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2013年4月11日木曜日

「顔と顔」


佐久間象山




その夜TVのニュースでは株の投資セミナーに“楽して儲けよう”という人々がどっと押し寄せていた。主に中年以上であった。

まるで詐欺師の様な経済アナリストが競馬の予想の如き事をのたまわっている。
真剣にメモを取るオジサン&オバサンたち、勿論オジイサン&オバアサンもメモを取る。

「詐欺」という字を分解すると、言葉を巧みに「作」る→言+作、「詐」となり、人間としての其の事が「欠」けている→其+欠、「欺」となる。
アナリストや経済学者は過去に何度も予想を外してバブル地獄を生んだ。


あなた方の側に株でひと儲けという人がいたら、大切なお金は大切にしなさいとアドバイスして欲しい。後期高齢者であれば尚更貴重なお金をバブルで失ってほしくない。
お金は汗水たらして手にした労働の賜だから。

「儲」という字を分解すると「人」の「言」葉を「信」じてしまう「者」、人+言+者なのです。

そんな人たちの顔の後に、音楽家小澤征爾さん(77)の復活インタビューがあった。
その顔のなんと神々しい事か。三年前癌で食道を全摘出した。
だが音楽への執念は、凄まじいリハビリを終えて遂に復活をとげた。
お金儲けの事とは真逆の人だ。

思うになんで小澤征爾さんは文化勲章も国民栄誉賞も授与されていないのか。
最もご本人はそんな事どうでもいいで賞みたいな気持ちだと察しているのだが。
同じ人間でも楽して金儲けをと思う人間の顔と、音楽を通して人々に勇気と希望、感動をおくりたいという人の顔の違いに心底驚き、見たくもない自らの顔を鏡で見た。
その結果しばし愕然とした。ダメダコリャーと声を出した。
小澤征爾さんのコンサートにぜひ行きたいのだがチケットは手に入らない。
 
“男の顔は履歴書だ”という名言を言った人がいた。
確か元安藤組組長安藤昇さんだったと記憶している。
スカーフェイス、顔半分に斬られた傷痕がある。
顔の傷は男の紋章、背中の傷は男の恥という。

幕末松代藩の佐久間象山という武士にして先見の明ある大学者は暗殺された、その時背中に斬られた傷があった。武士の恥だといわれて佐久間家は断絶された。


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