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2009年11月20日金曜日

人間市場 挾土市篇



人間はとんでもない人間に出会うとどうなるか。

そうですビックリするのです。若かりし頃、岡本太郎先生のお宅にお邪魔する事がありました。しばし応接室で待っていると、後から殺気、振り返ると、覆い被さるように両手を広げガバァ〜、芸術は爆発だ!風に現れました。

巨大な子供に出会い、予想通りビックリしたのです。太陽の塔みたいな物をお借りしたいと言うと、庭を指差し何でも持ってけ的発言。見ると庭中太陽の顔の彫刻類がゴロン、ゴロンありました。


来たる121日(火)より、一人の狂気の天才とある個展を行います。NHKのプロフェッショナルに登場し、その存在を知らしめた一人の左官職人と言うより新しい芸術の開発者です。例えて言うなら、棟方志功の執念と岡本太郎の熱烈と、ピカソの色彩躍動が一緒になった様な凄いオーラを発する男なのです。

その名は挾土秀平(はさどしゅうへい)。対した所は日比谷ペニシュランホテルのロビー又、男の本拠地、飛騨高山の山の中。職人社2F仕事場兼、アトリエ(作品ずらり)可愛い奥さん、ニッコリです。

「のたうつ職人」と自ら言う男は、話出したら激流の如し。目は血走り、声は窓も割れる如く大音響とどまる事なし。打合せ、顔合わせというよりは、厳流島の決闘の様であった。我々は武士と同じ、会った瞬間に相手の力を読み切らねばならない又、読み切られている。

左官の命は、土と水だと山を丸ごと買ってしまう。自分を土と水のソムリエと言う。自分の王国を作るんだと、山を丸ごと買ってしまう。全てが丸ごと山ごと感覚で事を進める。山の中にとんでもない洋館を自分とその仲間で作っている。建築の専門家も唖然とする、建築様式がその洋館全てに込められている。砂一粒、石一個、タイル一枚、木一片、一つ一つに執念がある。「新」が宿る。「魂」が具現化される。土を口に入れ味見する男。日本中の左官職人が固唾を飲む男。洞爺湖サミットでの作品、ホテル、プロムナード、一流レストラン、和食店、茶室、個人住宅、オリジナル風呂桶まで全ては画期的である。


先日、広告代理店の女性局長と突然会社に来訪。二時十分前、私は二時から打合せ。すでにゾロゾロ来た。でもお構いなし。

俺、職人初の個展をやりたいんだ。女性、急に決まったの、直ぐタイトル作って。

私のところ、こういう人が多いのです。う〜ん、と考えること七〜八分。もう他のお客二組来てんだよなぁ〜。う〜んと言いながら挾土秀平の顔を見る。

凄い殺気で睨んでいる。女性も。で「水陽」ってどうですか。俺は土じゃない、水を塗っているんだと言ったじゃないですか。天に太陽があるなら、地に「水陽」があっていいでしょう。タイトルは「土と水陽」展でどぉ。

二人の反応、凄〜い!いい、いい、いいよ、それで行こう。

この時二時十八分。じゃ、後があるので、後は文章書いておきます。でっかい体、黒の革ジャン、黒い髪を振り乱しながら、黒いライオンは唸り声をあげながら、お帰りになりました。

主催は、天才アートディレクターの青木克憲氏。場所は青木氏が展開するバタフライストロークの勝どきのアトリエです。この青木氏が又、野武士の如く、軍人の如く、静かなる感性の山脈です。いいアトリエです。ぜひ観に来てください。

左官職人初の個展

挾土秀平土と水陽」展

2009年12月1日(火)〜13日(日)※7日は休館日

開館時間11:00〜19:00 入場無料

場所:@btf

1 件のコメント:

sakon さんのコメント...

左官というイメージ、概念を打ち破ってますね。個人的なことですが、田舎の友達には、左官職人が多いです。ぜひ彼らにも見せてやりたいです。その前に、是非見に行かせて頂きます。水陽を浴びてきます!