この人の作品はあまりにも難しく、あまりにも暗く、重く、あまりにも長い。
だが大好きなのだ。
ロシアの代表的監督、アンドレイ・タルコフスキーの映画を連休中に三本観直した。
レンタルビデオで観た時は返却しなければならず、ただじっと観た。
大巨匠の映画は現在活躍している殆どの映画人に影響を与えたといっても過言ではない。カンヌ映画祭に出品すれば必ず何かを受賞する。
宇宙、希望、絶望、人間、苦悩、愛、生、死、キリスト、神、争い、生きて行く上で全ての要素に迫る。
一本161分から183分だ。
三本で約500分、いい言葉を書き留めるからその3割増しであった。
そのためにDVDは購入しておいた。
「惑星ソラリス」「ストーカー(密猟者の意)」「アンドレイ・ルブリョフ」である。
この三本の中にある哲学的言葉は、現代社会に生きる私たちの胸に刺さる、その一部を紹介する。
宇宙船ソラリスの中での科学者の言葉「同情心というやつは、ときに有害だ、人を苦しめる。苦しみは生活に陰をさし猜疑心をもたらす。でも本当にそうか、私はそうは思わない。生活に不要なのは全て有害なのか、そうじゃない、絶対に有害ではない。トルストイも苦しんだ、そもそも人類を愛することができないと。助けてくれ僕も人を愛する、だが愛とは感じることはできても具体的に説明することが困難な概念だ。人は失いやすいものに愛を注ぐ」(惑星ソラリスより)
「振動させ続けなさい、あなたの心にー。生じたその響きを、情熱と称するものは魂と外界の摩擦だ、気をいっぱいにして脆弱であれ。幼子のように弱くあれ、弱いことは偉大であり、強いことは無価値だ。人は生まれたときは、弱くてやわらかい、死ぬときは堅く干からびている。木は成長するとき、やわらかでしなやかだ。乾き堅くなると木は枯れる、硬さと強さは死の仲間だ。やわらかさと弱さは、みずみずしさの現れだ。堅くなったものは勝つことがない」(ストーカーより)
ゾーンといわれる不思議な空間の中で自称物理学者と自称作家の会話だ。
ストーカーとはゾーンに案内する密猟者のこと。
ゾーンの中には人間の一番の望みをかなえる「部屋」があるという。
が、ゾーンから生きて出るのは…(?)今日は寒い、冷たい雨が降っている。
人間の心の中にゾーンがあるのだと思った。
人や物事にかけた愛情は、それによる苦しみに比例するという。
分かったようで分かんない。週末にまた観ることにする。
今日は朝から雨、まったくよく降りやがる。
テレビをつけるとどのチャンネルも“乳癌”と“胆管癌”の解説をしている。
「アンドレイ・ルブリョフ」は中世ロシアの天才的イコン画家の苦悶する物語。
何回観ても難解だ。