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2009年11月25日水曜日

人間市場 値踏み市篇

ある有名な料亭の若女将(貴品ある美人)から聞いた話です。下足番の人はお客さんのセンスを、傘と靴とコート、マフラーで見分けるそうです。

女将は、座敷に上がったら、脱いだ上着と靴下でそのセンスが判るそうです。又、水やお酒など、ついこぼした時、ポケットから何気に出すハンカチーフでその人品骨柄が判るそうです。足の組み方、足の出し方、お酒の飲み方、注ぎ方、心付けの額(多ければいいってもんでもないのです)その出すタイミング、話の内容、話し方、聞き方、笑わせ方、笑い方等々。聞いていたらそんなキュークツな処行けるかよって事になりました。

そうでしょ、だから来ない方がいいだって。

こうやって安い店でお茶漬けを思い切り音を立てて流し込む。黄色いお漬物をいい音立ててポリポリ食べる。それが一番だと。何しろお安いしね。女将さんが言うにはお客さんで一番人気があるのは。

お相撲さん

噺家

歌舞伎役者

人気が無いのが

芸能人、タレント

スポーツ選手

官公庁役人系

卑しいのが

評論家関係。

警察関係

教育関係

変わらぬお得意様は、政治家(この頃めっきり少ない)経済人(この頃すっかりショボイ)、成り上がり長者系(この頃あんまりいない)番外がヤッチャン系、凄くいい人と、凄く恐い人に別れる。

女将さんの、個人的に絶対嫌いな人は、靴がクラリーノとかハッシュパピー、靴下にワンポイントマーク、傘がビニール、コートがコナカ、スーツが青山、ワイシャツがアオキ、インナーがBVD(何で知ってるの?)、ジーンズやシャツがユニクロ、ハンカチーフがコンビニ。

ONでもOFFでもそんな男に触られたら舌を噛んで死ぬと言ってました。顔の手入れが悪い、歯が汚い、論外は足が臭い。

一緒にお茶漬け食べていたら不味くなって来ました。

俺、今日帰るわ、お先に、でした。

後日、その女将とコーヒーを飲んだ日。

喫茶店の中である渡世人の親分が、若い者にこんな風に怒鳴ってました。なんだそのナリは(身なりの事)、スヤイ(安い)ナリしてんじゃネェ。そのゲソ()はビニールか、エッ、クスブッタ(しけた)ナリすんじゃねぇ。

俺らの稼業はナリが器量の内だ。マルイや、ユニクロなんかで買うんじゃねぇぞ。なんだ、手前は、お札を三ツ折なんかにしてんじゃねぇ。リーマン(サラリーマン)じゃあるめぇし。三ツ折にした札でバクチが出来るか、アホ。

お前カードは何を使ってる。オリックスです。お前は、ニコスです。お前はユーシーです。お前は、ぴあです。駄目だ。見込みねぇ、堅気になれ。いいか、スーパー、コンビニ、ユニクロ、そこに入ったらエンコ()詰めんぞ。判ったか、若いもの。

ハ~イ、ヘ~イ、ファ~イ。やっぱ駄目でしょう。

2009年11月24日火曜日

人間市場 野次馬市篇

自民党政権。

半世紀、(途中十ヶ月位中抜けしたが)それが崩壊、民主党政権へ。

日本国という体は、超メタボ、高血圧、高脂血症、高尿酸、高血糖、足腰衰弱、脳内老化、精神鬱屈、痴呆症、体中には末期の癌が転移。人間で言えばボロボロの体。そして遂に民主医院登場。日本国は即入院。

小沢理事長、鳩山院長、菅副院長、渉外部長平野。藤井、岡田、前原、長妻、赤松、仙谷、原口等々の医師団治療開始。他院から亀井(静)医師、福島医師。

手術前に、カンファレンス。ここをこう切って、これとこれをこう繋いで、ここは取り除きと、マニフェスト片手にご説明。全治の予定は四年です。

手術室の赤いランプが点いて手術開始。

朝日、読売、毎日、日経、産経等は民主嫌い軍。

廊下で待つは、大マスコミ、中マスコミ、小マスコミ、政治評論家、御用学者、コメンテーター、レポーター、エコノミスト等々、重箱の隅つっつき隊、針小棒大作成隊、マッチポンプ放火隊。早く政権帰り隊。

