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2009年11月11日水曜日

人間市場 柿ピー市篇 

銀座四丁目の交差点に交番がある。

その前が、名店「あけぼの」おせんべい屋さんである。

その隣が三愛ビル、一階にオープンカフェがある。

そこのパイプ椅子に座りながらエスプレッソを飲む。



楽しみは人間ウォッチングである。少しでも時間が空くと一人でそこへ行く。

何で格好いい外人が連れている女性、もしくは結婚している女性は美人でないのか(?)。

何で美男美女カップルがいないのか(?)。

何であんな年を食った女性と若い男が手を握り合っているのか(?)。

何であんなに太った女性とスレンダーないい男が(?)。

何であんなに太った男と知的な女性が(?)

美女と野獣、大と小、太と細、阿呆と知性。

結婚と離婚と再婚。破壊と再生は繰り返されるかだな。

そもそも結婚なんてものは偶然の産物でしかない。いかなる科学者もその必然性を証明出来ない。蓼食う虫も好き好きだ。


おっ、「あけぼの」の隣のワッフルを焼く屋台風の店から良い香りがして来た。

若い女性が行列だ。みんなに買って帰るか、と思った時、隣の椅子に一人の教授風の太った人が座った。濃紺のスーツは中々の素材。ドサッっと書類の山。パラパラめくる。難しそうな字がビッシリ。グラフもいっぱいだ。

かなり下っ腹が出ているが、髪のモジャモジャ感は、数億円を脱税して忙しくって忘れてた人に似てる。

いや、むしろヌード撮影をしたら、そりゃイカンと家宅捜査を受けた写真家に近い。


黒い、大きな革の鞄から次に出した物はおよそインテリ(?)とはかけ離れた物ではないか。一袋、二袋、その名も名高き亀田製菓の柿ピーだ。

教授(?)はその袋を二つ一緒にバリバリっと破った。そして猛烈な勢いで口に入れる、というより投げ入れる。

時に目をつぶり天を仰ぎバンバン、バリボリガツガツ食べる。うるさいのなんの袋に触る音、噛む音、二袋をアッという間に平らげて三袋目を出す。

こうなると私も帰るに帰れない。


そこにオマタセーと、二十代前半の前半のウルトラ美女。

(着ている服は、ルチアーノソプラーニ風)

なんだい娘とデートか、それにしても全然似てねぇ親娘だなと思った瞬間、

な、なんと二人はキス。そう接吻を長々するではないか。

通行人もストップ、時間よ止まれだ。

オイ、オッサンの口の中には確か柿ピーがたっぷり入ってる。鳥のエサの口移しじゃあるめぇし。左手には三袋目をしっかりと。

オッサンじゃない教授(?)は目をつぶってました。

美女がギョロッと睨みました。正しくはガンを飛ばしてました。

すみません、直ぐ帰りますと席を立ちました。堅気じゃねぇな、と確信しました。

交番の前では長い木の棒を持った若いお巡りさんが、当然怒ってその光景を見ていました。


WAKOの時計が午後四時三十八分を指していた。

1 件のコメント:

sakon さんのコメント...

すごい人間ドラマがそこには有った、逢った、遭ったのですね!笑。東洋医学の陰陽論みたいな話ですね。やっぱり基本は美女と野獣なんですね。柿ピーも彼女にとってみれば諭吉さんの味なのかもしれません。笑