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2014年12月3日水曜日

「静かにしろい」




鳥には何の罪もない。
あの野郎は蝙蝠(こうもり)みたいな奴だから気をつけろ。
あの野郎は鵺(ぬえ)みたいな奴だから気をつけろ。
あの野郎は廊下鳶(とんび)だから気をつけろ。
あの野郎は烏(からす)みたいな奴だから気をつけろ。
など人から嫌われる人間を表すのに何故か鳥類がその表現として使われる。

人間が群れをなす社会とか会社にはこの鳥類が飛び回り、走り回り、逃げ回り、隠れ回り、漁り回る。この鳥類たちに気を許したり、心の内をさらけ出したり、内緒の話をしたりするとあっという間に話に尾ヒレがつき、あっちこっちに話がこぼれ回る。

メダカみたいな話は巨大魚となり、小石みたいな話は巨岩となり、小さな波紋は鳴門海峡の渦巻きとなる。あの野郎とっ捕まえて嬲(なぶ)り殺しにしてやると被害にあった人は怒気と憎しみを口走る。

「嬲」という文字を見れば分かる通り、世の常として許されざる男と、許されざる女と、許されざる男が見えざるところで人を陥れる。だから「嬲」という文字が生まれたのだろうと私は思うのだ。

ある業界では秘密はベッドの中から一番流れ出るという。
大会社を潰すのには刃物はいらない。人事、人事、人事の噂を流せば内部からガタガタになるという。

ある店の小上がりの部屋で数人の男たちが熱気を放出して会社の人事話をしていた。
ウルセイ蝙蝠と、ゴッツイ鵺と、キョトンとした鳶と、やたらに改革だを連発する烏野郎が会社の秘密を大きな声で話していた。一人の男が突然、俺は是々非々だといった。
何がゼゼヒヒだと他の人間から集中攻撃を受けていた。

静かにしろいと私が怒鳴ったら、一同シュンとなってしまった。
あんな奴等にも会社はちゃんと給料を支払っているのだ。馬鹿な男たちでここだけの話だぞといっているのに、背広の上着に会社のバッヂをつけていた。
誰でも知っている有名な会社であった。私と友人の後をゾロゾロと出て行った。

2014年12月2日火曜日

「最強の武器とは」



地球に人類が誕生し、群れて集団を形成した時から人類の歴史、ヒト、人間の歴史は裏切り、寝返り、密告、権力闘争の歴史であった。
古代から現代に至るまで人間と人間は終りなき争いの中にいる。
人類平和を願うがそれが叶うことは永遠にない。 

12月1日、高倉健さんに次いで菅原文太さんが81才の生涯を終えた。
彼の演じた広島のヤクザ戦争の主人公は、東映の生んだ映画史の中でも特筆すべき映画「仁義なき戦い」シリーズの主人公であった。

この映画が何故ヤクザ映画なのにあらゆる階層の人々から絶大な支持を得たか、笠原和夫の生々しい言語が銃弾のように飛び交う、過去に例のない脚本、深作欣二監督の斬新を極めた演出、鮮烈な音楽、この映画の中でえぐり出されたのは、正に人間の深層心理劇であった。
 
人間は弱い、人間は汚い、人間は恐く怖ろしい。
人間は裏切り、寝返る。人間と人間は金と権力と縄張りと利権を巡って非情なまでに殺し合う。

この映画は実話を基にしている。
中国新聞はあらゆる脅し、脅迫、暴力、襲撃に負けず、暴力許すまじと新聞に記事を連載し続けた。その記録は「ある勇気の記録」として残っている。確か菊池寛賞を受賞した。

菅原文太さんが演じる、広島呉の組長が獄中でそのヤクザ戦争について手記を出した。
昨日の友は今日の敵、敵の敵は味方、大都市の巨大な組織と地方の組織との意地と意地のぶつかり合い。仁義なき戦いの中で、その仁義を信じ人を殺し、殺される若者たち。
私は日本映画史の中でベストワンといっても過言ではないと思っている。

