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2011年9月16日金曜日

「血」


あのねえ君、男はどんなに強がっても、イキがっても、スゴんでもね結局女性には勝てないよと老医師は言った。

男は大量出血を見ると体中に刺青を入れた親分も、小指を詰めたお兄さんも、プロレスラーみたいな男も意気地がないんだ。


そりゃ〜中にはとんでもない根性者がいて自分で自分の腸を持って来て、先生刺されたから縫ってくれなんていうのもいるがそんなのは希だ。ほとんどが先生助けてくださいとか駄目だ痛てえとか叫んで気を失うんだ。

その変わり女性は強いよ、特に出産を経験している人は少々の出血なんて全然大丈夫だから。



もう君、まったく持って勝負にならないんだよ。君なんか鼻血が出た位で会社休んだそうじゃないか情けない。

女性の上半身と下半身は別人格というが、宇宙人なんだよ。

何しろ十ヶ月お腹の中で生命を育て3000gもある生命をオギャーと踏ん張って世に出すんだから。


君に出来るか?出来ないだろう。敬意、敬服、神だよ。

ところで何だいこれ位の出血でわざわざ来るなんて。目の上なんか直ぐ切れるんだ。

放っておけばきっといつかくっつくと思うけど、34針縫うか。


え、麻酔ってか、意気地ないねやってほしいの?女性だったら我慢して家事や子育てしながら自分で治してしまうよ。

昔の農家の嫁さんなんかお産した次の日から働いていたんだぞ、え、俺は女じゃないってか、じゃあ男か。

男なら根性だせっていうんだよ。おっ、頭の中もかなり傷ついているんじゃないか。


何、頭は悪いからいいって、こっちの方が深いぞ、10針くらいかも。

喧嘩でもしたのか、今頃はやらないよ。何、女性にやられたって。頭はアイスペールで思い切り殴られた。

目の上はブタの貯金箱をぶっつけられたって、何故、え、旅行に行こうとして一生懸命貯めていたのを競馬でスッてしまったので頭にきたってやられた訳か。


情けない奴だねまったく。君はいくつかね、え、34歳?何やってんの、寿司屋の板前か。

包丁なんか持ち出してやり返すんじゃないぞ。よし麻酔をかけて縫ってやる。

痛いかって、別に痛かないよ麻酔をかけんだから。



私が知り合いの医師の処にある相談に行った時、私の目の前で行われていた会話です。

待合室では二歳位の可愛い女の子を横に座らせたスッピンの女性が長椅子に座っていました。

三人で遊園地のある温泉地かなんか行くはずだったのでしょうか。年に一度の藪入りですから。

知り合いの先生は決してヤブではありません。


私は女性には決して逆らわない事、優しくする事に決めています。

宇宙の起源だって分からないんだから。女性は神秘で怖い、それに血に強いから。

なんでも医学生の頃初めて人体解剖をする時、失神が多いのが断然男子学生で食い入る様に見るのが女子学生らしいです(余談でした)。

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