田原総一郎(騒がせ隊)・古館伊知朗(正義の押し売り隊)・後藤謙次(裏話ヒソヒソ隊)テリー伊藤(出たがり隊)・小宮悦子(鼻声隊)・安藤優子(お化粧直し隊)吉永みち子(四角い顔隊)・江川紹子(オウム反隊)・田勢康弘(根暗隊)三反園訓(国会トリビア隊)・小谷実可子(ジジ殺し隊)・和田圭(指組み隊)村尾信尚(いなくてもいい隊)・金子勝(苦虫つぶし隊)・岸成格(ノンポリ隊)鳥越俊太郎(不死身隊)・ミヤネ屋(カンペ見隊)・太田光(勘違い隊)三宅久之(もうすぐ終わり隊)・福岡政行(早く選挙し隊)・上杉隆(ネタ売り込み隊)落合恵子(頭髪まだら隊)・大下英治(影の軍隊)・江上剛(本売り隊)等がウロチョロする無責任で言いたい放隊が今か、今かと、待ち構える。全治は四年間と言われたのに。婦長さんに少し静かにしなさいと怒鳴られるも平気の平佐。

いないなジャーナリストが。全然体張っていないもんな。一言居士、なかにし礼・ビートたけし・黒鉄ヒロシ。私が認めている唯一のジャーナリスト尊敬隊は立花隆。(順不同、敬称略)私が個人的に一番気に入っているニュースキャスターフジTVの秋元優里(いいですね最高隊)。

手術開始二ヶ月、まだか、まだか、ちゃんとやってんのか、腕が悪いんじゃねぇか、寝不足じゃないの、口ほどでないんじゃないの、で、やんの、やんの。閣内不一致、言行不一致、金脈ハッキリせい。ああしろ、ああすればこうでなきゃとウルサイ事、ウルサイ事。廊下トンビがあっち、こっちで、昔自民党支配下だった時は甘い汁がたっぷり吸えてよかったよなと懐かしむ。ジャンジャン騒がないと視聴率稼げない、新聞売れない、雑誌も売れないからと。

あれっ、長嶋一茂がテレビかなんかで一丁前にああしろ、こうしろ、のりしろ見たいな事をのたまわっている。この出来の悪い息子程、長嶋茂雄利権で生きているのはいない(本人は何も出来ないんです)。ミスターをあんな体にしたチョー本人。君はそんなエラソーな事を言うんじゃないのってテレビに向って文句を言いました。

ポケーっと目と口を開いていました(聞えてないけど)。

この国の民は、じっと待つという事が出来ない特殊な国なんです。

私は別にどこの政党にも組してませんが。コペルニクス的大変化をしている状況は判っています。四年間、待つかどうか判りませんがお手並み拝見です。

政治が安定するには、あと総選挙を二回か三回そして、自民分裂、民主分裂、小政党は共産党を除いて消滅。そして、初めて二大政党制が生まれると見ているのです。

公開裁判の様に硬派、蓮舫さん。ビシバシ事業を仕分けています。

この方の選挙を五年前相談を受けました。仙谷由人先生、手塚仁雄先生、ご主人と一緒にその場でママフェストを提案しました。即断しました。実に切れ味の鋭い、頭のいい女性です。この女性が、嫌われれば嫌われる程無駄金が出て来ます。

昔、ニュールンベルグ裁判、そして東京裁判、今、体育館裁判。歴史に残る一歩である事は確かです。五十年余分のホコリをたたいて出して下さい。体育館一杯分は出るはずです。

さてあなたはどこに入り隊ですか?

2009年11月23日月曜日

人間市場 舟盛り市篇

土曜の昼、親友と今日何すると話す。
天ぷら、中華、デニーズ、喫茶レストラン、日本そば。辻堂駅にはこれ位しかない。
う~ん、先週日本そばだったよね。少し歩くけど、小さな店だけど結構美味しいイタリアンあるよ。
パスタとピザでビールはどう?
イイですね、それにしましょうよと海岸に向かって歩き出す。

徒歩十五分、気分軽やかに到着。ここ暫く来てないんだけど、看板変えたんだなと言いながら、バァ~ンとドアを開ける。
アレッ?何ここ、何この変なニオイ。黒い服を着た男と女が、あんたこそ何、ここを何処だと思っているのと睨みつけられた。その瞬間パスタとピザとサヨウナラです。
変わっていたんです。ヘアーサロンに。失礼しました、すみませんと店外へ。何しろ店がどんどん閉まって色々に変わるんだよね。

