「動的平衡」青山学院大学教授で生物学者、福岡伸一著のロングセラー本である。
初版2009年から2016年まで第18刷を記録している。
タイトルだけを見るととても私などのバカ者が読む本ではない。
が、読んだのだ。
学術用語はよく分からないけど、分かり易いところも多々あった。
近々福岡ハカセ(こう言われている)を撮影する機会を雑誌ソトコトのボス小黒一三さんがつくってくれたのだ。
写真家との打合せ前に一夜漬けでも読んでおこうと思い三夜漬けで読んだ。
福岡ハカセの本は「フェルメール光の王国」とか「ロハスの思考」などを読ませてもらっていた。文章が極上に上手い。
そこいらの小説家が束になってもかなわない。
何しろ実際に取材行動をして書き、また自ら実験したものを書く。
それは上質の旅行記であり、文明文化論であり、スリルとサスペンスに満ちた推理本である。
勿論学術的エビデンス(裏付け)によっているから説得力は他の追従を許さない。
水が上から下に流れるような文体は、出来の悪い学生にも分かり易くい講義のようである。
「動的平衡」については私などが説明しようがない。
少しわかり易い個所を原文のママご案内する。ダイエットに興味のある人のために。
92頁より抜粋、見出し「ドカ食いとチビチビ食い」ダイエットに興味ある人が、この本の読者の中にもたくさんおられると思う。
世の中にはさまざまなダイエット法が宣伝されている。
科学的に見て少しは根拠があるものから微塵も裏付けがないものまで、星の数ほどある。それらのいずれもが商品として通用しているのだから、人の世は不思議なものである。
人間には生きていくうえでどうしても必要なエネルギーというものがある。
心臓と肺を動かし、体温を維持し、基本的な代謝を円滑に動かすための熱量で、これを基礎代謝量と呼ぶ、成人で一日あたりおよそ二〇〇〇キロカロリー。
この範囲の熱量であれば、どれほど食べてもすべて燃やされてエネルギーとして消費されるので、体重は増えない。
以下更になるほどの話が続き、チビチビと食べた法が絶対に太りにくい食べかたとなる。汝とは「汝の食べた物」であるという。
自分とは自分が食べたそのものらしい。サプリメントは果たして有効か否か。
ちなみに私はかつて「肝元」とか「セサミン」とか「ハイチオールC」とか「ウコン」なんかを口に入れて酒を飲んだ後始末にして来たが、面倒臭くなって全部やめてしまったら、赤信号だったいろんな数値が全て正常になった。
それ以来何も口に入れない。食べたい物を食べている(あくまでも私の場合)。
新橋駅ビル一階に精力がつくというスッポンの粉末をずっと売っている店がある。
かなり高いのだがロングヒットらしい。その上の階には怪しい中国人マッサージ店がずらずらと勢揃いしている。私は怖ろしいのでその階には行かない。