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2009年11月12日木曜日

人間市場 異形市篇

男の顔は履歴書と言ったのは確か大宅壮一であったと思う。

生まれながらの顔に何度も手を加え、異形化し逃亡すること二年七ヶ月。整形は美しくなるためだから、この男がやったのはその逆の異形手術だ。


男は捕まった。

私が驚いたのは、その顔がまるでクローン人間の様に父親に似ている事だ。

職業は外科部長であったとか。母親は歯科医、典型的な医系家族だ。息子逮捕に対し門前で夥しいマイクの前でインタビューを受ける。話す度に、妻が強く頷く。自分たちの人生の誤りをそっくりな顔は淡々と語っていた。妻は2ちゃんねるやネット上に顔が出て恐いとも言っていた。はっきり言ってほっとしました。お金の仕送りは誓ってしてません。異形の息子に育てた親は茨の道を歩かねばならない。


人生の整形手術はもう出来ないのだろう。愛娘を失った両親の顔も又、美しい娘によく似ていた。二十二歳は人生に於いては未だ入り口だ。父親の無念の涙の量を計る術はない。

逃亡小説の名手、吉村昭ならこの逃亡をどう書くだろう。ふとそう思った。


十九歳の女子大生がバラバラにされる。

三十四歳と三十五歳の小太りの女が人を騙し、何人殺したか判らない。

一人、二人、三人、四人・・・・・もしかしたら八人(推定?)

出会い系サイト、孤独につけ込む悪女たち。残忍極まる事件の数々。インターネットは相手の顔を見ずして出会う事が出来る。そこには、相手の履歴書が見えない。太った悪女にもきっとそっくりな親がいるのだろう。


報道ステーションで古館伊知郎が先日、大変な誤りをしました、市橋容疑者が整形手術したという病院の写真が、全然違う病院でした。関係者に大変ご迷惑をおかけしました、すみません。どんな過ちも報道は簡単な訂正で済ますことが出来る。そのくせ、正義の代表者の様に熱弁する。同じ日NHKニュースでは、テロップで市橋がずっと市川だった。鼻の穴が二つ天を向いている、木で鼻をくくった話し方をする見下しのキャスター田口五朗はシラッとしていました。この人には感情がありません。無感情なのです。女子アナがテロップで市橋が市川になっていましたすみません。それにしても、報道、特に女子アナウンサーの言い間違い、日本語の乱れは夜遊びも乱れているからか、酷すぎる。見た目重視だからだ。

小説家の文字が一文字でも間違って出版されたら一大事である。

例えば「生」が「死」に間違って出版されたとしたら。


ネット社会は顔のない社会。何が起きるか、誰も予測できない。

実際の社会では消す事ができない事もネット社会では削除して終わりだ。

但しサーバーの中には永遠に残る。一度とられた指紋と同じ様に。

ネット社会は闇の中に次の獲物を探す。その人は、あなたの隣にいる人かもしれない。


「誰も助けてくれない」という映画があった。ネット社会の恐さがよく表現されている。一人の子供が事件を起こすと、その一族郎党全てがネットによって追い込まれる。

もし、あなたの側に今なら防げる事があるのなら、しっかりと対処して欲しい。

解決法は愛情と誠意しかない。

1 件のコメント:

sakon さんのコメント...

ネット社会、当たり前になっていますが、やっぱり何か病んでいると思います。何百人もいる、ある大きな会社のスペースで、キーボードの音しかしないシーンに出くわした時には、恐怖を抱きました。ネットでこんなこともできるのかと、逆に関心までした映画があります。ダイハード4です。しかし、誰が、市橋事件の逮捕賞金1千万円を貰ったのでしょうか。