どうすっか、暫く立ち尽くし、あっ、そうだ「伊勢屋」がある。頭の中は、あの味、あの料理。今日は刺身でどぉ?とかなり消極的に「伊勢屋」にしようとなり、トボトボと今来た道を戻る。

入り口に何となく立つ。自動ドアが何となく開く。えらっしゃ~いとおばさん五人。
お客さんは七分の入り、十五人位。真ん中に四角大きなテーブルがある。角々に、満貫ありだよ、とコーナーに座る。昼のメニューが黒板に白墨で書いてある。一番高いのが、お刺身舟盛り、千二百五十円。
まずは、生ビールと小で行く。次に舟盛り、鯵のたたき、イナダの煮付け。親友は、鶏の唐揚げ定食、ご飯半分。すみませ~んと新人風のおばさんにオーダー、ビール急いで。で、来ました。
一気に飲んで、冷酒一合ずつ。ここまでは消極的ながらも、ビールが入って少し積極的になる。ここの舟盛りは結構いけるよねと前回のイメージを思い出す。

来ました舟盛り。何、何これ。マグロ赤身二切れ、タコ二切れ、イナダ二切れ、カツオ二切れ、イカ少々、シラス少々。スカスカじゃない。麻雀で言えば二個二個じゃない。(私は怒っている)
おばちゃん、昔は舟盛りらしく舟から魚が溢れていたじゃない、と言うと周りのお客さんもよく言ってくれた、その通りと目配せしている。おばちゃんはしかられた生徒みたいにしょんぼりしている。そこへ、へい、おまち~と別のおばちゃんがイナダの煮付けと、鯵のたたき。何これ、イナダ細いじゃない、お皿の上で泳いでいるよ。鯵のたたき、骨ばかりじゃん。一匹使ってないんじゃないの?単品で頼んでいるんだよ。メンタンピン。ギャグがわからないおばちゃん、しょんぼり。

親友に、ゴメンね期待はずれ、昔と違うね。そうですね、かなりリストラ料理になりましたねと親友。
前は舟盛り出たときウマァ~って感激したもんね。鶏の唐揚げに期待して、と冷酒を飲む。
世の中世知辛くなったね、全く。
そこへ、おまち~と唐揚げ定食。味噌汁、お新香(きゅうり三切れ、大根五切れ、にんじん三切れ)ど~んと唐揚げのはずが、とんと位。アレッ、少くねぇじゃん、全然。数が減って、なおかつ小さくなったね。
おかず足りる?何か頼むかとカツオとシラスを単品オーダー。おばちゃん単騎待ちだよと言うと、やはりギャグが通じない。
以前いた、明るくキビキビ働くおばさんはいなくなったし、凄い出っ歯のおばさんもいなくなった。
結構ギャグが通じたんだけどね。

ところで、親友何かいい企画出た?
親友ポツリ、こんなのどぉでしょう。直感ビビビビー、イケル、素晴らしい。
イケルよ、明日丁度出版社と打ち合わせするから話をするよ。後でFAXで。
次の日そのFAXを出版社に説明、尊敬する編集者、イケル、イケます、イキましょう。
で即決定になりました。

日本初の本が出ます。あった様で無かった本です。乞うご期待。来春出版します。
気の早い編集者、ヒットしたらパーティーどこにしましょう。何て言いながらお帰り下さいました。
親友に電話、決まったよ、書き始めようと、満貫を目指す約束を心に期するのです。

ちなみに「伊勢屋」は、東海道線辻堂駅南口、駅から海岸に向かって徒歩五、六分です。
きっと期待に応えてくれます(?)