事実ある調査によると、日本人が選ぶ映画ベスト10に於いて。
1位「七人の侍・黒澤明監督」の次の2位に選ばれている。ベストテンの中に2作選ばれている監督は、深作欣二さんしかいない。もう1作は「蒲田行進曲」だ。

仁義なき戦いシリーズ第1作に、確かこんなやりとりがある。
刑務所から出て来た菅原文太に、組の若頭はホテルのベッドの上でポツンとこういう。「オレはよォ、毎日夜になると堅気になろうと思うんじゃ、だがよ朝になってよォ、若い者たちに囲まれると忘れちまうんじゃ」この若頭には赤ん坊ができていた。
菅原文太演じる呉の組長はこういう。「ヤクザ者がよォ、そげな弱気を持ったら危ないじゃけん。身引いて堅気になりなよ」と。
二人は若い頃からの仲間同士だった。若頭はその後襲撃され、殺される。
終りなき仁義なき戦いのはじまりであり、その戦いは広島の軍港呉から広島へ、そして日本中が抗争の渦の中に入っていった。

今日122日、大義なき解散による衆議院選挙の火蓋が切って落とされる。
全国津々浦々で仁義なき戦いが公式に始まる。この戦いに最大な力を発揮するのは一票を投じる国民だ。この一票はどんな武器よりも強い。
信条、思想は自由、棄権という逃げを打ってはいけない。どこかに必ず一票を。
(文中敬称略)

2014年12月1日月曜日

「恐い泣き虫」


私が現在に至るまで映画を観たあと号泣した映画は、小学生の時に観た「綴り方教室」と、大人になって観た「砂の器」だ。その映画を観た映画館が、12月末をもって閉館するという。
 
新宿歌舞伎町にあった「ミラノ座」だ。日本最大の客数を誇っていた座席数は1000席超だった。同時にミラノ1・2・3、シネマスクエアとうきゅうの4館も閉館する。
60~70年代映画を見に行くといえば歌舞伎町であった。新宿プラザ、新宿名画座、歌舞伎町東映、歌舞伎町日活。洋画の大作からヤクザ映画、ロマンポルノ、ピンク映画、学校の先生から歌舞伎町は不良の行くところだから決して近づくなといわれた。

ミラノ座と新宿コマ劇場の間に大きな噴水があった。
それを取り囲むように様々な娯楽施設があった。当時は不良全盛時代、中でも愚連隊全盛時代であった。噴水の周りにはビッシリ決まったファッションの愚連隊が勢揃いしていた。

その中のリーダー的先輩と「砂の器」を観た。松本清張作、野村芳太郎監督、音楽は芥川也寸志。主演加藤剛と丹波哲郎、有名になった人間の過去、血の歴史、差別をされていた不治の病、国を追われ巡礼となり流浪する父と子、宿命と運命を奏でるオーケストラの曲、ピアノの激しくも哀切な音、愚連隊のリーダーも私もあるシーンから泣き放し、終わってからも泣き放し、通路のソファーでも泣き放しであった。恐いはずの先輩も私も泣き虫だった。

その後現在のアルタ、むかしの二幸裏にあった「三平食堂」という洋食屋で三平ランチをおごってくれた。ラグビーボールのような形をしたライスに波の形があった。
オイ、ライスは少し残すのがマナーだからなと先輩はいった。二人ともフォークにライスをのせるのにすごく手間取った。恐くて泣き虫の先輩はその後外科医となった。

映画にはいろんな思い出がある。恐い先輩は三平ランチでビフテキを切ったナイフを人の命を救うメスに替えたのだ。 

2014年11月28日金曜日

「東映大国」

週刊誌より




どの週刊誌も高倉健の特集記事とグラビア写真でギッシリだ。
私は大の健さんファンであった。人間誰にも表があり裏がある、光あり影がある。

私は映画という作品の中で、「死んでもらいます」といって日本刀でブッタ斬る姿に拍手した。健さんが手紙魔でありプレゼント魔であることを知人の写真家やスタイリスト、ヘアメイクの人たちから聞いていた。
熱烈なラブレターもどきを何回も送ってもらい困惑していた人もいた。

