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2018年6月14日木曜日

「過去という追跡者」

229分という約4時間。白黒の映画「 立ち去った女」この映画を見ると、いかに女性が恐いかが分かる。フィリピン映画であり、ベネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した。約229分の映画を見終わると、腕立て伏せを300回くらいした後のような、15 km 位のマラソンをしたような、円沢の尾根を登った時のような、達成感が生じる。30年ぶりに刑務所を出てきた女性は、元教師であった。元恋人の男に濡れ衣を着せられ30年の刑を打たれた。映画は男に復讐するために女性がフィリピンの街から街を探し求める姿を追う。ドキュメンタリーのようであるが、貧しいフィリピンの現実を描きながら、数々のドラマが傷口にできたかさぶたを剥がすかのように、痛々しく続く。貧困と犯罪、そしてゲイ社会。 女性が追う男はある街の有力者になっていて、週に一度ボディーガードと共に教会のミサに来ることを突き止める。女性は一人の傷ついたゲイの男を介抱してあげる。ゲイは全身殴られ、蹴られていた。街はよく停電する。ゲイの男は女装していて胸にはオッパイに見せるパッドを入れている。みんなにイジメられていたゲイに優しくしてあげる女性。小さな灯りの下ゲイの男は泣く。やっと点いたポツンとした街灯。一つも売れない卵売りの老人。遠くの方では若者たちが飲んで騒いでいる。229分間こんな状態が続く。だが強烈なインパクトが、静かな中にある。離れがたき人間の姿がある。映画は世の中の表と裏、明と暗、成功者が持つ秘密の過去、人間には誰でもその過去があることを教える。女性は国語の先生だったのか、詩人であり、毎日詩をノートに書く。人間とは奥深く、罪が深い。世の中に成功者がいるとしたら、きっと暗い過去を持っているだろう。そのことを暗示する。ある日教会で街の有力者(ボス)が殺される。果たしてその殺しをしたのは・・・。暗闇に優しい人だったからの言葉が出る。 最高に好きなタッチの映画だった。さて、やましい過去を持つ者同士、トランプと金正恩の勝者は、といえば、断然金正恩だろう。トランプはロシア疑惑から逃れるために、金正恩との 会談を焦ってセットさせた。政治的会談をやっている間は、FBI 特別チームは動けない。トランプはロシアにがっちりと過去を握られている。スノーデンはロシアの手の中にいる。ヒラリークリントンを蹴落とすために、ありとあらゆるネットを使った。これからも会談をセットして、あわよくばノーベル平和賞をと本気で思っているはずだ。まさかノーベル賞の俺をFBIは追い詰められないだろうと、 甘い期待を持って中間選挙に向かう。1年ヤクザをやると一生治らないものがある。それは目付きだ。トランプの目つきに注目するといい。カタギの目付きではない。当然金正恩も同じである。人を裏切った人間は過去から逃れられない。
(文中敬称略)


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