2009年11月22日日曜日

人間市場 映画市篇

ある日の夕刊、映画の広告ずらり。
大ヒット上映中、絶賛上映中、全米No.1ヒット、感動、感激、泣けた、笑えた、涙が止まらなかった。
衝撃的結末、愛が命を救う、構想二十年遂に完成、ここに人間の未来がある等々。
毎度お馴染みの言葉が目に飛び込んで来る。

政治の世界では、劇的に変化が起きていても、映画界は百年一日の如く変わらない。
ところが、映画館に入るとほとんどガラガラなんです。興行界では、お客を呼ぶ為に誇大広告は当たり前なのです。
構想二十年は、二十年前に作りたいな、と思った事。試写会でのインタビュー、最高でした。涙が止まりませんでした、等はほとんどヤラセ。
のりぴー裁判の傍聴券を手にするために徹夜で並んでいる人のほとんどが、その道の手配屋さんがバイトで雇った人。だからみんなコンビニの白いビニール傘。
芸能人や、有名人の出版サイン会に並んでいる人もほとんどヤラセなのです。
映画の興行収入は話半分、総制作費も話半分か、そのまた半分。

ある日、好奇心が強い私は、顔見知りの映画館主とお茶を飲みました。
館主はみつ豆を食べながら言いました。

問:なんで、ガラガラ十人しか入ってないのに大ヒットなの?
答:まぁ、一人も入らないんじゃネェからって思った位つまんネェものだから、十人入れば大ヒットよ。
問:誰が絶賛してるの
答:何でもヨォー、映画評論家がなんか、安いので一万、高いので三万も出せばオンの字でチョーチン記事を書いてくれるらしいよ。ただで観に来てんだから、ちょっと観て直ぐ帰っちゃうよ。まぁ、つまんねぇ映画を一日に三本も五本も観るから、大変らしいな。

で、今度はあるスポーツ新聞の映画関係の記者とコーヒーを、記者さんはビールでした。

問:あの映画の入りどうよ。
答:駄目、全然。大体一人で製作、監督、脚本をやったのが成功した試しはなく、まぁ即死じゃないの。
今の映画界は老人とシニアとオバサンと子供連れ、水曜のレディースデー。これしか入んない。
終わってんね。マンガの原作物ばかりだもん。
問:ところで、俺、こんなの作りたいんだけど。どぉ。意見聞かせてよ。
と、問いかけると。
答:・・・・・・・・・・・・・ビールもう一本いい?

だって。

2009年11月21日土曜日

人間市場 焼物市篇

友人夫妻が主催する陶芸教室の展示会に行った。
この二人は凄い作家夫婦で、先年、自分の家を丸ごと焼いてしまった。
家の中に電気の窯を設置してあり、月に一度火を入れる。そこから出火したらしい。夜中に紅蓮の炎が上がり辺りは騒然。このご夫婦は、平然とゴムホースの水をチョロチョロと出していたそうです。
決して慌てずの姿勢に、流石焼物をする人と評判になったとか。
大きな住居、その隣のアトリエ、立派な茶室、見事な水屋、作品の展示室。
みんな灰になりました。

教室を開いて今回で十五回目。
初めの頃は、工作の作品の様だった生徒さんの作品もすっかり拡張が漂い、色彩は微妙に色香を出し、美濃、瀬戸、信楽、備前、大あり、中あり、小あり、円あり、長あり、四角あり、片口等の作品群は一人一人の個性を十分すぎる程発散している。魯山人風もあり目が止まる。
私は、常軌を逸している色や形が好み。毎回楽しみに狙った品を探す。
家族同士のお付き合いをかれこれ三十年させていただいている。

先日、自分の書いた文字が見事に仕上がった。知り合いの会社の社長へ贈った。
土をひねっていると、日頃のひねくれた心がすっかり土の中に消えるそうです。私も誘われているのですが、ひねくれ過ぎて駄目です(私の想像です)。

その日は大盛況。私は手びねりの効いた長皿を二枚、薬味入れ、女性のお尻の様な一輪挿しを手に入れました。近頃、自分がひねたと思った人は、土を友達にして下さい。
湘南陶舎へ是非ご入会を。先生は中井康雄さん、昌子さん。素敵なご夫婦です。


青森県に竪穴住居発見。でっかぁいどう北海道。
だぁ~と、だだっ広い、正しくは何も無い広大な畑の中にあります。
縄文時代の物と同じ形です。ここの主は、陶芸家の一戸広臣さん。しろき庵の主です。
ここにご自身の作品を展示している素敵な展示室。ご夫婦と両親が住む居住。これは竪穴ではありません。
二つの大きな窯。一戸先生が焼くのは、縄文焼き。私は縄文大好き人間。
この日は三内丸山の遺跡を友人と観て、十三湖でしじみらーめんを食べ、でっかいね、ここのしじみ。とアサリみたいなしじみを楽しみました。
先生の処に着いたのは夜でした。真っ暗闇を走る事一時間。生きてる間に人には会えないんじゃないかと思う程、すれ違う光りも無し。遠くに家の光りも無くでした。

