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2014年1月9日木曜日

「役者不足」


イメージです


今年第一回目の400字のリングです。
一年間の戦いの始まりです。

いつからこの国は政治、経済、重大事件を押しのけてサッカーがトップニュースの国に成り果てたのでしょうか。

一月八日(水)夜九時四十八分帰宅、土砂降りの雨が乾いたノドチンコにやけに気持ち良かった。愚妻はベトナムに帰る友人を羽田まで送るとかでいない。

半コート、ジャケット、ベスト、Yシャツと玉ねぎの皮をむく様に服を脱ぐ、で、とりあえず報道ステーションでも見るかとテレビをつける。

九時五十五分〇四秒画面に本田圭佑選手が出て英語でインタビューに応えているではないか。都知事選の候補者はどうなった、英国では日本で使っているのと同じ米軍のヘリが墜落、死亡事故が起きた。川崎の地検からいともあっさり逃走した犯人はどうした、7000人も動員して大騒ぎしているのに。

そんな事よりACミランに入ったサッカー選手のインタビューの方が大切なのかと思った(スポーツコーナーでやるのが筋)。
英会話はこんなに上達したという英会話教材の広告じゃあるまいし、本田圭佑選手のインタビューを長々とやっている(それを見ている自分のアホさに気づく)。
でもって他チャンネルにするとやはりトップニュースは本田圭佑選手のインタビューばかりだ。

日本人なら日本語でキチンと喋って通訳させろといたい。
自意識の固まりみたいな選手だからきっとそうするだろうと思っていたのだが、がっかりさせやがる。

がっかりといえば都知事選の本命が舛添要一氏だなんて気持ち悪くなってしまった。何度も離婚をしている男、自民党が野に下がったら自民党の役目は終わったと離党、新党改革なんてちんまい政党を立ち上げてもやっぱり辞めたというご都合主義の見本のような男。
 テレビが回り出すと黒いゴミ袋を出すシーンを撮らせる露骨男。
どこが国際政治学者だっていうのか、その功績は見た事も聞いた事もない。
精力絶倫だと自慢していたようだから都知事になったらきっと横山ノックみたいな事を起こす可能性が大だ。
細川護煕という元総理大臣が色気十分で後出しジャンケンを狙っているという。

友人の年賀状に「トウキョウが心配だ」と書いてあった。
役者不足に同感だ!いっその事、本田圭佑選手がACミランではなく東京都知事選に出て“得意の日本語”で気の利いたフレーズを放って欲しかったと思うのだ。

400字のリング第一回目は軽いジャブからスタートした。
皆様にとって新しい一年が実り多き年であります様に。

2013年12月26日木曜日

「良き年を」




今年最後の400字のリングです。

十二月二十五日列車内は酒の臭いでいっぱいでした。
家に帰りテレビをつけると、四十年の時を経て初共演という「吉田拓郎」と「小田和正」がギターを持って唄い始めました。

午後十一時四十三分十二秒。
吉田拓郎作詞・作曲の名曲「今日までそして明日から」です。
癌と闘いながら唄う吉田拓郎の姿に目頭が熱くなりました。

♪〜わたしは今日まで生きてみました 時にはだれかの力を借りて 時にはだれかにしがみついて わたしは今日まで生きてみました…そして今私は思っています 明日からもこうして生きて行くだろうと。

生と死が行ったり来たりしている、かつての暴れん坊が求道者の様でした。
今日生きていたからといって。明日生きているとは限りません。
吉田拓郎の少しいがらっぽくなった声に達観を感じたのです。

また明日から生きて行こう、そう思いながら眠りにつけばいいんです。
そして朝が来た事を知ったら、ごじゃごじゃ言わず、あれこれ悩まず前に向かって行こう。人生は毎日がスタートラインというではないか。振り返らない後には夢がないから。
皆々様に良き年が来ます様に。

新年九日より発信を再開する予定です。

2013年12月25日水曜日

「嘘と本当」


※イメージです


二番から
♪あなた残したわるいくせ 夜中に電話かけるくせ 鍵をかけずにねむるくせ ねむるくせ あ〜一緒になる気もないくせに あ〜花嫁衣装はどうするの 僕は着物が好きだよと あついくちづけくれながら 冷たい嘘のつける人…

山口洋子作詞、平尾昌晃作曲「うそ」唄うのは「中条きよし」で大ヒットした。

♪あ〜半年あまりの恋なのに あ〜エプロン姿がよく似合う 爪もそめずにいてくれと 女があとから泣けるよな 哀しい嘘がつける人…
というのが一番の中の歌詞であった(二番が好きなので)。

