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2014年2月10日月曜日

「お隣さん」


イメージです


お料理の味付けの基本は、さ・し・す・せ・そ(砂糖、塩、酢、せいう(醤油)、味噌)と言われている。
この五つの味とシャベル(スコップ)、ねじ回し(+)(−)、ロウソク、乾電池、携帯ラジオ。この五つの物は共通している事がある。
地震や大雪、大雨、停電、断水などの災難の時、あっ、買って置くのを忘れてたとか、どこに置いたのか忘れてしまったとか。
未だあると思ったのに中身が残ってなかったという事がある品々と、物たちだ。

「すいませーん」とお隣に行き、お砂糖少しとか、お味噌少しとかを借りに行く。
予定よりお客さんが増えた時とか、その夜のメニューを急に変更した時などにお隣のお世話になる。返す時は入れ物に心ばかりの品を入れて返す。
日本人はこんなやりとりを通して、ご近所付き合いをして来た。

向こう三軒両隣という仲良い関係があった。
この頃はコンビニが何処にでもあり、余りこんな貸し借りではなくなった。
日本人が持っている共存とか、共助を表すいい習慣というか、いいシーンであった。

八日(土)平塚から友人のハリの先生が来ていた。
午後四時半過ぎ、それじゃどーもと玄関を出て行った先生が、ありゃーやばい車が坂の真ん中から動きませんと戻ってきた。JAFに来てもらいますと。
えっ、何、どうしたと外に出ると、雪、雪、大雪で辺り一面真っ白ではないか。
先生の小型車は雪にタイヤをとられ、そのせいで全く動かない。
少し坂になっている。さあ〜どうでしょう、どうするべえとなった。

そうだシャベルだ、シャベルで雪をどかそうとなったが、あったはずのシャベルが無いではないか。で、お隣さんにSOS
建築会社を経営しているお隣さんがシャベルを持って来てくれた。
奥さんも一緒に。お二人のなんと手際のいい事。やる事成す事無駄がない。
私と愚妻は何かお手伝いできる事あればみたいであった。

先生はハンドル握って、アクセル踏んで、ブレーキ踏んで、バックと前進、バックと前進を繰り返す。お隣のご主人がテキパキ指示を出してくれる。
車がオシリフリフリ斜めになりながら少しずつ動く。私とお隣さんご夫婦と愚妻と三人で車を後ろから押す。なんとか道路の真ん中から横に移動させる事が出来た。

午後五時過ぎ、雪が激しく風も強くなる。
これじゃ「八甲田山だ」なんて私が冗談をいっても正真正銘「サブー」状態となった。
駄目だ、JAFも全て繋がらないという。チェーンもない。

このままにするしか無い、という結論に達してお隣さんに礼を言いつつ三人で家の中に入る。手がカチカチにかじかんでいた。
なんでシャベルが無いんだと言っても最早仕方なし。

でもなんだか心地よかった。
やっぱり隣同士っていうのはいいもんだな。
そういえば先日は長ネギかなんか借りに行ってたな、等と思い出す。


結果どうなったかというと、タクシー会社に電話する。全然繋がらない。
そうだと、かねてより知り合いのタクシー運転手さんに電話をする。その日は空け番でありすでに一杯入っていた。仲間に連絡してくれるという。
風雪はさらに激しくニュースではこれからが本番だと言う。
まるで「風雪流れ旅」だなとつぶやくがやはりサブーであり、冗談じゃなくなった。

そこへ一本の電話、やっとこ雪に強いタイヤを付けたタクシーが来てくれるという。
運転手さんはよく知っている人であり良かった。ハリの先生はそのタクシーで平塚に帰って行った。六時を過ぎていた。車のキーは置いていってもらった。
十数センチの積雪で大騒動であった。

九日(日)お昼頃ハリの先生は親子五人でバンに乗って来た。
雪はどんどん溶けていた。お隣と私にまでお礼の品を持って。
そして小型車にハリの先生が、バンには奥さんとお子さんが乗って帰って行った。
家の前の公園には大きな雪だるまが出来ていた。

1 件のコメント:

sakon さんのコメント...

先日は、というより、いつもいつもお世話になりっぱなしで申し訳ありません。この大雪の日はいろいろな方に助けて頂きました。東本さんの、日頃より人を大切にされていることで生まれた力に包まれ、感動致しました。本当に感謝感謝です。