先生が大きな体に大きな声、大きい笑声で出て来ました。
可愛い奥さん、優しいお母さん、犬も猫も(確かいた?)総出です。
まあ、とにかく一杯と、かの竪穴住居の中へ。結構広いね、凄いね、いいね、いいなぁと大騒ぎ。
真ん中に当然囲炉裏。串刺しの川魚、奥さん次々とお料理。先生注ぎ注ぎ、とお酒を縄文ぐい呑みへ。旨いお料理、旨い酒、良い人、私は悪い人。極力いい人に会って、自分の汚れを洗ってもらうのです。家には一戸先生の花瓶、急須、湯飲み、片口勢揃いです。
十三湖のでっかいしじみ(奈良屋さんから)汁を先生の大きい湯飲みで飲む。

縄文人が見えてくるのであります。

2009年11月20日金曜日

人間市場 挾土市篇



人間はとんでもない人間に出会うとどうなるか。

そうですビックリするのです。若かりし頃、岡本太郎先生のお宅にお邪魔する事がありました。しばし応接室で待っていると、後から殺気、振り返ると、覆い被さるように両手を広げガバァ〜、芸術は爆発だ!風に現れました。

巨大な子供に出会い、予想通りビックリしたのです。太陽の塔みたいな物をお借りしたいと言うと、庭を指差し何でも持ってけ的発言。見ると庭中太陽の顔の彫刻類がゴロン、ゴロンありました。


来たる121日(火)より、一人の狂気の天才とある個展を行います。NHKのプロフェッショナルに登場し、その存在を知らしめた一人の左官職人と言うより新しい芸術の開発者です。例えて言うなら、棟方志功の執念と岡本太郎の熱烈と、ピカソの色彩躍動が一緒になった様な凄いオーラを発する男なのです。

その名は挾土秀平(はさどしゅうへい)。対した所は日比谷ペニシュランホテルのロビー又、男の本拠地、飛騨高山の山の中。職人社2F仕事場兼、アトリエ(作品ずらり)可愛い奥さん、ニッコリです。

「のたうつ職人」と自ら言う男は、話出したら激流の如し。目は血走り、声は窓も割れる如く大音響とどまる事なし。打合せ、顔合わせというよりは、厳流島の決闘の様であった。我々は武士と同じ、会った瞬間に相手の力を読み切らねばならない又、読み切られている。

左官の命は、土と水だと山を丸ごと買ってしまう。自分を土と水のソムリエと言う。自分の王国を作るんだと、山を丸ごと買ってしまう。全てが丸ごと山ごと感覚で事を進める。山の中にとんでもない洋館を自分とその仲間で作っている。建築の専門家も唖然とする、建築様式がその洋館全てに込められている。砂一粒、石一個、タイル一枚、木一片、一つ一つに執念がある。「新」が宿る。「魂」が具現化される。土を口に入れ味見する男。日本中の左官職人が固唾を飲む男。洞爺湖サミットでの作品、ホテル、プロムナード、一流レストラン、和食店、茶室、個人住宅、オリジナル風呂桶まで全ては画期的である。


先日、広告代理店の女性局長と突然会社に来訪。二時十分前、私は二時から打合せ。すでにゾロゾロ来た。でもお構いなし。

俺、職人初の個展をやりたいんだ。女性、急に決まったの、直ぐタイトル作って。

私のところ、こういう人が多いのです。う〜ん、と考えること七〜八分。もう他のお客二組来てんだよなぁ〜。う〜んと言いながら挾土秀平の顔を見る。

凄い殺気で睨んでいる。女性も。で「水陽」ってどうですか。俺は土じゃない、水を塗っているんだと言ったじゃないですか。天に太陽があるなら、地に「水陽」があっていいでしょう。タイトルは「土と水陽」展でどぉ。

二人の反応、凄〜い!いい、いい、いいよ、それで行こう。

この時二時十八分。じゃ、後があるので、後は文章書いておきます。でっかい体、黒の革ジャン、黒い髪を振り乱しながら、黒いライオンは唸り声をあげながら、お帰りになりました。