十二月はホステスさんの稼ぎ時なのだが一年間の嘘の精算をしなければならない過酷な月でもある。絶対来るよと言った客は来ず、絶対支払うと言ったツケは支払ってくれず、絶対別れると言ったのに別れてはくれず、じゃんじゃんメールを入れても無視される。

“あの嘘つき野郎”と地団駄踏んでも今年も残り一週間。
マズイなあの店も、あの店も、あの店も行くからなと言ったきり行ってないもんな、と思うが今は出費を抑えて少予算映画の軍資金を作らねばならない。
それに会いたいなと思うタイプの女性もいない。
お金の有る人はどんどん銀座、赤坂に足を私の分までヨロシク!なのだ。

私が今年選んだ一文字は「嘘」だ。
十二月は反省を山盛り感じるので一年中で一番嫌いだ。
安倍官邸の「嘘」が大手を振ってまかり通り出した。
韓国軍に銃弾一万発、武器輸出三原則をいとも簡単に拡大解釈をした。
手打ちへの「嘘」の伏線だろう。

日本は何もかも「嘘」とは知らずアメリカに思いを寄せる。
沖縄県知事は普天間への移設を容認する。芝居がかった「嘘」がバレるだろう。
日本にとってアメリカほどタチの悪い愛人はいない。
身も心もボロボロになるまで貢がされる。これは「本当」の話だ。

アメリカにNO!と言える男が一人いたんだけど(?)。
ため息から何も生まれないが、つくづくこんな替え歌が浮かんでしまう。

♪〜あなた残したわるいくせ 消費税を上げるくせ 秘密の情報かくすくせ あ〜経済のことなどわからないくせに あ〜自衛隊をどうするの 僕は日本を愛しているといいながら 冷たい嘘のつける人。

孫娘からサンタさんは何処に居るのと聞かれたからフィンランドの森の中にたくさんいて、今夜十二時にきっとソリに乗って来るよと、嘘みたいな本当みたいな事を言った十二月二十四日から二十五日と日付は変わった。サンタさんがきっと来てますように。

2013年12月24日火曜日

「サービスの品」




タン、シロ、カシラ、レバー、カワ、シシトウ、イカダ、ギンナン、アスパラ、シイタケ各一本を食べる、日本酒一合、ハイボール一杯。

辻堂駅と繋がっている湘南テラスモールへ買い物に行った帰りがけである。
海風に乗って“ヤキトリ屋”の香り高く、誇り高い煙が少々空腹となった身に染みこんで来たのだ。先日“ヤキトリ”を食べたばかりなのにその誘惑に引きずられて入った。

十二月二十三日(月)、明日はクリスマス、モールの中は人、人、人。
混雑が大の苦手、人に酔ってしまう症状がイライラと出るのだが、ひとまずジューススタンドでブルーベリージュースのSサイズを飲む。

本屋さんに行き、メモをしておいた本の名を見せて、後でまた寄るからよろしくと言って次に目指す店に行く。
ショッピングはサッと見て、コレダッと思えばパッと決める主義だ。
若い頃勤めていたデパートの社員食堂で休憩に入った女性たちのオドロシイ光景、オドロシイ会話が私のトラウマなのだ。

「あのダッサイお客、何着たって似合わないのにあれも、これもとフィッティング、それから他のところも見てくるから」「ざ、けんじゃないわよね、買い物に時間かけて決めない男はサイテーよね、アッタマキチャウ」などと日々聞いていた。
売り場にいる時と休憩に入った時は、殆ど別人となるのがデパートの女性だ。
極稀に別人にならない女性もいるのだが、たいがい村八分のようにいじめられる。
「ひとりで気取ってんじゃないわよ」なんて言われてだ。

むかしのスチュワーデス、今のキャビンアテンダントなんかもほぼ同じ。
機内と社外では信じられない姿となる。制服という決まりに縛られている女性は、私服になると別人になる度が激しい。

オバちゃんあと二本食べたいんだけどと言った。
トリを焼く煙で黒くなった鼻の穴を少し広げ、脂ぎった顔を少し崩し、ボンジリと言った。で、ボンジリと合鴨を頼んだ。このヤキトリ屋夫婦とは三十五年位の付き合いだ。