スターがスターであり続けるのは孤独との闘いでもある。
流れ星にならないために俳優や役者やタレントさんは日々不安と同居する。
スターであるが故に行きたくても行けないところがあり、食べたくても食べられないものがある。絶えず人から見られているという恐怖の中にいる。
見栄と虚飾にあふれ、嫉妬と怨嗟が渦巻く。

ある愚連隊の大スターだった組長がはじめて映画の主演をした時、芸能界はヤクザ者の世界より怖いところだなとインタビューに応えて笑った。
本場の男と男の世界に身を置いた人間にとって、堅気の俳優がヤクザを演じるのがきっとコソバイ気分だったのだろう。
ヤクザ者を演じているといつしか本物になった気になる俳優もいる。

本当の健さんを知っている人は、本当の健さんを語れない。
伝説は大切にしなければならない。

青春時代私が通った「荻窪東映」が通路までビッシリお客で詰まり、扉は閉まらない、映写室の横の階段まで健さんのファンで埋まった。煙草のけむりで館内はスモッグ状態。
そのスモッグを切り裂くように映写機から投影される光が画面を作りだす。
ラムネをラッパ飲みする者、モナカアイスを二つに割る者、あんず飴を舐める者、都こんぶを口にするもの、オイ、アタマ下げろ見えねえじゃねえかと怒鳴る者、荻窪東映はひとつのドラマ大国であった。
オイそこの席、オレの女を座らせろい、なんてイキガってあとでボコボコにされるのも大国の姿だった。

あと二週間もしたら健さんを語る人たちはいないだろう。
本当の健さんを知る人以外は。東映の岡田裕介氏が死後の一切を仕切ったという。
本当の姿を見せないための男と男の友情だ。

2014年11月27日木曜日

「黒幕」




闇の世界の情報を集めそれを自在に操り、国家権力から巨大企業、大マスコミがこの一人の男を頼りにした。
銀座のクラブに巨費を落とし、日々生々しい情報を得ていたという。


「裏社会の案内人」ともいわれた。男の名は「石原俊介」という。
表では雑誌の発行人が本業だ。リクルート事件、イトマン事件、東京佐川急便事件、金丸脱税事件、ゼネコン疑獄、損失補填事件、ブルネイ王室AV女優接待、2信組事件、総会屋利益供与事件、大蔵・日銀接待汚職事件、芸能界脱税事件、武富士事件、日本振興事件などなどおよそ事件と名のつくものの情報を正確に持っていた。
ヤクザ社会や芸能界、警察、検察機関もその男の情報に頼った。
政治家の愛人問題のスキャンダルを最小限度に押さえた。

情報フィクサー石原俊介を知らない者は闇の銀座ではモグリであった。
また「兜町の石原」ともいわれた。東京電力の顧問でもあり、さまざまな場面を仕切っていた。小沢一郎の事件では最後まで小沢の味方で無罪とした。

腕と度胸で成り上がった男の封印されていた半生に迫る傑作のノンフィクションが出た。裏の事に興味がある人にぜひオススメした。
本の題名は「黒幕」著書は伊藤博敏、小学館より出版。本体1,800円+税。
石原俊介はついこの間この世を去った。未だ黒幕の体温が銀座の夜に深々と残っている。

また闇社会の守護神といわれた元特捜検事、元弁護士、元懲役囚、田中森一が死んだ。
闇社会の主人公が次々と消えていくのも時の流れだ。
ほっとしている者、支えを失ってガックリしている者、様々な情報を持って骨と灰になった。闇社会には次の情報フィクサーが生まれるのだろう。

日々、夜と朝の間には映画や劇画よりもすさまじい情報合戦があり、おぞましい男と女、男と男、女と女の魔界がある。知りたくもない事を知りたい人は読んでみるといい。
見えなかった景色が見えてくる。(文中敬称略)

2014年11月26日水曜日

「ある勉強会」



TBS6ch午前一時十一分〜四十一分、「深夜食堂」を見終わり書いている。
今回の食事は「ロールキャベツ」だった。

主人公はストリッパーのマリリンだ。整骨師の若者はマリリンに恋してる。
若者はストリップをしているマリリンに、もうやめてくれと頼む。
マリリンは仕事にプライドを持っているので断る。