主催は、天才アートディレクターの青木克憲氏。場所は青木氏が展開するバタフライストロークの勝どきのアトリエです。この青木氏が又、野武士の如く、軍人の如く、静かなる感性の山脈です。いいアトリエです。ぜひ観に来てください。

左官職人初の個展

挾土秀平土と水陽」展

2009年12月1日(火)〜13日(日)※7日は休館日

開館時間11:00〜19:00 入場無料

場所:@btf

2009年11月19日木曜日

人間市場 お絵描き市篇

突然絵を描きたくなる。

絵を描く時はいつもそうだ。プロの絵描きさんは周到に計画を立てて描くらしい。

私はズブの素人、まるで無計画。

真夜中から朝までかけて五十号を一作描いた。今年に入って七作目。描くというより絵具を大量に無駄使いした。筆はほとんど使わずに描いた。絵具で一気に描いていく。

四年前恥を知らずに銀座で個展をやった。脳梗塞で倒れ、リハビリ中の友人(嘱託社員)を手伝わせ、多大なストレスを加えてしまった。言い訳がましく言うと、何か目的を持ってもらえば気が入っていいのではと思った。今でも絵を描く度に友人の顔が目に浮かぶ。ゴメンヨ、ゴメンヨと思いながら描く。本人とよく話した上だが心が痛む。

私の絵は頭の中に浮かんだイメージをどんどん描く。絵具は溶かさないで使うので二、三十本分が直ぐ無くなる。絵を描いている時は何も考えない。一心不乱。

脳の中がパレットになる。右手に軍手を付けて描く。左手は時々外す。

手の平で描くために、指で描くために。


十五年前、二年程プロの先生の教室に通った。

週一回(日曜日の朝)三時間位、小学生と一緒。大人は私一人。

何でオジサンはボクたちと一緒なのと聞かれたから、頭を指さしオジサンはここが悪いのと言ったら、八人いる子供たちが親切にしてくれた。私の目標は子供の様な絵だ。しかし、子供の絵には近づけない。発想力、想像力がまるで違う。

画廊を観て歩くのが好きだ。しかし、みんな似たりよったりだ。買って貰う事を考えて描いている。闇がなく、光がなく、性がなく、破滅がなく、歓喜もない。

芸術ではなく、技術だ。

個展の時に、先生とそのお仲間数人が来た。君の絵は究極の素人絵だなと評された。褒められた代物でない事は確かだ。今度の休みに絵具のバーゲンがある。(藤沢の世界堂)この頃はすっかり油絵描く素人さんがいないんですよとなじみの店員が言っていた。


子供がお絵描き教室に来ないと先生はこぼしてた。月謝が払えないからだと言う。

情操教育の無い国は必ず滅びます。子供はみんな天才です。辻堂どんぐり教室で調べるといいですよ。

先生の名前は田澤茂さん、青森出身お国訛りが優しいお方です。

先生の教えは、大きく描くんだよ。

色をいっぱい使うんだよ。それだけです。判ったか、ハァ〜イです。


私の友人、増田久雄さんが製作、監督した矢沢永吉のドキュメンタリー映画

「E.YAZAWA Rockぜひ観て下さい。1121日(土)封切り。

そこんとこ、ヨロシク!



2009年11月18日水曜日

人間市場 左々舎市篇



神田明神下に「左々舎」(ささや)という河豚ちょうちんを灯りにした店がある。

その昔、神田芸者の人が住んでいた処をそのまま使っている。


博覧強記の親友、加藤雄一さんに紹介してもらい、すっかり気に入っている。江戸情緒がそのままだ。激しく降る雨の中、明神様のお賽銭箱の横で人を待つ。お賽銭、奮発して千円。母の事、知人の事、親友の事を二礼二拍手一礼。

待つ事五分。おっ、来た。遠くから小走りに走ってくる黒のシルエット。身長一六五位。

近づけばやはり黒づくし、黒い髪、太いニットの黒ロングカーディガン、同じ素材のロングマフラー、黒系のプレーンなスカート(?)、グレーのVゾーンのセーター、形のいいバスト、銀のネックレス、この日の圧巻は黒のロングブーツ、エナメルの様に光る先が鋭いピンヒール、銀のベルト巻き式(?)歳は二十四歳。マイッタか、神田明神。恐れ入ったろ。(神田明神始まって以来でしょ)