ずっと、ずっと、ずーっとヤキトリだけの夫婦に感心する。
この夫婦は店内と店外で別人になる事はないと言われている。

午前十時頃から串刺しを始める、その後はずっと立ちっぱなし、パタパタ、パタパタ打ちっぱなし。店を閉じ洗い事や片付けをしてバタンキュー。
別人になる時間が無いのだと思う。
一週間に一日の休日はひたすら肉の仕込みに費やすのだ。
これサービスと言って出してくれたモロキューに味噌をつけながら、人生は日々同じ事の繰り返し、日々新たなりだと思った。

今年もあと七日だ。ボンジリに山椒を少しまぶして食べたらプリプリとし、ピリリッとうまかった。ボンジリは鳥のオシリの部分だ。
鳥だけは絶対苦手という心優しい知人もいる。
鳥と聞いただけで、トリハダが立つのだと。確かに串刺しにされている変わり果てた姿をじっと見ているのはツライ、もはや朝一番を知らせる、コケコッコーの声は出せない。
人間は何でも食べてしまう野蛮人なのだ。グイッ、冷えたハイボールが喉を通って行く。

2013年12月20日金曜日

「(一)と(九)」






(一)チンケ、(二)ニゾウ、(三)サンズン、(四)ヨツ、(五)ゴケ、(六)ロッポウ、(七)シチケン、(八)オイチョ、(九)カブ。
博打の中の一つ、「花札」では数字の事を符丁でいう。
一番強い数字は(九)カブだ。

十二月となるとやはりベートーヴェンの「第九」が定番といえる。
博打と「第九」の関係は全く無いのだが、悪い習性で「九」の字を見るとつい花札を思い出してしまう。今でこそ大ゲームメーカーとなった任天堂は花札でメシを食べていた。

十九日(木)氷雨、午後七時開演、サントリーホールは満員。
ベートーヴェン交響曲、第九番ニ短調作品125〈合唱付〉。
指揮D.R.デイヴィス、読響に初登場!演奏時間65分。
いや〜きましたね、全身総毛立つ、電気クラゲ100匹位に刺されたように、足のつま先から頭の中心まで痺れまくった。十二月の「第九」はやはり最強だ。

矢沢永吉も凄かったが観客がかなり違った。
何しろ万雷の相手で迎えられたのが、天皇、皇后両陛下だったのだから。
ウームいつの日か宮様たちもロックンロールやR&Bやウエスタンやモダンジャズのコンサートに足を運んでもらいたいものだ。

音楽はどんなジャンルでも素晴らしい。
国境を越え人間と人間、国と国が一つになれるのだから。

「おお 友よ、この調べではない!さらに心地よく 喜びにあふれる歌を ともに歌おう!」とか「そうだ、この地上にひとりでも 魂の友を持つ者も ともに歌おう」とか「抱き合おう!幾百万の人々よ!この接吻(くちづけ)を全世界に!」なんて大合唱をするんだから本当に神とか、創造主にひれ伏さねばならない気になってしまう。

日本で初めて「第九」が流れたのは191861日、徳島県鳴門市にあった坂東虜収容所であったとか。捕虜となっていたドイツ人が歌った。合唱は全員男であった。
サントリーホールの中に国境はない、捕虜もいない、階級もない。
芸術やスポーツの前では人間は一つになれる。

「幾百万よ ひれ伏したか? 人々よ 創造主を感じるか? 星々の天幕に 神を求めよ! 星々の彼方に 神は住み給う!」「第九」は歓喜の中に終わった。
天皇、皇后両陛下はずっとずっと拍手を続けていた。
不思議なオーラを放っていた。

二転、三転、七転八倒、東京都知事猪瀬直樹は未練をたっぷり残し終わった。
自らを政治のアマチュアだったと皮肉を込めて語った。
その姿に拍手を送る者はいない。あるのは罵倒の嵐だった。
親分への恩を仇で返した、花札でいえば(一)チンケなやつだったという事実だ。
(九)カブの様な人間が出てくるのだろうか。


2013年12月19日木曜日

「雨の神楽坂」




大自然の営みは実は極めて単純である。
生きとし生けるものはひたすら食べ物を求めて行動する。
「大」は「中」を食べ尽くし、「中」は「小」を食べ尽くす。

肉食動物は弱肉強食であり続ける。
草食動物は緑の大地を食べ尽くし茶色の大地に変色させながら1000キロ、2000キロを大移動する。果実や木の実を食べる生き物たちは木から木へ、山から山へと大移動する。

