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2013年12月20日金曜日

「(一)と(九)」






(一)チンケ、(二)ニゾウ、(三)サンズン、(四)ヨツ、(五)ゴケ、(六)ロッポウ、(七)シチケン、(八)オイチョ、(九)カブ。
博打の中の一つ、「花札」では数字の事を符丁でいう。
一番強い数字は(九)カブだ。

十二月となるとやはりベートーヴェンの「第九」が定番といえる。
博打と「第九」の関係は全く無いのだが、悪い習性で「九」の字を見るとつい花札を思い出してしまう。今でこそ大ゲームメーカーとなった任天堂は花札でメシを食べていた。

十九日(木)氷雨、午後七時開演、サントリーホールは満員。
ベートーヴェン交響曲、第九番ニ短調作品125〈合唱付〉。
指揮D.R.デイヴィス、読響に初登場!演奏時間65分。
いや〜きましたね、全身総毛立つ、電気クラゲ100匹位に刺されたように、足のつま先から頭の中心まで痺れまくった。十二月の「第九」はやはり最強だ。

矢沢永吉も凄かったが観客がかなり違った。
何しろ万雷の相手で迎えられたのが、天皇、皇后両陛下だったのだから。
ウームいつの日か宮様たちもロックンロールやR&Bやウエスタンやモダンジャズのコンサートに足を運んでもらいたいものだ。

音楽はどんなジャンルでも素晴らしい。
国境を越え人間と人間、国と国が一つになれるのだから。

「おお 友よ、この調べではない!さらに心地よく 喜びにあふれる歌を ともに歌おう!」とか「そうだ、この地上にひとりでも 魂の友を持つ者も ともに歌おう」とか「抱き合おう!幾百万の人々よ!この接吻(くちづけ)を全世界に!」なんて大合唱をするんだから本当に神とか、創造主にひれ伏さねばならない気になってしまう。

日本で初めて「第九」が流れたのは191861日、徳島県鳴門市にあった坂東虜収容所であったとか。捕虜となっていたドイツ人が歌った。合唱は全員男であった。
サントリーホールの中に国境はない、捕虜もいない、階級もない。
芸術やスポーツの前では人間は一つになれる。

「幾百万よ ひれ伏したか? 人々よ 創造主を感じるか? 星々の天幕に 神を求めよ! 星々の彼方に 神は住み給う!」「第九」は歓喜の中に終わった。
天皇、皇后両陛下はずっとずっと拍手を続けていた。
不思議なオーラを放っていた。

二転、三転、七転八倒、東京都知事猪瀬直樹は未練をたっぷり残し終わった。
自らを政治のアマチュアだったと皮肉を込めて語った。
その姿に拍手を送る者はいない。あるのは罵倒の嵐だった。
親分への恩を仇で返した、花札でいえば(一)チンケなやつだったという事実だ。
(九)カブの様な人間が出てくるのだろうか。


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