超美人は一年に一度しか願い事をしないので、この日は明神様に手を合わせず。

いざ、「左々舎」の河豚だ、フグ行こうなんてダジャレている胸の内。急な階段を降りて、左に徒歩二分。鳩ポッポのような含み笑いに足許が滑る。


この店は、かの小説家山口瞳さんがこよなく愛したとか。先生の生原稿やら、色紙やらが変わるがわる飾ってある。

冬は河豚一式。夏は鱧しゃぶ、秋は鯛しゃぶとなる。

入って右にカウンター、五人位座れる。突き当たりの上りの座敷に、六人掛けのテーブルが二つ。左奥に個室。ただし襖は閉めない。四人掛け、芸者さんが使った三味線が自然に置いてある。カウンターの正面は、掘りごたつ式のテーブルが二つ、四人掛け。テーブルはそれぞれ大きい。

なんともいい人柄のご主人夫婦と一人の女性。この三人に会うだけでも行く価値有り。

時々娘さんがいる。親娘一族、祭りになると一変するらしい、三社命なんです。

その時の写真が数々、有名人、著名人の色紙がそれとなく、貼ってある。


先日ある代議士先生と行った時、お店は沈んでいた。何故ならいつも入り口で迎えてくれる愛猫が二十歳の生涯を閉じた。何でも、店の前で車にぶつけられたとか。地元の人なら、この猫の存在を知っているので車は徐行する。あくまで猫ちゃん優先だ。

よそ者が何も知らず路地に入って来たのだ。私が行った日は丁度四十九日。みなさんシーンとしてました。入り口の竹の長椅子の上に小さな赤い座布団が悲しく置いてありました。帰る時素敵な先生と写真をパチリしました。夫婦でピース。この日はかなり元気に回復してました。

話してた超美人を連れて来たよと言うと、まぁ~、なんてなんて美しい、とため息。

私の点数がぐ〜んと上がりました。

さて、食した品は、順次二人で、(小)生ビール、河豚づくしのオードブル、河豚刺し大盛り、河豚ちり。この間、ヒレ酒二杯ずつ、そして河豚のおじや。ここで私は、焼酎のロックスを二杯、抜群の味のお漬物。旨い、上手い、ウメェ~。もう私は汗だく。

相手はきれいな真っ白い歯を出して、鳩の様なこぼれる笑い声。

この女性には魔性があるのです。将来はある分野できっと世界に名を馳せるでしょう。

その時公表します。

夢とロマン、芸術と文学、旅と風俗、砂漠と荒野、都市と建築。話は弾みに弾むのでした。日本とは、日本人とは、密度はディープです。おじやを二杯食べて、お漬物食べて、デザートです。大きな栗の煮たものが一個。栗をすり潰して作ったアイスクリームがひと山。ほてった体に絶品です。

お勘定は二万四千二百円(税込み)。

今どき、高いと言えば高い。安いと言えば安い。でも、何とも言えないいい笑顔のご主人夫婦、それを見るだけでも、又、お店のしつらえ、雰囲気に触れるだけでも癒されるから、やっぱり安い。コースは七千円から。何しろ食の世界では鬼より恐い、かの佐藤隆介先生が、「左々舎」はいい、忘年会は決まりだと、命を下されました。

どうか、江戸情緒、神田の粋、絶品の笑顔とお料理に会いたい方、ご利用してみてください。期待を裏切ることはまずありません。

できれば美人と。あるいはそれなりの人と。

2009年11月17日火曜日

人間市場 小黒市篇

小雨そぼ降る十三日の金曜日。


四人での酒席、楽しかった。所は新橋演舞場の入り口斜め前に、かの有名な料亭「金田中」、その斜め前の「くーた」。博多出身のご主人が東京へ進出して来たのです。

ここの魚はとにかく旨い。あんまり旨すぎて、上手く書けない。


友人の広告代理店社長、大泉勉さん(この店の常連)、監督の中野裕之さん、そして、メインゲストはあの「ブルータス」の名物編集長だった、小黒一三さん。永遠の文学青年にして現在ANAの機内誌「翼の王国」、ロハス系の月刊誌「ソトコト」の編集長、自身のラジオ番組「LOHAS TALK」のパーソナリティ。と、まぁここまでは編集者なんですが、この先が凄い人。

一度、ケニアに行った時、美しい空、美しい風、果てしなき大自然、野生の動物たち。それを見ていると、これは俺一人だけじゃなくみんなにも見て貰いたい、よしホテルを建てようと思い立ち、それを建ててしまった人なのです。