マリリンの母親が上京して来る、母親は男遊びばかりしていた。
マリリンはそんな母を嫌っていた。母親の上京の目的は癌が転移していないかの検査のためだった。マリリンのステージを見て「あたしにゃつらいわ」とストリップ劇場を出る。観客たちはマリリンの裸に拍手する。
ストリッパーは同性に見られるのを嫌うことを私は知っていた。

ある年、若手女子デザイナーと若い男のスタッフたちに浅草のストリップを見てくるように勉強会とした。落語を聞く会とか、お能を観る会、歌舞伎を観る会、相撲の朝稽古を見る会とかの延長であった。

私の主旨は芸人のプライドや芸を売る、身を鍛える厳しさ、人生の深底を知っているのは芸人さんであることを知ってほしかった。
私たちの仕事も芸人と同じ芸を売る仕事だから、いかに日々自分を見つめ、精進努力をして芸を磨くかを学んで欲しかったのだ。

「好きこそものの上手なれ」という言葉がある。
自分の職業を好きでなければ決して上達はしない。
マリリンの母親の癌は転移してなく、田舎に帰り再婚する。
マリリンは深夜食堂でロールキャベツを食べながらなじみのお客に母親の花嫁姿の写真を見せる。世の中には無数の職業がある。
その職業についている人の数だけ、意地とプライドと人生がある。
職業で人を判断するほど卑劣で愚かなことはない。

深夜食堂を楽しみにしているのは、毎回人間味あるテーマがあり、料理一品がある。
小説家はマンガ家に勝てないと思うドラマがある。
次回の主人公は「ベンガル」さんだ。むかしある作家と話した時に、いい女とはの私の問に、ロールキャベツを作れる女だよといったのを思い出した。
ではダメな女とはと聞いたら、ロールキャベツを買って来る女だよといった。むかしある女流作家に、いい男とはと聞いたら、私みたいないい女に恋する男といった。
ダメな男とはと聞いたら、出した料理にツベコベいう奴といった。

私は断然ダメな男ということであった。
今日はきっとロールキャベツを食べよう、セブンイレブンのおでんの中に入っている。
ツベコベはいわない。

2014年11月25日火曜日

「陽暉楼でした」




ON THE ROCKSari turunen fiskars 
過日丸い透明な氷のロックをいただき、こりゃスグレモノだと思った。
お気に入りのグラスの中でコロコロと転がる。丸いビー玉がウィスキーとデュエットする。一方このON THE ROCKSは四角いサイコロのようである。
ひと目みると備長炭を二センチ四方に切ったようである。
消炭色になったその物体を冷蔵庫の中の冷凍室に入れる。

ビー玉の親方も良いロックになったが、この正方形もウィスキーやジンやラムやらと合う。丸いのも、四角いのもいただきモノなのだが、丸い方より四角い方がずっと美しいヒトからのモノなので三連休は四角で通した。これがあると氷が必要ない。
便利でずっと冷たい。備長炭は火力の元だがこれは冷力の元なのだ。

パッケージには二ヶ国語で書いてある。
英文はあー英語だとわかるが(意味は不明)英語の上に書いてるのはどの国だかわからないのだ。丸いのに比べ四角い方が冷力が段違いに強い。
8ICE CUBES OF SOAPSTONE Freeze in a freezer and use as ice cubesと書いてある。
どこで売っているかは分からないがロックが好きな人にはオススメ品だ。
何しろグラスの中に備長炭がガツンゴツンしているのだから。

深夜から朝まで久々に古今亭志ん朝の落語を聞きながら酒を楽しんだ。
先日友人が大山詣りをしたのでまずはその「大山詣り」を聞いた、次に「子別れ」、その次に「品川心中」の三本である。

先週の金曜日、よみうりホールで立川談志の三回忌で談志会があった。
後輩と友人が六時から行っていたのだが、私は八時二十分頃になんとか着いた。
親愛なる後輩がチケットを買ってくれていたからだ。着くと超満員であった。
毒蝮三太夫と談志の弟子三人がトークショーをやっていた。

