「あ」さんはきっと「阿」、「ご」さんは「呉」、「しん」さんは「秦」だろうか、深夜のコンビニに三人の店員さんがいた。胸章に名があった。
「あ」さんは四十三歳位の男性、「ご」さんは二十五歳位の男性、「しん」さんは六十歳位の男性であった。銀座二丁目である。
お客さんは、ハイ次の人みたいにちゃんと並んでいる。私の前に四人。
一番前が金髪の外人女性、二番目がエジプト人らしき若者男性、三番目がホステスさんらしき三十三歳位の女性。
金髪の女性がパスタをチンしてもらっていて時間がかかる。
「あ」さんがツギノヒトイルカラヨコニイテマッテクダサイと言う。
OH,YESと金髪女性は体を右に2.5歩ずらす。
3.5歩かけてエジプト人らしき若者が、な、なんとおでんを買う。
チプンデトッテクラサイと「ご」さんが言う。
長いトングで器用にシラタキ、牛スジ、ソーセージ二本をつまみ取る。
カラシイルと「ご」さんが聞くと指を二本ピースみたいに出す。
つまり二個ということ、他に肉まん一個とスプライト一本であった。
オシルタクサン(?)エジプト人らしき人、入れ物の真ん中あたりを指さす。
ここ位までとの意思表示。「ご」さんおしゃもじで一回、二回と半分入れる。
三番目のホステスさん、かなり疲れているのかリポビタンDを持っている。
おにぎり二個、マカロニグラタン、チンスルと「しん」さん、しなくていいとホステスさん。バナナ三本、チョコアイスのピノ、トケナイウチニカエッテネと「しん」さん、余計なこと言うんじゃないよという感じのホステスさん。
メロンパンとカレーパンも買っていた。
世界は分断されつつあるがコンビニの中はすこぶる秩序が保たれ、ルールが守られ、グローバル化が進んでいる。人情が行き交う。ケンカなし、もめごとはなし。
「あ」さんはすでにモップを持って床を掃除している。
イートインのテーブルが路地道に向かって一直線にあり、20個位の椅子が逆さまにキチンと揃っている。
私といえば夕刊紙一紙と夕刊二紙、と“かのか”二本、ピスタチオ一袋とサラミ一袋。
ワインレッドのドレスを着たホステスさんがヒールを脱いで、リポビタンDを椅子に座ってゴクッと飲んでいた。私は都会のこんな時間と映画的シーンが大好きなのである。
次の日朝イチで撮影がある、私は寝場所に向かった。
おっともう一人いた、「ポドロフ」さんだ。ロシア人だろうか。
大きなダンボール箱を軽々と持っていた。
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