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2015年4月9日木曜日

「カプセル人生」




寝台列車のベッドをカプセルの中に入れたほどのスペース。
それが一段、二段、三段、ハシゴ段、中には温度調整がついているようだ。

ブラインドを下げれば自分の“孤室”だ。
個室ではないさまざまな訳ありの人々がここを利用する。

一泊1700円。勿論経費を節約のためとか、出張費を浮かすためとか、外国人観光客が物珍しさで来る。新宿にある大きなカプセルマンションの中にドラマがある。
デパートでお好み焼きを売るために来た夫婦(男と女)はしっかりと分離されている。
働きながら陸上大会を目指す若者、若い頃番組制作会社をやっていた頃のゴールデン街が忘れられない。今は鳥取にいる。
会社がダメになったのだ、お金をためてこのカプセルマンションに泊まりゴールデン街で人生を思い出す。大学の応援団員たちも泊まりに来る。

金さえだせばいろんなフロアがある。
お風呂にサウナ、シャワーとか。コインランドリーを使う若い女性、風呂あがりにテレビを見るオジサンたち、パソコン相手に仕事をする男たち。
二時間だけ寝に来たという会社員。
さまざまな逃亡者と追跡者たち。
株でパンクして身を隠す者。

年間に数万人がここを利用するという。
人と人が会話をすることはない。笑い声も怒鳴り声もない。
みんなここのルールを守っている。
債務者やヤクザな男に追われ、カプセルマンションを転々とする者もいる。
彼等にとって1700円は命綱なのだ。

昨日数人による詐欺団の一人が捕まった。
数億円近く稼いでいたという。捕まった男の所持金はわずか10円だった。
カプセルに入ることも出来なかったのだろうか。悪銭は身につかずという。
一度泊まってみたいと思っている。

誰かご一緒しませんか、ガイドは友人の刑事にしてもらうから。
ご安心して下さい。
カプセルマンションに四年も住んでいる男もいるというから、ぜひ会いたいと思うのです。

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