十二月十九日(木)午前三時、動物の生態のDVDを見ていた。
モンゴルの大地を猛烈な食欲で移動する200万頭のモウコガセガル(鹿みたい)、アフリカのサバンナを貪欲に食べながら黙々と移動する。
ヌーの大群、北海道から九州位の距離を食べ尽くす。
オーストラリアの海底では数万頭のジュゴンの群れがアマモを食べ尽くして行く。
1日50キロのアマモを食べるという。

猛吹雪の山の中、ニホンザルの大家族の群れは、生き抜くために飛んで飛んで食物を求め続ける。世界中の大地で、海で、海底で、山々で生きる事と子孫を残す事が行われている。
それは圧倒的な動的な美の世界でもある。

官僚たちは自分たちの地位向上と、天下り先と、欲望を満たすためにはどんな手段も選ばない。この世で一番悪質で巧妙で貪欲な生き物といえるだろう。
来たる年、我々弱者は増税、増税、増税にさらされる。
官僚たちに追い込まれ、生かさず殺さず食べ尽くされる。
そして日本という国は米国という貪欲な国に、生かさず殺さず食べ尽くされて行く。

日本国民という群れを引張っている現在のリーダーは、全体主義に向かうのだと言い出している。シリアや北朝鮮で起きている事は決して対岸の話ではない。

早朝テレビにチャンネルを替えると、餃子の王将の社長が銃撃された。
不吉な時代が始まった。

昨夜中学の大先輩が神楽坂の「文ちゃん」という名店で焼き鳥をご馳走してくれた。
今は亡き、中村勘三郎がこよなく愛した店であった。うまかった。たのしかった。べんきょうになった。

外は雨がヒタヒタ降っていた。大先輩が傘をさしてくれた。
オイ、そば食って帰ろうやと言った。ヘイ、お供いたしやす、てないい夜であった。
大先輩はいつもオシャレで格好よかった。かつて東急文化村の社長をしていた。

2013年12月18日水曜日

「非常ボタン」




大学生への過保護もここまで来たのかと思った。
大学生は朝食を食べない、それ故頭の動きが悪く、学業に影響するとか。
それを知った大学生のPTA(?)がなんとか朝食を食べさせたいと集まり、知恵を出し合い学食の朝食代を100円にした。
それ以前は270円だったから格安となった。

立命館大学での出来事なのだ。
小学校や中学校じゃあるめいし、大学にまで親がシャシャリ出るなよと言いたい。
100円朝食に行列が出来る様になったら、PTAのお母さんたちはウレシイと泣いていた。
こんな事をやっているから就活に失敗すんだよと言いたい。

かつて苦学生なんかは、一日一食おにぎり一個だけとか、ヤカンの水だけとか、友達のパンを半分もらうとかで学業に励んだ。

ある調査によると、大学生への仕送りは7万から10万円位とか。
それでもバイトをしたりして、しっかり学業に励むのならいいが。
ゲーム、マンガ、メール、合コン三昧。

十二月十七日(火)夜十一時頃、渋谷駅に向かって友人と歩いていると、大学生らしき男と女の子がハッチャメチャ。
大声を出すわ、泣いているわ、抱き合うわ、寝っ転がるわ、逃げるわ、追うわの大騒ぎ。それに負けず劣らず忘年会が終わった会社員の男たちと女たちがもうメッチャクチャ。

渋谷ハチ公前の交差点に立っていると、女がジワッと近づいて来て、「いい子いますからどうですか」と言った。韓国人のイントネーションだった。
バーロー、ウルヘイと、それを無視して歩き出した。
チキショウ、ナメラレタモンダ、きっと声を掛けて来たのは余程ワタシメにソノ気アリと感じたのだろう。未だ未だ鍛えが足らんのだ。

時間は経ち、場所は変わって大船駅停車中、列車内。
「業務放送、業務放送、タチカワさん、運転手さんが向かっています(?)」と男の声。「お客様に申し上げます、お急ぎのところ申し訳ありません、車内で体調の悪い方が出ておりますのでしばらく停車します」と若い女性の声。
で、しばらく停車、で何があったかと言えばベロベロに酔った若い男が非常ボタンを押してしまったのだと。


正体を無くした若い男を、ホームの駅員二名と車掌とおぼしき男と三名で車内から若い男を引きずり出したのだ。◯△大学と大きく印字されたスポーツバッグと共に。
デッカイ&ゴッツイ。きっと飲み過ぎて猛烈に気持ち悪くなったのだろう。