次に売れっ子立川談春が20分ほどの人情噺、あと二人の弟子が登場した。
一人は立川談幸、トリは土橋亭里う馬。談志はいい弟子を育て幸せ者だと思った。
 九時十五分頃に終わった。

三人でとにかく酒だ、酒だと有楽町のガード下の汚え店に入った。
ベレー帽をかぶった洒落た店主であった。冷奴とギンナンとホタルイカを焼いたのと煮込みを頼んだ。十人ほど入る店に八人の客がいた。天井で扇風機が回っている。
古い、汚い、オヤジさん何年やってんのと聞いたら、その扇風機は六十年回ってるよといわれた。私の後ろで外人が三人いて笑っていた。
目の前に小さな虫がチョロチョロしたのでおしぼりで引っ叩いた。
煮込みが絶品でビックリした。

親愛なる後輩は十時五分の長野新幹線に乗るといい酒半合とハイボールを半分位飲んで帰って行った。私は友人と残り、酒を二合位飲んだ。
夜風を浴びながら仕事場に帰り、少しソファーに横になり酔いをさました。
それからやり残した仕事をまとめた。落語と四角い冷えた備長炭は相性がいい。
美しいヒトはこれからの日本を代表するであろう天才的才能のあるヒトだ。火力抜群の備長炭のように妥協せず熱気を持って自らの道を進むだろう。


若い才能には明日がいっぱい待っている。“苦学”した者が世に出ることとなる。
その逆に“楽学”した者は決して世には出ない。挫折し、敗北し苦しみ悩んだ中から斬新は生まれる。実は丸いモノを送ってくれたヒトと、四角いモノを送ってくれたヒトを間違えた。この場を借りてお詫び申し上げたい。スミマセン。

先日のブログで思い出せなかった五社英雄の映画の題名を後輩が教えてくれた。
題名は「陽暉楼」バチバチ殴りあったのは、浅野温子VS池上季実子でした。
勘違いと間違いに気をつけねばなりません。

2014年11月21日金曜日

「ある引き算」




十一月二十一日午前五時二十四分四十三秒。
外はシトシト雨、ポストから朝刊を取り出し、記事を読み始めてふと引き算をした。

黒田東彦日銀総裁が掟破りの金融緩和をした。
そのことを「バズーカ砲」といった。一発、二発と大量のお金の弾を市場にぶっ放した。だがその効果は、バズーカから「ズー」を引き算すると「バカ」なことであり、1%の大企業と株を持っている者と外国の投資家を大儲けさせただけだった。
国債のほとんどを日銀が買い続けるという「バカ」なことで、結局アベノミクス大失敗の引き金となった。

日本国の景気は後退局面に入った。「バカ砲」のために。
歴史上最低の日銀総裁として後世に名を残すだろう。

大相撲が大好きなので午前三時四十分から取り組みの再放送を見た。
ふと考えた、男と男が裸同士でガッチリ抱き合い、ハアーハアー、ヒーヒー、息を荒めている。少々眠気が生じてたせいか、今まで考えてもいなかったエロ行為に相撲が見えた。

両者張り手で顔面を殴りあうシーンを見ていて、東映の映画を思い出した。
五社英雄監督の作品だったと思う。女優同士が顔面をナメんじゃないよとバチバチ殴り合った。映画の題名と女優の名がハッキリ思い出せない。
訳あってマンガのシナリオを書いたりしていたのですっかり思考回路がマンガ的になっていたのだ。

大関「琴奨菊」という力士がいる。
この力士の売りは腰をグイグイ使ったがぶり寄りだ。見方によってはかなりいやらしい。R15指定かもしれない。

友人がワインを送ってくれた。
いつものグラスに赤い血のようなワインを半分位入れた。
人間はしっかり睡眠をとらないと「負眠(ふみん)」になると教わった。
私は完全に負眠なのだ。ちなみに私がいちばん好きな力士は十両の「里山」というオッサンみたいなオモロイ力士だ。