「ムパタ・サファリ・クラブ」見事なホテルです。

経済人、小説家、芸能人、画家、写真家、イラストレーター、ファッションデザイナー、スポーツ選手、建築家、広告人等々、その人脈は、アルプス山脈とアンデス山脈とピレネー山脈に丹沢連峰を掛けた位、広く、深く、親しい。

六時半集合、ヒョッコリやって来ました。少しハニカンダ仕草。それ程体は大きくないが、目がクリクリと大きく少年の様に澄んでいる。

口から出て来る話がでかい。単位はほぼ一億から始まる。二億、五億、十億、二十億、五十億と進んで行く。

全てはウァハハハ、ウァハハハ、何て調子。何しろ魅力的なんです。多分、坂本龍馬とか、高杉晋作はこんな人だったんだろうなと思いました。(二人は資金集めの天才でした。)

気宇壮大、構想拡大。夢実現、実に快男児。五十九歳、煙草は駄目、毛蟹は駄目なんて言って、牛タンステーキを喜んでました。焼酎のペリエ割りをグイグイ。中野さんとも意気投合。四人はまるで少年の様に夢を語り合いました。

ケニアで高橋尚子ちゃんとマラソン企画したの。ライオンやヒョウと走るのなんて(?)。今の悩みは、ホテルの屋根が古くなったので、ソーラーに変えたいとか、どっかから出してもらうか、ウァハハハと笑ってました。

カタカナ業界で小黒一三という名を知らない人は間違いなくモグリです。


「くーた」は博多弁で食べたの意味とか。魚料理抜群、牛タン、肉じゃがが安くて旨い店です。「ムパタ」とは世界的に有名な動物画家SGムパタから。

ケニアはエコツーリズムのメッカ。是非一度「ムパタ・サファリ・クラブ」へ行って

ライオンやトラやヒョウと駆けっこして下さい。

運動不足解消、ストレス解消に最適です。

まれに、ライオンやトラのごちそうになる人もいるとか(?)




2009年11月16日月曜日

人間市場 ウルセイ市篇 

朝5時30分。バ〜ンと007風に開始。


いやはや元気この上なく、ウルセイ事この上ない。

夜の銀座をそのままスタジオに持ち込んだように、みのもんた氏は出てくる。


顔は陽灼けサロンで灼いたのか、ドーランを塗り込んだのか、

糖尿(?)が進んで肝臓でも悪いのか、ドス赤黒い。

何時またぎ、何時またぎ、とまたぎにまたぐ。

汝は、なんじゃと聞きたくなる。


根本ク〜ンと言うと、ハ〜イと結婚を決めたカマトト風根本クンの天気予報。

たいがい喋ってる内にコマーシャル。(段取りが悪い)

パネルにのりをつけてパッタ、パッタ、騒ぐ。トチル。訂正入る。

あっそうで終わる無責任さは植木等の映画並み。

近ごろ、流行の紙の裏にはがせるのりをつけて、はがしに、はがす。

でまた、根本ク〜ン。ハ〜イだ。

この人稼ぎまくる。ギネス並み。趣味金儲け、銀座のクラブ活動。

むかし勝新、昨日、みのもんた。今日、様々とか。(大物がいない)



おっ、来た来た8時またぎ。

うるさい男で、番組全体が酔っ払っている。

番組の中に、毎日銀座のママを入れ替わりに入れるとか、ホステスさんを入れるとかするといい、もっとうるさいかもな。

しかし、カメラが外れると、疲れてんのか、腰が痛いのか直ぐ椅子にへったりと座る。

この人が、世の中のために一銭でも使ったという話は一度も聞いた事はない。

そうだろ、根本ク〜〜ン。ハ〜〜〜イ。か。

それから、この番組はやたら言い間違いが多いのが最大の特長。

みんな知ってると思うけど。

(テレビはなんぼ間違ってもスイマセンの一言で許される。小説家なら一文字でも校正ミスがあったらドエライ事になる。)



ところで、テレビはいつから新聞を紹介するメディアになったのだろうか。

ついでに、新聞はいつから旅行広告新聞になったのだろうか。

朝っぱらから、ウルセイ奴だ。

じゃ見なきゃいいじゃないかと誰かが遠くで言っている。

ゴモットモです。