自分たちを評してこう言う。「たかが朝日。されど朝日」。かつて新聞界の高級紙と言われた。インテリは朝日。ノンポリは毎日。大衆は読売。右翼は産経と言われた。無教養な私はずっと朝日を購読していたが、数年前から宅配を止めて駅売りで読むことにした。朝日の「天声人語」の名文に憧れていたのだが、すっかり駄文になってしまい、ワンパターンの書き方にダメ出しを出して止めた。また、夕刊の「素粒子」という名物読み物の酷さにアタマに来た。わずか150字ぐらいだが、これを書くのが朝日新聞記者の夢でもある。150字ぐらいで年収ん千万。昼頃出社してこれを書き終えると、会社のクルマで、高級レストランで美人とランチ。その後、銀座やどこぞへと消えるのだとか。朝日出身の記者の出版本に書いてあった。丸谷才一著の「女ざかり」では、朝日の天声人語みたいのを書く手法が書いてあった。映画では吉永小百合さんが主役を演じた。社内抗争ばかり、創業者とのバトルばかり、出世争いばかりしているうちに、ジャーナリズムとしての誇りも、プライドも使命感も大いに失ってしまった。残念無念でならない。国家権力のイジメに対する力も失った。そして誤報が続いた。ロイター・ジャーナリズム研究所は19年1月から2月にかけて、日本を含む世界38ヵ国・地域でどのようにニュースが読まれているかをインターネットで調査した。7万5千人あまりの回答、日本では2017人が回答した。15の代表的メディアブランドについて「信頼できるかどうか」を10点満点で答えてもらった。そのブランドを知っている中で、NHKが6.32点でトップ。次いで日経新聞が6.09点、日本テレビ5.95点、地方紙5.94点、朝日は5.39点で11位。6位の読売や産経8位、毎日の10位よりも下位に沈んだ。他の調査でも同様。ブランド信頼度が2年連続最下位であった(FACTA8月号70ページ)。これが何によるかは朝日の言い分も、いろいろあるだろう。が、いつまでもオレ様は朝日だと言っている場合ではない。朝・毎・読は30万部から20万部近くが毎年減紙している。地方紙の時代なのだ。もちろん、その地方紙も少子高齢化、新聞配達所の減少、新聞を読まない若者世代の影響で減紙が進んでいる。我々が生きる広告界でも新聞を読まない人間が多くなっている。新聞記者が一つのテーマに対して、体を張っていい記事を書いていけば、きっと読者は増えるはずだ。現在、日本の報道自由度は、国際機関からも強く指摘されるほど不自由な国となっている。ペンは銃よりも強い。こんな言葉は死語となっている。かつて「堺利彦」というジャーナリストがいた。自分の会社の名を「売文社」と名乗った。会社のシンボルマークは“パンにペンが刺さっていた”。ペンはパン(お金)より強いはずだから。
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