女優は名取裕子VS池上季実子だったかもしれない。

2014年11月20日木曜日

「底のソコ」




一体何を考えてんだよ、年末の選挙はデパートや流通にとって大マイナスなんだ、と怒りまくるのは当然だ。

何故ならギフト市場がダメージを受けるのだ。
選挙の票集めのために贈り物をしているのではと疑われるのを嫌がるからだ。

ホテル業界もダメージを受ける。
年末はパーティーシーズン、当然政治家のパーティーはキャンセルばかり。
人が沢山集まれば票集めと疑われるからだ。

私といえば息子から数年前に誕生日プレゼントとしてもらったバックスキンの靴の底が、花の銀座中央通りで両足ともパコッ、ボコッ、ベロンとなり愕然となった。
2年程はいていなかったのですっかり底のソコがボロボロになっていたのだ。

キラリトギンザoluhaショップで白いヒモをもらって、取れた底をグルグルと巻いた。
で、ソロリ、ソロリと仕事場に向かった。身分不相応なジョルジオ・アルマーニの高価な靴を安月給の息子夫婦が贈ってくれたので大事に大事にしすぎてはかなかったのが、靴底にとってはかないことになってしまったのだ。
靴の修理店に行ったら16000円で直してくれるというのでよろしく頼むとなった。
一ヶ月程かかるとか。

チクショー年末に選挙なんかやるからいけねえんだよと八つ当りした。
仕事場の側のシューズショップで仕方なく黒いエナメルの半ブーツを買った。 
12600円であった。チクショー年末に選挙なんかしやがってとまた、八つ当りした。
ジョルジオ・アルマーニに靴の底、それはアルマイニであった。

2014年11月19日水曜日

「さよなら、唐獅子牡丹」




お客さん、この国では衆議院解散という国家の大事より、高倉健さんが死んだほうがトップニュースなんですね。安倍総理の記者会見は政権を投げ出した時とソックリなほど弱々しかったですね。タクシーの運転手さんは食堂でそれを見ていたらしい。
私は青山の編集スタジオにいたのだが、合間をみつけてロビーのテレビで少しだけ報道ステーションを見た。

運転手さんのいうとおり、目はウツロで表情にハリがなく病弱な姿そのものであった。
話す声にまったく力がなく、こりゃもたないわと思った。
お客さん、なんだか出来すぎと思いませんか、1110日に健さんは死んでいたのに発表せず、解散するという日にわざわざ発表するなんて。
新橋の駅では号外が出てましたよ、余程安倍総理の弱々しい姿を見せたくなかったのでしょうね。そういえばそうだな、運ちゃんなかなか鋭いねと私はいった。

健さんのニュースがなければ安倍総理の弱々しい姿はもっと露出されていただろう。
深夜一時を過ぎた頃、私は愛する二人の後輩と編集後の酒を飲んでいた。
私は朝から何も食べず腹ペコだった。ハイボールが空腹に効いた。
ヨシッ、唐獅子牡丹を唄うぞといった。
えっ、何、ホントと後輩たちとお店のヒトはいった。

初めて聞くヒトばかり。
高倉健とオールナイト映画は何ものにもかえがたき荻窪の思い出あった。
健さんを偲んで唄った。

♪〜義理と人情を秤にかけりゃ 義理が重たい男の世界 幼なじみの観音様にゃ 俺の心はお見通し 背中(せな)で吠(な)いてる唐獅子牡丹。

高倉健さんありがとう。
きっとまったく自分と違う役者「高倉健」を演じ続けていたのでしょう。
あなたは本当は幸せだったのでしょうか。役者人生は楽しかったのでしょうか。
そんな万感な思いがこみ上げていた。
午前二時半頃、運ちゃん!一緒に網走番外地を唄おうぜといった。
横浜を過ぎながら二人で唄った。

♪〜遥か 遥か彼方にゃ オホーツク 紅い真っ紅な ハマナスが 海を見てます 泣いてます その名も 網走番外地。

健さんもう高倉健を演じなくていいんですよ。
あの世で江利チエミさんと会い二人でテネシー・ワルツでも唄ってください。
合掌してます、泣いてます。