ビックリしたのはその出来事をOL風の女性が写メールをしていたのだ。
きっと家族か友人に実況中継をしていたのだ。

その夜、青山学院大学前、地下にある「青山食堂」という台湾屋台風の店で、カリスマ雑誌編集長とそのご友人とライターの方と四人で飲みながら打ち合わせをした。
長い長い屋台にはお客さんがビッシリであった。
お刺身盛り合わせ、ハムカツ、ポテトサラダ、ミートボール、ナマコの酢の物、編集長は何度か来ていたのだろう、次々と頼んでくれた。

私は初めて、へぇーこんな所があったんだ、いつもながら色んな店を知っている事に感心する。イカのゲソ焼きが出て来たらこれダメ、もっと焼きを入れなきゃと言った。
そして現在、過去、未来について論じあった。
ポン引きに声をかけられる自分自身にも焼きを入れねばならない。

2013年12月17日火曜日

「オトーチャンへ」




久々に知り合いのコンビニの店長と話をした。
この頃は大盛りがよく売れてるんですよと言った。

確かに店内には大盛りのカップラーメン、大盛りの焼きそば、大盛りのスパゲッティ、大盛りの丼ぶりモノなどが盛り盛り勢揃いしている。

その理由を聞くと少しばかり淋しい気分となった。
大盛りを買うのは食べ盛りの学生とか肉体労働のキン肉マンたちと思っていたがそうではなかった。

買い主はリタイアしたシニア世代なのだとか。
夫婦が大盛りを仲良く分け合って食べるらしい。
二個ではもったいないから大盛りにするのだ。
オマエ半分食べろよ、アナタの方が多く食べて、いやちゃんと仲良く半分ずつにしようなんて言い合う。きっと目分量で分割するのだろう。
微笑ましい姿が目に浮かぶが身が詰まる話でもある。

武者小路実篤大先生は、「仲良きことはありがたき哉」と書いておられた。
ある調査によると、夫婦円満のコツは(?)
・朝普通におはようと挨拶をする。
・自分が悪い場合は、直ぐに謝る。
・言いたい事を全部言い合う。
・納得するまで話し合う。
・しばらく顔を合さず頭を冷やす。
・一緒に旅にでる。
・疲れている時気を使ってくれた。
・一緒においしい料理を食べに行く。
・喧嘩のルールを作っておいた。
・毎日きちんと料理を作る。


などなどであった。
本当かいな、私にはどれもこれも思い当たらない。

ある調査によると、会社員の一ヶ月のお小遣いは二万九千円から四万円。
昼飯代は五百円位とか。主婦のランチ代は千円位なんだと。
オトーチャンは千三(センサン)で飲む。
一杯二百円位の酒を三杯、残りでおつまみを頼むのだ。予算は千円也というのが主流だ。

立ち飲み屋はそんなオトーチャンで満杯。
カァーチャンお小遣いあげて!なんて叫んでネクタイゆるめてフラフラと我が家に向かう。

店長と話をしていたらランチタイムとなった。
オトーチャンたちが長いテーブルにそれぞれのランチを買って来てそれを置き、丸椅子に座って食べ始める。前はガラス戸、車が行き交う。無言が基本らしい。
隣同士話す事はない。

一人は肉まん&コロッケ一個&コーヒー一杯。
一人は中華丼チンして&PBのお茶(ペットボトル)。
一人はアメリカンドッグ&フライドポテト&コーンスープ。
一人はスパゲッティミートソースをチンしてPBの炭酸水。

私もなんだか仲間になりたくて、おにぎり(おかか)&ゆでたまご一個&ペットボトルの生茶。無言でじっとガラスの向こうを見る。うっすら明日の自分が写っている。
年金生活となったら、これすら贅沢なのかもしれない。

考えさせられるランチタイムであった。
きっと会社員のオカァーチャンたちは、ホテルのバイキング食べ放題(時間制限内)で眼の色を変えてトレイの上のお皿にそんなに食べれるのと思う程、和・洋・中、何もかものせては食べて何往復もしている筈だ。
二度と再び食べる事は無いから隅から隅まで食べ尽くすのだと血走るのだ。
駄目、駄目パックなんかに入れちゃ、何!愛するオトーチャンにも食べさせたいだと。

2013年12月16日月曜日

「りんご」




「隣人は秘かに笑う」という不気味な映画があった。

何か事件が起きるとメディアは被害者の隣人とか、容疑者の隣人にインタビューをする。それを見るにつけ、よく見ているなヒトの家をと思う。
見た目はとっても優しそうで、ご夫婦仲良しでしたよ。
かなり派手な生活してましたね、よく夫婦ゲンカしてましたね。
嫁さんとおばあちゃんが不仲でしたようですね。ずっと引きこもりだったんですよ。
息子さんが遊び人で奥さんは相当マイッテいたみたいですね。
ご主人がDVでスゴかったみたい。あの奥さんはかなり(?)の人らしいですよ。
毎日タクシーを使ってましたね。
うなぎとか寿司なんかよく出前でとってましたよ、などなど

私の知人に土佐出身の刑事が三人いた。
今は亡き元関脇荒勢は土佐出身だった。
シェンパイかわいがってやって下さいと言って郷土の後輩という刑事を紹介してくれた。

その三人からよくアドバイスされた。ガバガバよく飲む男たちだった。
隣近所の人はよく見て、よく聞いてますからね、特に事件とか事故とかの騒ぎとか、人の不幸が大好きな人は、自分の話に自分が酔ってしまって話がどんどん創作されますからね。聞き込みなんかに行くとお茶は出すわ、お菓子は出すわなんていう人も多いですからね。

この頃信じられないという事件が起きる。
もう少々な事件では驚かないのだが。驚くのは隣人が実によく観察しているなという事だ。三人の刑事はもう退官しているが彼らの言っていた事を次々に思い出した。
私もきっとご近所で丸裸にされているだろう。
変な奴、怪しい奴、派手な奴、やけに宅急便が多い家、堅気じゃない筈だ、などと。

時々玄関を出てアッカンベェーをしてやっている。
皆さん、隣人に愛を、隣人にご注意を。
待てよ、リンゴを沢山送ってもらったからご近所に一個一個配るか。

2013年12月13日金曜日

「ヨロシク!」


矢沢永吉オフィシャルサイトより


キューバ革命は葉巻をくわえサルサのリズムに乗って成し遂げたというから、きっと革命戦士は陽気だったのだろう。

数百万の熱狂する国民は、「カストロ」や「チェ・ゲバラ」に向かって両手を突き上げ絶叫した。連日連夜祝杯を上げ喜びを爆発させた。
チェ・ゲバラは世界中の若者の心を捉え革命の代名詞となり、伝説の英雄となった。

「チェ」とは、ハーイとかヨオッとかの呼びかけ言葉だ。
ハーイゲバラ、ヨオッゲバラと親しみを込めたのだろう。
世に革命は数知れず起きて来たが。キューバ革命はゼッタイアリエネー、ウッソーシンジランネエと戦争研究家たちがオッタマゲタ。


それに似た光景、いやそれ以上と思われる程の熱狂と絶叫と興奮のシーンに出会った。チェ・ゲバラが矢沢永吉だ。チェの呼びかけをヨロシクに置き換えるのだ。
観客の両手には、色とりどり、デザインいろいろのバスタオルだ。

十二月十二日日本武道館、午後七時、超、超、超満員の永ちゃんコールの中、スーパースターは登場した。全員総立ち、ドヒャー度1000%、ナンダコレ度1000%、シンジラレナイ度1000%だ。私は初体験のヤザワ度1000%だ。
みなさんようこそ、ヨロシク!これだけで日本武道館内はキューバ革命状態。
ステージと観客は異次元の一体感となる。ロックンロールはなんて凄いのだと改めて思い、その凄まじい威力に我を忘れ過ぎた。

ヤザワのバラードはなんてセクシーでメロウなんだ。
♪愛はナイフ傷あとだけを残していく、なんていうフレーズに体が痺れ切ってしまうではないか。葉巻きの代わりがコップ一杯の水だ。
一曲熱唱する度にゴクッと飲む(ステージの奧の方に置いてある)。

突然ババーン、ジャジャーン、ハイ、ハイ、ハイの掛け声と共に全員が爆発した。
バスタオルを空中に投げ上げるではないか。
二万人、いや三万人が一斉に同じ事をするのが決まりの様だ。
ヤザワ命の友人がプラチナチケットを入手してくれた。
友人は矢沢永吉のルールを完全に知り尽くしているので、ヨロシク!なのだ。

午後八時四十五分からアンコール、アンコール、またアンコール。
九時十五分楽しんでくれましたか、全員ハーイ、旨いビール飲んで帰って下さいよ、サンキューで全員ハーイ、永ちゃん、永ちゃん、永ちゃんなのでした。

素肌に白いスーツの上下、白いパナマ帽に白い靴。
何もかもヨロシク!なのであった。ストレスが1000%解消出来る事間違いなし。
ヨロシク!入り口で係員の手に息を吹きかける、お酒の臭いがしたら入場は出来ません、ヨロシク!